ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第659回
ISSCC 2022で明らかになったZen 3コアと3D V-Cacheの詳細 AMD CPUロードマップ
2022年03月21日 12時00分更新
同じトランジスタを使いつつ消費電力減を実現
ついでに、トランジスタ周りの話も説明したい。まず基本的なパラメーターだが、Zen 2とZen 3では基本的に同じプロセスなので、プロセス自体をいじって性能を上げることはできない。
そこで、同じトランジスタを使いつつ、Zen 2→Zen 3ではそれぞれ動作周波数を4~6%引き上げることを目標にしたとする。また、トランジスタもMid VT(中間的な電圧)やLow VT(低電圧)を使う比率を高めており、全体的に消費電力を下げる工夫が効いているとした。
トランジスタの比率 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
Zen 2 | Zen 3 | |||||
High VT | 13% | 12% | ||||
Mid VT | 48% | 43% | ||||
Low VT | 39% | 45% |
この結果として、同じ消費電力での動作周波数は、4~6%向上したとしている。もちろんIPCを引き上げる工夫もZen 2→Zen 3ではあり、結果としてトータルで20%ほどの性能/消費電力比の向上が実現した、という話である。
ということで、なんとか実際に製品が出る前に、3D V-Cacheにまつわる話ができた。あとは実際に性能はどうか? で、これは製品が入手できてからのお楽しみである。

この連載の記事
-
第813回
PC
Granite Rapid-DことXeon 6 SoCを12製品発表、HCCとXCCの2種類が存在する インテル CPUロードマップ -
第812回
PC
2倍の帯域をほぼ同等の電力で実現するTSMCのHPC向け次世代SoIC IEDM 2024レポート -
第811回
PC
Panther Lakeを2025年後半、Nova Lakeを2026年に投入 インテル CPUロードマップ -
第810回
PC
2nmプロセスのN2がTSMCで今年量産開始 IEDM 2024レポート -
第809回
PC
銅配線をルテニウム配線に変えると抵抗を25%削減できる IEDM 2024レポート -
第808回
PC
酸化ハフニウム(HfO2)でフィンをカバーすると性能が改善、TMD半導体の実現に近づく IEDM 2024レポート -
第807回
PC
Core Ultra 200H/U/Sをあえて組み込み向けに投入するのはあの強敵に対抗するため インテル CPUロードマップ -
第806回
PC
トランジスタ最先端! RibbonFETに最適なゲート長とフィン厚が判明 IEDM 2024レポート -
第805回
PC
1万5000以上のチップレットを数分で構築する新技法SLTは従来比で100倍以上早い! IEDM 2024レポート -
第804回
PC
AI向けシステムの課題は電力とメモリーの膨大な消費量 IEDM 2024レポート -
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート - この連載の一覧へ