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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第202回

大幅改良のマツダ「CX-5」人馬一体の走りは、どう進化したのか?

2022年02月06日 12時00分更新

文● 鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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 マツダ「CX-5」が昨年11月に大幅改良を実施しました。マツダは、どの車種も毎年のように改良を実施していますが、2017年2月に登場した現行型第2世代の「CX-5」は、これまで2018年2月、2018年10月、2019年12月、2020年12月、そして2021年11月の大幅改良と、デビュー4年の間に5回もの改良を実施したことになります。マツダの世界販売の1/3を占める主力モデルならではの、熱心な改良と言えるでしょう。

特別限定車「フィールドジャーニー」

 今回の大幅改良のポイントは3つあります。ひとつはデザイン、ふたつ目は特別仕様車の追加、そして最後が走行性能の進化です。

 デザインはフロント周りのデザイン変更と、前後のランプユニットの変更になります。グリル内に小さな色違いのアクセントが入り、角形の枠のような光るモチーフのあるライトとなっています。

スポーティーとアウトドアの2モデルが追加

 新グレードはスポーティー度を高めた「スポーツアピアランス」(325万6000円~)と、アウトドア志向の「フィールドジャーニー」(323万4000円)を追加。「フィールドジャーニー」には、オールシーズンタイヤを標準装備とし、さらに「ドライブセレクト」に未舗装路や雪道などの悪路に最適な「オフロードモード」を設定。これまでシティー派の印象の強かった「CX-5」に“オフロードも行ける”という新たな特徴を追加しています。

 走行性能の進化を実現するのは、サスペンション、シート、ボディー構造の3つの変更点でした。サスペンションは前輪のスプリングとダンパーのセッティングの変更。バネレートをアップして、ダンパーは伸び側を緩くし、縮み側を強くしたとか。シートはシートバックや座面の形状を変更して、乗員の脊髄がより自然なS字カーブを描けるように。また、車体との接合部分の剛性をアップして、横揺れを小さくしています。ボディー構造は、後席の足元を左右に伸びるクロスメンバーの中に減衰構造を設置。ビリビリとした動きを熱に変換します。また、クロスメンバー全体の剛性もアップさせています。

特別限定車「スポーツアピアランス」

座り心地が格段にアップした

 では、実際に走らせてみると、どのような違いがあったのでしょうか。今回は、横浜のみなとみらい地区の市街地を中心に新旧の乗り比べをしてみました。

 まず、シートの違いは座ってみれば、その差は歴然です。新型モデルは、シートバックの一番下の部分、ちょうどお尻のあたるところが、より深くなっています。つまり、お尻を旧型よりも深く奥まで押し込むような恰好になります。これにより、いわゆる骨盤が立った状態で、座ることになります。座るだけで着座姿勢が変わるのです。個人的に、これは長時間のドライブに大きな効果を発揮するのではないかと思います。なぜかといえば、以前悩みであったデスクワークでの腰痛を、骨盤を立てるように座ることで改善したことがあったからです。細かな部分ですが、新型「CX-5」を試したいという人は、ぜひとも注目してほしいポイントでしょう。

目立たないが静粛性と足周りも変わっている

 次に、サスペンションとボディー構造の変更による違いです。これは正直、それほどに大きな変化ではありません。でも、確かに違ってはいます。わかりやすかったのは、ザラザラと路面が荒れているところを走るシーンです。騒音が確実に小さくなっています。また、段差を超えるときのショックや音も小さくなっています。アクセルを抜いたり、ブレーキを踏んだ時の、前後の揺れ(ピッチング)も小さくなっています。いわゆるフラットライド方向に進化しているのです。今回は試しませんでしたが、高速走行やワインディングで試せば、その差はよりはっきりとわかるのではないでしょうか。

 小さいけれど、でも確かに新型は乗り心地が良くなっていたのです。また重要なのは、本来の特徴である「人馬一体」の走りを、しっかりと内包している点です。人馬一体という特徴を内に秘めつつも、熟成された大人の走りを見せてくれた新型CX-5です。

【まとめ】人馬一体の楽しさをそのままに
大人味に熟成された新型CX-5

 振り返ってみれば、2017年に第2世代の「CX-5」として登場したときも似たような進化でした。2012年に登場の初代「CX-5」は、まるでスポーツカーのような人馬一体のダイレクト感あふれる走りが魅力でした。第2世代の「CX-5」は、内外装のデザインの質感を、初代よりも大幅にアップ。それに合わせるように、静粛性と乗り心地も向上。それでいて、ドライバーの意思に忠実に走るという、人馬一体の走りはキープしました。ただし、反応自体は少々ゆったりとしたものとなっています。個人的には、これはスポイルされたのではなく、大人味に熟成されたと感じました。せわしない動きから、余裕ある大人の動きとなったわけです。

 言ってみれば、尖った金平糖のような性能のクルマだった初代の「CX-5」から、第2世代となることで全方位的に性能を高め、丸く、より大きくなった。これが「CX-5」の進化の方向性と言えるでしょう。どこまで大きくなれるのか。「CX-5」の進化に注目です。

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筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 

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