内装は高級感のあるラックススエードと本革仕上げ
内装は、ラックススエードと本革のシートをはじめとして、スポーティーさと上質さを兼ね備えたイイモノ感溢れる仕上がり。カジュアルリビング志向のノーマルFITとは趣きが異なります。Modulo Xといえば、各所にボルドーレッドを配するインテリアなのですが、今回はブラックもラインアップに加わりました。両方見比べたのですが、筆者は「どっちもイイ」、けど自分なら無難なブラックを選ぶかな? でも選んでから「やっぱボルドーレッドにしておけば……」と悔やむわけです。クルマ選びに限らず、人生とはそういうものです。ちなみに唯さんはボルドーレッドのインテリアが気に入っていました。
FITの良いところのひとつに「荷室の使い勝手」が挙がります。。これは数多あるコンパクトカー随一といえるでしょう。そこで今回はASCII.jpらしくPCケースを使ってご紹介しましょう。用意したケースはASUSのROG Z11という、Mini-ITXケースとしては大型のタワー型。ゲーミングPCっぽいデザインですが、自宅の作業PC用に購入したものです(ASUSのB550マザーボードと「ROG Z11」で人気のMini-ITX自作に挑戦!)。
まずはテールゲートを開いて普通に積載。これはほかのクルマでもできること。普通なのですが、間口が広いだけでなくリアバンパーがテールゲートより出ていないこと、そして荷室と開口部の段差が少なく荷物が載せやすいのです。細かいところですが、こうした使い勝手の良さがFITのイイところ。
続いて後席シートの座面を倒してみましょう。ちょっと段差はできますが、基本的にフルフラットといっても良さそう。ここにPCケースを入れてみると、もちろん余裕たっぷり。奥行きは結構ありますが、さすがに車中泊ができるほどの広さはありません。折角ですので、筆者の撮影機材も一緒に載せてみましょう。背もたれを立てた状態ですと撮影機材だけでラゲッジは埋まってしまったのですが、ラゲッジ側から簡単にリアシートが倒せるので、荷物を全部降ろさないとシートバックを倒すことができないとか、いったん後席に回って……という作業は不要。これは雨の日には大変ありがたいもの。意外に思われるかもしれませんが、こういった事ができないクルマは今でもあるんですよ。
地下駐車場など、壁や隣のクルマが近くにあるためテールゲートを開くことができない状況って往々にありますよね? その時はクルマを少し前に動かすか、後席に荷物を積み込むことになると思います。で、荷物をそのまま載せたらシートの座面に汚れが……、という心配は誰もが抱くことです。そこで便利なのが後席跳ね上げ機構。その名の通り、後席の座面を跳ね上げることで、後席スペースを荷室として使うというもの。PCケースだとオーバースペックに見えますが、たとえば観葉植物など「高さのある倒せない荷物」を載せる時に、これが大変重宝するんです! 唯さんは、このシートアレンジを初めて見たようなのですが、あまりの便利さに言葉を失っていました。
この荷室の使い勝手をはじめ、ほかにもFITには数字では表しづらい使い心地の良いクルマだったりします。触れれば触れるほど惚れること間違いナシです!
続いて後席の座り心地をチェックしましょう。先代よりも肉厚となったクッションにより座り心地が良好。唯さんも「足元も広くて快適ですね。長時間乗っていても平気かも」とご機嫌な雰囲気。さらにうれしいのは、2系統のUSB Type-Aレセプタクルを上側に用意したこと。エアコンダクトがないから、というのもあるでしょうけれど、大抵は下側に設けることが多いので、上側にコネクターを配置したことは使い勝手が良く感じます。
「下側にあると屈まないといけないので面倒ですよね。カバンからケーブルを取り出してスグに刺せるのはイイです!」と唯さん。後席に座る事なんてめったにないから、USBはなくてもイイと思うことなかれ。運転席側はスマホ、後席側でモバイルバッテリーというように、大変重宝するのです。しかも上側にあれば差し込みやすいうえに、近くにトレイがあれば、スマホを置いたりしてさらに使いやすい。改めてFITはよくできたクルマだと感じました。
再びフロント側へ戻りましょう。FITの美質として挙げられるのが視界の広さ。フロントガラスは、Aピラーはどこに行った? と思えるほどの圧倒的な拡がりに加え、上下方向も広いから文句ナシです。特に上下方向は感動的で、最近のクルマでよく見かけるカーナビが上へせり出した、後付け感の強いデザインとは異なって、メーターパネルと同じ高さにしたのは、使い勝手の面と安全性の面から◎。上にせり上げてきてしまうと、今度はルームミラーとの間が狭くなりがちで、座高の低い方にとっては視界が狭く感じてしまうのです。「この視界の広さは驚異的ですね。開放的で気持ちがイイです」と唯さんもニッコリ。
メーターパネルは7インチの液晶タイプ。バイザーが小さいので光の加減で見えづらい時があるのでは? と危惧したのですが、表面に低反射素材を使っているようで視界は良好。文句ナシです。Moduloらしさとしては、シートのほかに、セレクトレバーやパワースイッチボタンまわり。特別仕様車の中には恥ずかしさを覚えるほどの「いかにも!」感を主張するクルマがあったりしますが、Moduloのさりげなさには好印象を抱きました。
さらに純正オプションのナビを装着すると、始動時にModulo Xというスプラッシュスクリーンが表示され、所有感を満たしてくれます。こういった細かい演出は、世界観を伝える意味でも重要。唯さんからも「いかにもスポーツ系という感じが少ないのがイイ」と高評価を頂きました。
ワインディングで実効空力を感じ
一般道ではハイブリッドならではの静粛性
運転の時間です。今回は都内のほか、信号の少ないワインディングロード、そして新東名120km/hと3つのステージを走行してみました。
まずは一般道から。発進時は基本的にEVモードになるようで、ほぼ無音で走り始めます。ちょっと電気自動車っぽい感覚。ですが、しばらくするとエンジンが始動してハイブリッドモードに。でも走りの滑らかさは変わらずですし、エンジンが動作しているのはわかりますが、不快感を覚えるようなことはありません。何よりモーター駆動ならではのトルクフルな走りはストレスフリーのひと言! 荒れた路面でゴツゴツしているなぁと感じますが、欧州のコンパクトカーに乗っている感覚に近く、不快さはそれほど感じません。トルクフルな走りとキビキビした足は、低速で交差点を曲がる、加速する、信号で止まる、という動作を繰り返す退屈な街乗りを楽しい時間に変えてくれます。
実効空力を感じるのは、ワインディングロードに入ってから。安定感が良いだけでなく、ノーズがスッと入るステアフィールが気持ちいいではありませんか。ココにノーマルに比べて均等に接地していることがわかる足が加わり、ちょっと頑張っても怖くない! 怖くないから……ここは心のブレーキをかけることにしましょう。「ちょっと硬めの足が、スポーティーでイイですね。ワインディングのコーナーってちょっと苦手なんですけれど、このクルマなら安心感がありますから楽しく走れます」と、小気味よく走る唯さん。本当にクルマの運転が好きで、典型的な「体にガソリンが流れているタイプ」だなぁと、運転している姿を見て思った次第。
こうして唯さんの運転パートは終了。「ハイブリッドのコンパクトカーでも、足とエアロが良ければ走りが楽しめるんですね。使い勝手の良さと走りの楽しさがありますから、FIT e:HEV Modulo Xはクルマが好きな人にとっての福音になるのではないでしょうか?」。唯さんはそのように語って、クルマを降りました。

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