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CES 2022レポート 第24回

コロナ禍で揺れるCESから見えたソニー「EV」と「メタバース」の変化

2022年01月14日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳 編集●飯島 恵里子/ASCII

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Shiftallが発売するVR用HMD「MeganeX」

メタバースに先んじて始まる「HMD」の世代交代

 CESの会期前から「今年のCESの目玉」と言われていたのが「メタバース」だ。とはいうものの、これは主催側・報道側に作られた目玉である、と言っても過言ではない。

 なぜなら、メタバースがここまでバズワードになったのも、2021年10月の「Facebook社名変更」からであるからだ。それ以前にも「メタバース」という単語は使われていたが、ここまでの注目はされてこなかったし、従来通り「VR」「AR」といった言葉が併用されていた。

 実際問題、CESで発表されたもののほとんどは、従来であれば「VR」もしくは「AR」のジャンルで語られていたものばかりであり、VRなどを使って「新しい時代の生活空間を作る」という広い概念である「メタバース」そのものを示すものはほとんどない。アピールする側の事情で看板が架け替えられたようなところがあるのは否めない。

 とはいえ、発表された事物が無意味なものである、と考えるのは早計だ。むしろ、数年間の地道な開発が実を結び始めた……と前向きに考えるべきである。

 特に筆者が興味深く思うのは、「ヘッドセットが新世代に突入しつつある」という点だ。例えば、パナソニックの子会社であるShiftallが発表したメタバース関連製品群、中でも小型のVR用HMDである「MeganeX」はその典型だ。表示デバイスとして2K解像度のマイクロOLEDを使い、軽量でメガネのようにかけられるHMDとして、2020年のCESで「パナソニックの試作品」として公開されたものだが、その後の改良を経て、VR関連サービスにより広い知見を持つShiftallが製品化を手掛けることになった。

 こうした軽量なHMDとしては、2021年末にHTCが「VIVE Flow」として発売している。価格も機能も異なるが、「高解像度でメガネ的な感覚で使えるHMD」という意味では似た部分がある。

ソニーは兼ねてから開発中だった「PS5向けVR機器」が「PlayStation VR2」であると公表

 ソニーは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントがPlayStation 5の周辺機器として開発中のVR用HMDの名称が「PlayStation VR2」であると公表、一部スペックも明らかにしている。こちらはデザインや重量などが未公表だが、今の世代に合わせた表示デバイスを選定して使うだろう、という想定が成り立つ。

 VR関連技術は2012年から「今のブーム」がスタートした形なのだが、10年を経て、そろそろ次の世代に移行しようとしているのではないだろうか。初期には「PCと接続」「大きめのディスプレイを魚眼レンズで歪ませて視界を確保」というパターンが一般的だったが、今は、より人の体に負担をかけず、表示解像度も高いものが増えている。

クアルコムとマイクロソフトは、ARグラス向けに半導体・ソフトウエアを含めたプラットフォームの共同開発を発表

 CESに合わせ、クアルコムとマイクロソフトは、AR用グラスに使われる半導体とプラットフォームの共同開発も発表している。これもまた、機器の世代交代には重要な要素だ。

 メタバースが実現するにはまだ5年・10年という開発期間が必要だが、2022年からは、その基盤となる「HMD」について、先に世代交代が始まる……と断言して良さそうだ。

 

筆者紹介――西田 宗千佳

 1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。 得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「ソニー復興の劇薬 SAPプロジェクトの苦闘」(KADOKAWA)などがある。

 

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