画質設定により性能の出方が違った「Rainbow Six Siege」
ではここから実ゲームでのパフォーマンス検証となる。今回はAMDが機材貸与の条件として検証のレギュレーションを指定してきた。ゲームのタイトルにもよるが、画質は低〜中設定で行えというレギュレーションである。ただ最高画質設定にして“GPUがどこで音を上げるか”を見るのもそのGPUを知るのに重要なので、AMDと筆者のレギュレーションを並走させることにした。
即ち画質中設定と最高設定でベンチマークを走らせ、結果の出方に違いがあるかを見ることにしよう。ただVRAMが4GBという制約と時間的な猶予を鑑み、解像度はフルHDのみとした。
検証はFPS系、軽めのゲームから始めよう。まずは「Rainbow Six Siege」である。APIはVulkanとし、画質“中”と画質“最高”にレンダースケール100%を追加した設定の2通りで検証した。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。
まずRX 6600の平均フレームレートははRX 6500 XTの約2倍で、これは両者の回路規模の違いに近い値だ。そして驚きなのは3DMarkではRX 5500 XTと6500 XTは同程度の性能であったが、今回の検証ではRX 5500 XTの方がどちらの画質設定でも明らかに上の性能を示している。
描画負荷の高い最高設定ではVRAM使用量が5.85GB(HWiNFOによる報告値。RX 5500 XT環境での値)になるためVRAM 4GBのRX 6500 XTではVRAMが不足するから……という話ならば良いが、VRAM使用量2.9GBの中設定でもRX 5500 XTの方が優位に立つ。つまりRainbow Six Siegeのフレームレート単純にVRAM搭載量の制限だけでなく、メモリーバス幅やPCI Expressのリンク幅が影響していると推察できる。
とはいえ、フルHD&中設定で最低188fps〜平均244fps出ていれば、eスポーツ性の高いこのゲームでも問題 なくプレイできることも確かなので、「プレイに十分なフレームレートで動けばよい」と考えているなら、特に気にする必要もないだろう。
「Apex Legends」ではRX 6500 XTが優勢
続いては「Apex Legends」で試してみた。フレームレート144fps制限を解除(+fps_max unlimited)した上で画質中設定、即ち設定の段階が奇数なら中央、偶数なら中央より上側の設定、2段階の設定は全て上側とした設定と、最高設定の2通りで検証する。
射撃訓練場における一定の行動をとった際のフレームレートを「CapFrameX」で測定した。
今回の検証条件におけるVRAM使用量はVRAM 8GB版RX 5500 XT環境下で3.1GB/4.6GB(以降全てこの条件で計測)だった。Rainbow Six SiegeではVRAM使用量に関係なくRX 6500 XTが劣勢だったが、この検証ではRX 5500 XTよりも6〜8%上のフレームレートを出せており、さらに画質中設定でも最高設定でも出方に違いは見られない。つまりゲームエンジンとの組み合わせ次第では、64bit幅のメモリーバスやPCI Express Gen4 x4接続がハンデとならない場合があることが示されている。
RX 570やGTX 1650でもゲームにはなるが、画質中程度の設定では60fpsのキープも難しい。このような環境であればRX 6500 XTに乗り換えることで、34〜40%程度高いフレームレートで楽しめることも示されている。
負荷を上げると息切れした「Halo Infinite」
続いては「Halo Infinite」で試してみよう。画質は“中”と“ウルトラ”の2通りで検証する。フレームレート制限は解除し、対戦マップ「Fragmentation」のローカルホスト対戦を作成。マップ中の一定のコースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で計測した。
まず中設定では、RX 6500 XTはRX 5500 XTよりも6%程度上のフレームレートを出している。回路規模の大きいRX 6600との性能差は大きいものの、旧世代ミドルであるRX 570に対しては約70%、GTX 1650に対しては27%上の性能を発揮できている。
だが画質ウルトラ設定では、RX 6500 XTよりもRX 5500 XTの方が20%程度高いフレームレートを出している。VRAM使用量は中設定が3.5GBなのに対しウルトラ設定が6.3GBであるため明らかにVRAMが4GBのRX 6500 XTには不適。VRAM使用量を抑えるためには画質を下げ、メモリバスやPCI Expressバスへの負荷を下げる必要があるのだ。
重量級は厳しい「Far Cry 6」
FPS系最後として「Far Cry 6」を試してみよう。高解像度テクスチャーパックやレイトレーシング、FSRなどは全てオフとし、プリセットの“中”“最高”の2通りで比較する。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。
元々このゲームはミドルクラスのGPUにはやや荷の重い設計であるせいか、RX 6600でも60fpsキープをするには画質を下げなければならない。Halo Infiniteでは中設定であればRX 6500 XTがRX 5500 XTを上回ることができたが、Far Cry 6では中設定に落としてもRX 6500 XTよりも5500 XTの方にアドバンテージがある。
RX 570やGTX 1650よりもメモリーバス幅が狭い割にはほぼ同等のフレームレートを出せている点は後発のRDNA 2の強みといえるだろう。このゲームのVRAM消費量は中設定で4.9GB、ウルトラ設定で5.1GBだった。
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