連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第11回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 12月4日~12月10日分
上場企業のデジ庁への期待は「行政手続き簡素化」、データ流通基盤市場の活発化と課題、ほか
2021年12月13日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(12月4日~12月10日)は、デジタル庁と新政権への期待、データ流通市場、企業情報サイトの消費者評価、マネージドEDR、CX(顧客体験)と消費者行動についてのデータを見てみます。
■[DX]新政権に期待することは「デジタル化推進」、デジ庁へは「行政手続き簡素化」 (公益財団法人 日本生産性本部、12月9日)
・上場企業が新政権に期待する経済政策は「デジタル化の推進」がトップ
・デジタル庁への期待トップは「行政手続きの大幅簡素化・オンライン化」
・自社にとっての新政権への期待は「デジタル関連投資支援」「規制改革」「企業の研究開発支援」など
日本生産性本部のイノベーション会議が10月31日の衆議院選前後に行った「新政権への期待とDXに関する緊急アンケート」速報版。対象は上場企業の経営者もしくはデジタル戦略専門役員で、約150社から回答を得た。新政権への期待として、66.4%が「デジタル化の推進」を挙げた。「デジタル化の推進」は、生産性向上のために政府がすべきことでもトップに。9月に発足したデジ庁に対する期待は、「行政手続きの大幅簡素化・オンライン化」(71%)が最多となった。
■[DX]国内データ流通プラットフォームは活発化、課題はプライバシー(IDC Japan、12月8日)
・「DATA-EX」「Project PLATEAU」などのプラットフォームが登場、取り組みは活発化
・リアル空間に関するデータ活用のユースケースは「高齢者の見守り」「保険料算定」など多数
・課題は「プライバシー保護」
データ流通プラットフォームとは、センサー、情報システムなどさまざまなソースから収集したデータを連携させることで新たな価値を創出するデータ基盤。今年で3回目の調査となり、リアルな空間に関するデータ活用のユースケースに着目して調べた。ユースケースは公共、都市、交通/物流、インフラ、製造、流通、金融など多岐にわたる。IDCでは「今後市場で扱うデータ増えることで非IT担当がプラットフォーム上で新しいデータを追加するなどのことができる必要がある」とコメント。
■[ビジネス]消費者による企業情報サイト評価、3年連続でサントリーがトップ(トライベック、12月8日)
・会社案内など企業情報コンテンツ6種類をユーザーが評価、サントリーが1位
・企業サイトを一新したユニ・チャームは前回45位から3位にランクイン
・高評価企業の共通点は、社会における自社の存在意義が明確であること
10月~11月、246社の企業情報サイトにある6コンテンツ(「会社案内」「ニュースリリース」「技術情報/品質・安全・安心への取組み」「サステナビリティ・CSR・環境への取組み」「IR情報」「理念・ビジョン」)に対するユーザー評価から「CCサイト指数」を算出した。有効回答数は1万3500人。サントリーは3年連続の1位で、自社の理念をサイト全体を通じて効果的に伝えているという。上位企業の共通点は、自社の存在意義を示し、それに紐づくビジョンや取り組みの内容を訴求していることだ。コロナ禍の影響か、安心・安全な製品への取り組みにも高い評価が集まったという。
■[セキュリティ]国内マネージドEDR市場が活況、2020年度は前年度比73%増の67.8億円(アイ・ティ・アール、12月9日)
・2020年度の国内マネージドEDRサービス市場は前年度比73.8%増の67.8億円に
・2021年度は前年度比53.5%増の104.1億円を見込む
・2025年までCAGRは22.4%で成長、2025年には186億円規模を予測
構築・ライセンス販売だけでなく、監視・分析なども含むマネージドEDR(Endpoint Detection and Response)サービス市場は2020年度、前年度比73.8%増の67億8000万円となった。ランサムウェアなど複雑、高度なサイバー攻撃の増加がアンチウイルスでは不十分という認識につながり、これがEDRへの注目につながっているという。中堅・中小企業をターゲットとしたベンダーなど、新規参入も増えており、2025年度は186億円を見込む。
■[生活][ビジネス]消費者の8割がCX向上求める、CX良好なら「購入を増やす」可能性は3.5倍(クアルトリクス、12月8日)
・顧客体験(CX)が良好の場合、これまで以上に多く購入する可能性は3.5倍
・「企業はCXを向上させる必要がある」は10人中8人
・改善すべきところは「価格・料金」「カスタマーサービスとサポート」など
米クアルトリクス(Qualtrics)が日本を含む世界23カ国・2万3000人の消費者を対象に、企業から製品・サービスを購入した際の顧客体験(CX)について尋ねた「2022年度 グローバル消費者トレンド」より。コロナ禍を経て「消費者が企業に期待する内容」と「実際に享受している内容」のギャップがこれまでになく拡大しているとのこと。消費者データを活用してCXを「超・個別化する」方法を確立するようアドバイスしている。
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