須賀川南部地区エリアプラットフォーム「ウォーカブルな中心市街地を形成するための人流分析および購買・消費分析」
GPSとキャッシュレスデータで地方都市を分析、公共・ビジネス課題が見えた福島県須賀川市
施設やイベントごとの傾向をつかむ
須賀川市では、街に活気を呼び込むために、イベントの開催や、既存施設のリニューアルなどの施策を行っている。その効果や課題抽出に役立てるための分析を行った。
市民交流センター等の周辺の街中では定期市「Rojima」を開催している。市民による出店や空き地の利用など、町の活性化を目指したもので、多くの人が参加する人気のイベントとなっている。開催日と平常時との滞在者数を比較すると、普段の平日に比べて1.8倍、休日の1.4倍の滞在数があることが数字として表れ、町に賑わいを生み出す効果があることが裏付けられた。
風流のはじめ館は、以前からあった須賀川市芭蕉記念館をリニューアルしたものだ。市民交流センターtette/観光物産館flattoとは来訪者の傾向が異なり、風流のはじめ館では夏の来訪者が多いが、tette/flattoでは秋が最も多い。
データから見えてきた課題と新たな提案
後半のパネルディスカッションでは、須賀川市の新しいまちづくりをけん引する株式会社テダソチマの大木和彦氏、地域交通や過疎地域移動に詳しい福島大学の村上早紀子氏、NTTタウンページ株式会社の北川美代子氏、東北各地のまちづくりを支援する独立行政法人都市再生機構の羽田俊之氏が登壇した。ファシリテーターは昭和株式会社の堀江佑典氏が務めた。
NTTタウンページの北川氏からは、先の調査結果を踏まえ、さらなる分析と今後の方向性が示された。公共施設の活用に関しては、70代女性や子育て世代の来訪者が多い一方、利用者が少ない層があることを課題とし、利用者が少ない層にマッチするイベントを増やしてニーズを増やすことを提案した。また、Rojima開催時には多くの人出があるが、周辺商店街では店舗が営業していないため、ビジネスチャンスを逃していると指摘。また、消費動向から70代女性のキャッシュレス利用の少なさと地域の業種に着目し、マッチする業種の店を誘致する必要性を述べた。
登壇者からは、分析結果から見えてきた課題について活発な意見や提案が寄せられた。また、データをベースとすることについても、大きな可能性を見出していたようだ。
羽田氏(UR都市機構)「地方都市の課題というと、いくつかのパターンに類型化してしまいそうになるが、個々の街の人の動きや購買行動を見ると、似ていると思われがちなほかの街とはまったく違っていたということがあり得るのではないか。データを元にすることで、個々の街に適したオーダーメイドな打ち手が考えられる。まだビッグデータには慣れてないが、今後どういう使い方ができるか考えていきたい」
村上氏(福島大学)「分析データを武器に今後どう街づくりを仕掛けていくか楽しみになってきた。Rojimaのようなイベントは効果があり、大事だが、日常的な利用につなげるきっかけづくりにすることが大事だ。訪れる人に須賀川が進化しているということを見せていくことがカギになる」
大木氏(テダソチマ)「人口を増やしたい、町を大きくしたいとは思わないが、市民が活力があることを実感できる街づくりをしたいと思っている。そのためにビッグデータ等のツールを無駄になることのないように活用して、みちしるべに取り入れていきたい」
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