「テレビの常識」を変える
レイアウトフリー&マルチコンテンツ対応のテレビ
コロナ禍に見舞われた一昨年と去年は、家の中で家族と一緒に楽しい時間を過ごすため、大画面テレビや立体音響が楽しめるサウンドバーがよく売れたと言われています。一方で、リビングルーム以外の場所にも簡単に移動ができて、テレビ番組や映画を見ること以外の用途にも活用できるマルチコンテンツ対応の大画面テレビの周辺が活況を呈してきました。
日本では昨年秋にパナソニックが“レイアウトフリーテレビ”「TH-43LF1」という、キャスター付きのスタンドで簡単に置き場所を移動できて、4Kチューナーも内蔵する43インチの液晶テレビを発売しています。
今年のCESではLGエレクトロニクスが「LG One:Quick Flex」という、専用のキャスター付きスタンドに載せて利用する43インチの4Kディスプレイを披露しました。本機はチューナーを持たない代わりに、無線・有線のインターネット接続とディスプレイのタッチ操作に対応。Windows OSの上でアプリを走らせることもできます。
本機はWebカメラとマイク、スピーカーも内蔵しています。筆者は仕事や家族とのビデオ通話にも活用できるコミュニケーションツールとして、本機にテレビの新しい進化のカタチを見た気がします。
実はソニーも、北米モデルとして発表した新しい8K/4Kテレビのオプションとして、テレビの上部フレームに装着して使う「BRAVIA CAM」という、センサーを内蔵するカメラユニットを発表しました。本機の機能はとてもユニークです。
テレビの前に座るユーザーの位置と距離をセンサーが検知して、テレビの画質と音質を最適化してくれます。ほかにもカメラの前に手をかざして電源や音量をジェスチャーで操作したり、テレビにビデオ通話機能を付与できる画期的な専用アクセサリーです。日本に上陸したら、筆者もぜひ試してみたいです。
かつて電話がスマホに進化したように、置き場所やコンテンツの自由度が広がることによって「テレビの常識」が変わる未来の足音が聞こえてきました。筆者も次に買い換える時には、使わない時間には片付けることができて、空いたスペースを有効に活用できるテレビがほしくなりました。2022年はテレビの周辺が再び熱くなると思います。
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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