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業務を変えるkintoneユーザー事例 第131回

今年もやってきたkintone hive! 福岡1本目は保育園の情報共有がテーマ

kintoneで保育園システムを構築!生まれた余裕で大学院の修士論文を執筆

2022年05月09日 10時30分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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 サイボウズの「kintone hive 2022」の第1弾がZepp福岡で開催された。kintone hiveはkintoneのユーザー事例を共有しあうイベントで、優勝した企業はCybozu Daysで開催される「kintone AWARD」に進出する。今回は久しぶりのリアル開催で、盛り上がった。

 トップバッターは沖縄県沖縄市にある共同福祉会 たんぽぽ保育園の嘉陽暁美(かよう あけみ)氏。法人理事で副園長である嘉陽氏は運営の統括をしている。日々忙しい最中、なんと大学院を先日卒業したそう。

共同福祉会 たんぽぽ保育園 法人理事・副園長 嘉陽暁美氏

多岐にわたる保育園の運営業務のICT化を求め、kintoneに出会った

 保育園が超ハードワークということは、ニュースなどで目にすることも多いので周知のことだろう。保育士達は、子供ひとりひとりと丁寧に関わりたい、保護者と一緒に寄り添いたいと思っていても、1年の通して行事のスケジュールに追いかけられたり、日々の書類業務に埋もれて落ち着くことがないという。

 もちろん、保育園の運営業務も大変だ。会計管理や請求管理、理事会運営に加え、補助金で運営している認可保育園なので、説明責任を果たさなければならず、行政に提出する書類がとても多い。

「矢継ぎ早に押し寄せてくる実績報告、申請、概算請求などのExcelと紙の波状攻撃を受けていて、疲弊してしまいます」と嘉陽氏。

保育業務は多岐にわたり、とても忙しい

 保育園は対人援助職なのでリモートワークは無理。嘉陽氏はICT化すればいいのではないか、と考えて保育システムを探し始めた。一般的な保育システムには登降園システムが搭載されてる。タッチパネルなどに子供の名前を表示してタッチしてもらったり、タイムカードのように子供の登園時間を打刻する仕組みだ。

 しかし、たんぽぽ保育園で送り迎えをするのは、高齢者のお爺ちゃん、お婆ちゃんたちだそう。事故防止のために確実な対面引き渡しをするには、そのような登降園システムだとリスクがあると考え、登降園システムのない保育システムを探したところ、望むシステムが見つからなかった。

「求めているのは、多様・多世代の子育てを支えること。デジタルが苦手など、配慮を必要とする人たちへの寄り添いです。そこで、パソコン保守をしている株式会社オフィスシステムプロダクトさん(以下OSP)に相談して、ついにkintoneと出会えました。しかし、導入の課題もありました」(嘉陽氏)

望む保育システムを探し続け、ついにkintoneと出会う

まず先に「子育て支援の可視化・共有化・一本化」というコンセプト

 嘉陽氏が調べてみると、kintoneは何でもできる、誰でも使える魔法のようなツール……ではなかった。kintoneを入れるだけで、魔法のように業務改善できるわけではない。

 そこで嘉陽氏は自分が何をしたいのか考えた。まずは、やりたいことをすべて洗い出す作業に取りかかったのだが、リストが膨大で泥沼にはまり、全体像が見えなくなったそう。しかも、その時は新園舎建設事業も同時に進んでおり、とても忙しい時期だった。さらには、新型コロナウイルスの感染拡大により、毎日、消毒に追われてピリピリした状態だったという。

 kintoneの導入はパートナー企業と一緒に取り組んだ。嘉陽氏の頭の中にある全体像をパートナー企業に理解してもらうため、徹底的な話し合いを重ねた。そして、アプリを作ってエラーが起きたら修正し、また作っていくという繰り返しで課題をクリアしていった。

あれもやりたい、これもやりたい、とkintoneの構想が膨らむ

「OSPさんとたんぽぽ保育園という枠を越えて、チームで保育業務改善を進めました。そして、子育て支援を可視化・共有化・一本化という業務改善のコンセプトが誕生しました」(嘉陽氏)

 チームでkintoneの開発に当たり、嘉陽氏の脳内にあったイメージが実現した。園児スペースでは、園児の名簿と保護者の名簿がアプリとなって紐付いている。会計スペースでは、園児の名簿と保護者の名簿がアプリとなって紐付いて請求管理を行なう。職員のスペースでは職員マスタと超勤申請や研修記録など色々なアプリが紐付く。他に、子育て支援センターや図書のスペースも作った。

脳内イメージをkintoneで実現し、望んでいた保育士システムを構築した

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