フードは立ち襟の中に収納されています
まず、外見で特徴的なのは、襟でしょう。スタンドカラー(立ち襟)で、防風性を意識したものと思われます。しっかり固定するためのチンストラップも付いており、防寒性にも配慮されています。
ミリタリー品なので当然フードが付いているのですが、どこに収納されているのでしょうか? 実は、首周りのファスナーの中に、すなわち「立ち襟の中」にフードが入っています。
このフードは、表地と裏地の間に押し込むというか、生地の間(首から背中にかけての部分)に落として収納します。「ガサガサして気になる……」と思う人もいるようで、使う機会も少ないため、古着だと切られていることもあります。
M-65フィールドジャケットを特徴づける前面のポケットはかなり大ぶりで、物が落ちないようにフラップが付いているほか、スナップボタン仕様で開閉が手軽にできるようになっているなど工夫されています。
肩周りや袖口にもミリタリーウェアらしい工夫がある
筆者が購入したものは通称3rdモデルなので、エポレット付きです。それにしても、ミリタリージャケットでありながら、エポレットを排除したにも関わらず、すぐに取り付けるようになったのはなぜでしょうか。やっぱり「ないと困る」という声があったのか……。
肩の後ろの部分にはプリーツがあり、この構造で布に余裕を持たせているほか、肘の部分にもプリーツがあるので、取り回しやすいといいますか、腕全体が動かしやすいようになっています。
なにしろ軍用の衣類なので、銃を構えたり、ナイフを使ったりと、腕が動きにくいようではお話になりません。その手の配慮も抜かりなし、というわけです。
袖には三角のフラップがあり、内側に折り返してベルクロで留められるようになっています。この構造の理由として、フラップ部分を展開することで「手の甲を保護するため」と聞いたことがありますが、この小さなフラップだけで手を守れるのか、前からちょっと疑問でした。
調べてみたところ、ストラップ付きの軍用手袋があり、そのストラップを「フラップ部分で折り込んでマジックテープで固定するためのもの」という説明を見つけました。このフラップだけで手を守るにはちょっと頼りない気がしますし、こちらのほうが納得できる理由だと思います。
ウエスト部分と裾にはドローコードがあります。これを引っ張ってしぼることで、身体にフィットさせるわけです。ミリタリーウェアなのでちょっと大きめに作ってありますし、強風などでバタつかせないようにする工夫ですね。ギュッとしぼって着るのも今風でよろしいかと。
なお、腰の部分のドローコードはコットン製なのですが、裾の部分はゴムひもになっています。ウエストはともかく、裾の部分は強く縛っておくと歩く際に邪魔になるということで、伸び縮みするゴムにしたのでしょう。
問題は、古着の場合、だいたいゴムがヘロヘロに伸び切っていることです。筆者が購入したものも、「ビロ〜ン」という感じでした。それでは困るということなのか、抜き取ってあるものもめずらしくありません。古着で購入する際はチェックが必要です。
外見の割にちょっと重いかもしれない
M-65フィールドジャケットの表地は、コットン50:ナイロン50混紡のサテンになっています。このナイロンコットンは、ナイロンの耐久性と速乾性、コットンの難燃性と吸湿性を兼ねそなえた生地であり、軍用の衣服に採用されることが多い素材。なお、裏地はコットンの平織になっています。
この二重構造のせいか、見た目以上に重いと感じる人もいるようです。サイズにもよりますが、およそ1.5kg〜2kgぐらい。
ちなみに、時代が下るにつれ、オリーブグリーン色だけではなく、ウッドランド迷彩、デザート迷彩なども作られるようになっていきます。
フロント部分にはファスナーとスナップボタンの両方があり、しっかり留められるようになっています。また、ファスナーの引き手自体も大きくなっているほか、だいたいはヒモが付いていて、手袋をしていても操作しやすいのです。
ちなみに、1970年代に、M-65フィールドジャケットはアルミのファスナーからブラスのファスナーに変更されたのは先述した通りです。アルミはやわらかい金属なので、耐久性に難あり、ということだったのでしょう。
ただ、ブラスの場合、スライダーの部分が壊れやすいような気がします(古着店や通販などでもそこが難ありと注記されているものを見かけます)。ブラスチックになったのは、さもありなん、といったところでしょうか……。
裏地についているボタンは、防寒用のライナーを取り付けるためのものです。このライナーも古着でよく見かけるもので、取り付けている人も多いですが、どうにもモコモコする印象があり、筆者はほとんど取り付けません。このあたりは好みの問題です。
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