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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第29回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 4月16日~4月22日分

データセンターの電力確保が課題に、78%の企業が内部脅威に未対策、ほか

2022年04月25日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えしています。

 今回(2022年4月16日~4月22日分)は、増加し続ける国内データセンターの延床面積と電力消費、内部脅威対策の遅れ、中途入社社員が直面する“壁”、大企業におけるアプリ開発の課題、加速する企業のAI利用についてのデータを紹介します。



■[クラウド][DX]データセンターの延べ床面積は年平均8.2%で成長、電力確保が課題に(4月20日、IDC Japan)
・2021年、事業者のデータセンターの延床面積は 263万400平方メートル
・2026年まで年間平均成長率(CAGR)8.2%で増加、2026年には390万5100平方メートルへ
・急増するハイパースケールデータセンターの延床面積CAGRは28.1%、電力キャパシティは同34%と予想

 ITベンダー、ITサービス事業者、通信事業者、クラウドサービス事業者などが国内で運用するデータセンター施設の延床面積の合計は、2021年末で263万400平方メートルに及んだ。2019年頃より事業者データセンターの新設ラッシュが続き、中でもクラウドサービス拠点としてのハイパースケールデータセンター建設需要が急増している。ハイパースケールデータセンターは延床面積よりも消費電力の成長率の方が高く、土地の確保に加えて電力の確保も課題としている。

国内ハイパースケールデータセンターの延床面積、成長予測(出典:IDC Japan)



■[セキュリティ]データセキュリティインシデントの6割が内部脅威由来、日本企業の78%が未対策(4月22日、Imperva)
・過去1年でアジア太平洋地域で発生したデータセキュリティインシデントの59%が内部脅威由来
・日本企業の78%が内部脅威への対策を取っていない
・内部脅威や認証情報の不正利用の防御策は「暗号化」「手動での従業員の行動の定期的なモニタリング・監査」(ともに47%)

 ImpervaがForrester Researchに委託し、2021年9月、日本からの51人を含む世界464人のセキュリティ/ITプロフェッショナルを対象に実施した調査より。過去1年、アジア太平洋地域のデータセキュリティインシデントの59%が内部脅威が原因だったにも関わらず、日本企業の55%が「内部脅威対策の優先度は低い」と回答。その理由は「予算」(43%)、「社内の知識不足」(32%)などが挙がっている。



■[人事]即戦力を求められるからこそ適応に苦労する中途入社者(リクルートマネジメントソリューションズ、4月22日)
・中途入社者の適応をはばむ「3つの壁と6つの症状」がある
・3つの壁は「会社文化・職場風土」「仕事」「キャリア・成長」
・リモートワーク環境で中途入社者を受け入れるポイントは「心の距離」を縮めること

 中途入社者が抱える課題を分析したニュースレターより。中途入社者が新しい環境に適応するにあたって、即戦力を求められ支援が少ないからこそ頼りにくい(会社文化・職場風土の壁)、同じ環境・立場の人やロールモデルがいない・少ない(仕事の壁)、前職のアンラーニングが難しい(キャリア・成長の壁)という「3つの壁」があると分析する。リモートワーク中に中途入社者を受け入れるためには、同じ部署のメンバーが自分のキャリアや喜怒哀楽を共有して「立体的」に知り合う機会を設けることなどをアドバイスしている。

中途入社者が入社後に苦労したことのトップは「仕事内容」(出典:リクルートマネジメントソリューションズ)

適応をはばむ「3つの壁と6つの症状」(出典:リクルートマネジメントソリューションズ)



■[開発]大企業のアプリ開発基盤、クラウド移行は進まず―70%が「未定/予定なし」 (4月20日、Delphix Software)
・アプリケーション開発基盤のクラウド移行、「予定なし」「未定」が70%
・50%の企業がテストデータの準備に「1日~1週間」
・テストデータとして「マスキングなしの本番データ」を利用する企業も

 従業員1000人以上のエンドユーザー企業101社の技術・システム担当者に、アプリケーション開発環境とテストデータの管理と運用について尋ねた。回答者の67%は年商規模1千億円以上、52%は従業員規模5千人以上とエンタープライズが中心で、メインフレームとオープン系システムを利用する企業は72%、また70%が「クラウド移行は未定/予定なし」と回答した。テストデータを24時間以内に準備できるとした企業はわずか10%で、36%が「1日以上1週間以内」、14%が「1週間以上」かかるとしている。データのマスキングについて、101人の回答者のうち25人が「手作業」で実施、さらに「マスキングなしのダミーデータ」(19人)や「マスキングなしの本番データ」(11人)を使うという企業も。作業の自動化が遅れているだけでなく、個人情報保護の面でも問題が発生する可能性があると警告している。

72%の企業がメインフレームやオープン系のシステムを利用しており(左)、「クラウド移行の予定はない/未定」は70%(出典:Delphix Software)

テストデータの準備に最長「1日以上」かかるとした回答者が50%。「24時間以内」という回答はわずか10%だった(出典:Delphix Software)



■[AI]AIシステムの実利用は53%に、3割以上が「品質管理」「ITオートメーション」を導入(4月19日、IDC Japan)
・全社・事業部門単位でAIを利用している企業・組織は53.1%、前年から17.5ポイント上昇
・AIシステム利用目的は2021年の3種類(1社あたり)が2022年には3.6種類に増加
・37%の企業が翌年度に3~5個のユースケースを増加予定

 511社のAIシステムを把握する担当役員、情報システム担当者などにAIシステムの利用などについて尋ねた「2022年 国内AIシステムに関する企業ユーザー調査」より。AIシステムの実利用率は53.1%と、前年から17.5ポイント上昇し過半数を超えた。企業がAIシステムを利用する目的(ユースケース)も平均3.6種類と、前年の3種類から増加している。「品質管理」「ITオートメーション」を目的とする企業はそれぞれ30%を超える。ユースケースの多様化が進むことで、「データライフサイクル全体を俯瞰し、データ管理や分析との同期の取れたマネジメントが求められる」と助言している。

AIシステムを実利用する企業は53.1%に、前年の35.7%から17.5ポイント増えた(出典:IDC Japan)

AIのユースケースは「品質管理」「ITオートメーション」が多い(左)、翌年に増加するユースケースの数は「3~5個」が最多、「6~9個」「10個以上」も前年から増加している(右)(出典:IDC Japan)

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