脳内イメージが可視化できる? 期待したいIoT、AIスタートアップ5社
第47回NEDOピッチ「IoT、AI Ver.」レポート
専門家以外でも量子アニーリングを利用可能にするクラウドサービス「JijZept」
株式会社Jij(ジェイアイジェイ)
イジングモデルという物理学のモデルと量子力学を用いて組合せ最適化問題を解く量子アニーリングが注目されている。株式会社Jijは数理モデルの専門家でなくても量子アニーリングマシンを用いて組合せ最適化問題を解くことを可能にするミドルウェア「JijZept」の開発を行っている。
組合せ最適化問題は従来のコンピュータでは現実的な時間内に解くことが難しいとされている。しかし例えばトラックによる配送の最適化などはエネルギー消費の観点からも実社会における重要な課題となる。そういったところに量子アニーリングを用いてこの問題に取り組むニーズが生まれてきている。
一方で、量子アニーリングはまだ成熟した製品となっておらず、その利用には専門家が必要とされる。例えば量子アニーリングマシンを利用するためには、ビジネス上の課題をイジングモデルに書き直さなくてはならない。数理モデルとコンピューティング技術の両方に習熟した人材の雇用には大きなコストがかかってしまう。
Jijが開発している量子アニーリングマシン向けのミドルウェアJijZeptは、量子アニーリングマシンを専門家以外でも利用可能にすることを目指したクラウドサービスだ。
「量子アニーリングマシンを使おうとすると、実社会アプリケーションから計算の実行までの間に多くの専門的なステップが必要になる。そこをソフトウェアで自動化することで、通常のソフトウェアエンジニアリングの知識さえあれば、専門家がいなくてもアプリケーションを作りたい企業が、最適化計算を実行できるというのがJijZeptというプロダクト。」(山城氏)
既に交通信号機のタイミング最適化の共同研究を行うなど、社会における現実の問題への適用例も積み上げつつある。研究から実用へと期待が高まりつつある量子技術をリードするJijに期待したい。