2001年宇宙の旅のHAL 9000が
1億2000万ドルで実現できる
さてその次の話。このBOW IPUに合わせて、GraphcoreはGood Computerを発表した。“Good” computerとは何? という話だが、これはIrving John Good博士にちなんだものである。
Good Computerは64ラックの塊×8で、トータル512ラック。1ラックあたり64 IPUだとすれば32768 IPUになるのだが、8192 IPUということはつまりラックあたり16IPUとなる。次世代IPUは1Uサイズでは収まらず、4Uくらいの筐体が必要かもしれない
Good博士はAlan Turing博士の同時代人であり、実際第二次世界大戦中はイギリス軍で暗号解析に同僚として携わっていたりする。そのGood博士が1965年に出した“Speculation Concerning the First Ultraintelligent Machine”という論文がある。これは人間の脳の能力を超えるようなマシンに言及した最初のものであり、それが世界に出ることの影響や経済への影響、「考える」ことの意味など広範に渡っての考察がなされている。
他にも同じ1965年には“Logic of man and machine”という、これも人工知能に絡んだ文章を出していたりする。こうした功績を踏まえてか、Good博士は1968年にはStanley Kubrick監督の映画のアドバイザーに就任した。要するに“2001年宇宙の旅”であり、HAL 9000の特徴づけなどはGood博士のアドバイスを受けてのものである。
Good博士は2009年に逝去されているが、GraphcoreはこのGood博士が1965年の論文で示した“Ultraintelligent Machine”を2024年までに構築することを発表した。つまり“Good” computerは、「Good博士のコンピューター」の意味である。
このGood computerは次世代のIPUをベースとしたもので、今度は複数のロジックウェハーが3D Stackingされるとする。相変わらずオンチップメモリーであるが、メモリー総容量は4PB、メモリー帯域は10PB/秒、演算性能は10EFlopsを超えるというものだ。ここで動かすネットワーク、実にパラメーターは500兆個を想定しているという。
2020年にマイクロソフトが独占ライセンスを受けたことで有名になったGTP-3でもパラメーターは170億個であることを考えると、同社はこのGood Computerで本気で人間の脳を超える能力のシステムを構築しようとしているわけだ。構築費用は1億2000万ドルである。
まだパートナー企業(なのか研究所なのか)や、IPUの詳細などは一切明らかになっていないが、1億2000万ドルでHAL 9000が実現できるというのは、(そもそも実現できるという見通しが立っただけでも)ものすごいことではないかと思う。
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