実用化したプロジェクトは、数年以内に全国自治体に無償提供を予定
曽根原 本プロジェクトの今後の展望はどのようなものになっていくのでしょうか。
後藤 ある程度基礎的な基盤ができたら、立ち上がったプロジェクトの中で実用化につながったものはベストプラクティスとして全国展開し、橋渡しをする仕組みを作りたいと思っています。時期としては数年以内を考えています。
橋渡しをする先が自治体なのか、交通事業者や観光事業者なのか、受け皿をきちんとみつけて探していくというのは難しいところですが、何らかの形で彼らにしっかりと提供して柔軟に活用していただける環境を作りたいと思っています。
またPRも必要です。本当なら地方をキャラバン形式で回ってアピールしていきたいのですが、コロナ禍のため難しいかもしれません。ぜひ、広く知ってもらい、実際使ってもらえるような機会を増やしていきたいですね。
うまく機能すれば、海外にサービスやシステムを輸出することも可能になると考えています。ですから1年や2年という短いスパンではなく、これから数年にわたって続く長期のプロジェクトとして、国土交通省として立ち上げていきたいと考えています。
曽根原 日本はいま、少子高齢化や経済成長の鈍化など、さまざまな課題を抱えています。データ活用にその活路を見出さなければ先がないと考えていますが、それを国交省という、サイバー・フィジカル融合社会でいうとフィジカルの省庁がやっているのが非常に印象的で面白いチャレンジだと思います。こういった取り組みが成功しないと、データはいつまでもビジネスにつながらないと思いますので、ぜひがんばってください。
後藤 今回たくさんの応募があり、採択に至らなかったプロジェクトについても、必ずしも評価が悪かったわけではありません。ぜひ今後も何らかのかたちでお手伝いできる仕組みを作っていきたいと思っています。 ただ、それも今回のプロジェクトの成果にかかっています。このプロジェクトに意義があったと評価されれば、来年度につなげることができますので、ぜひ成功に導けるようがんばりたいと思っています。
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