描いた未来の未達という敗北
2016年モデルではThunderboltポートが4つと、非常にシンプルかつミニマムな構成で、充電すらこれらのポートを介してUSB-PDで行なうスタイルでした。
Appleはかつて、いち早くUSBをMacに導入するなど、外部機器との接続については先陣を切っていろいろなものを採用してきた経緯がありました。Thunderbolt 3とUSB-Cを兼ねる4つのポートのみを搭載することも、ちょっと未来のコンピュータと周辺機器の姿を描いたと考えることができます。
しかし2016年に描いた未来は、5年後の2021年の段階で「訪れなかった未来」という評価をAppleが下したことになります。おそらくAppleは、あらゆるものがUSB-C/Thunderboltポートでつながる世界が整備されると考えていたに違いありません。
例えばディスプレーはHDMIやDisplayPortではなく、USB-Cでつながるのが当たり前になると考えていたはずです。デスクに戻ってケーブル1本をつなげば、ディスプレー表示と充電が実現できるのが当たり前、というわけです。
もしディスプレーがUSB-Cで接続できれば、キーボードやオーディオなどの周辺機器もディスプレイのUSB-Aポートに接続することができます。もっともキーボードやマウス、ヘッドフォンもBluetoothの無線接続へ移行し、そもそもデスクまわりでケーブルが不要になる世界を描いていたのではないでしょうか。
しかし実際にUSB-Cで接続でき、給電もできるディスプレーは限られた選択肢で、若干高めの価格設定になっており、オプション扱いです。同様に、デジタルカメラからのデータ転送を無線で行なうのは難しいことから、メモリカードスロットはやはり必要になります。
そう考えると、Appleが5年前に「コンピュータの周辺機器との接続はUSB-Cに統一される」という未来像は、もろくも崩れ去った、外れたということであり、顧客の声に対応してレガシーなポート類を復活させたというのが、現状の評価になります。

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