建設業のファイルサーバークラウド移行、コンサル業のランサムウェア対策/“脱・PPAP”導入事例
DropboxのCS担当者に聞く、よくある「企業の悩み」と解決のポイント【前編】
提供: Dropbox
幅広い業種/規模の顧客企業に導入され、活用されているDropbox Business。ただしその導入目的は、社内ファイルサーバーのクラウド化、リモートワーク対応、情報セキュリティ対策――など導入企業によって異なり、課題を解決する手法もまた多様だ。
そこで、日常的に顧客企業の声を聞き、活用のアドバイスも行っている同社 カスタマーサクセス(CS)担当マネージャの酒井瑞木氏に、現在の企業がどんな課題を抱えており、それをDropbox Businessの導入でどう解決しているのか、代表的な事例を挙げて紹介してもらった。
まず今回は前編記事として、「ファイルサーバーのクラウド移行」や「ランサムウェア対策/脱・PPAP」について紹介する。
顧客企業の課題:ファイルサーバーのクラウド移行
■I社(建設関連業/従業員 約300名)における悩み
・社内ファイルサーバーの運用負荷が高い
・リモートワーク時のVPNアクセスが遅い
・社外協力会社とのファイル共有手段が主にメール添付
最初に紹介するのは、建設関連業のI社における導入事例だ。情報システム部門が設置したファイルサーバーを社内ネットワーク経由で使い、協力会社など社外とのファイル共有は主にメール添付でと、いわばこれまでの企業で「最も典型的な」コンテンツ管理/共有のスタイルをとっていた。
そのため、抱えていた課題も多くの企業に共通する“よくある悩み”と言える。
たとえば、会社公式のファイルサーバーは情報システム部門が運用していたが、それだけでなく、各現場が独自判断で導入したNASやポータブルドライブも使われていた。ただし、それらが故障すると結局は情報システム部門に持ち込まれることになり、データ復旧にかかる外注コストや人的な手間がかさんでいたという。
また社外からのVPNアクセスの回線が細く、基本的にはオフィスに行って業務をしなければならなかった。外出先の現場にいても、夕方には業務日報を書くためだけにオフィスに戻り、そこから自宅へ帰るという移動の無駄がよく発生していた。
I社では、Dropbox Business(Advancedプラン)を導入することでこうした課題をまとめて解決した。ファイルサーバーの残り容量を気にする必要がなく、各種メンテナンスにかかるハードウェアコストや人的コストもなくなった。またユーザーは社内外のどこにいても業務ファイルへのアクセスが簡単にできる。共有フォルダや共有リンク、Dropbox Transferを活用して、社外の協力会社とのやり取りも手軽かつセキュアにできるようになったという。
●ポイント:「ファイルサーバーとの違い」を意識して運用の工夫を
I社のように、社内にあるファイルサーバーをクラウド移行するためにDropbox Businessを導入する、というケースは非常に多い。そこでのポイントとして酒井氏は、「ファイルサーバーとまったく同じではないので、運用のうえでは工夫したほうがよい部分もあります」と語る。たとえば、Dropbox Business上の「フォルダ構造」だ。
「ファイルサーバーの場合は、まず全社員がアクセスできる大きなフォルダを1つ作り、そこに階層の深いフォルダ構造を作るケースが多いと思います。しかしDropbox Businessの場合は、PC上のフォルダと同期させて使うのが基本ですから、サイズの大きなフォルダ、深い階層構造のフォルダを丸ごと同期するのは効率が悪く、使いにくくなってしまいます」
こうした特性を事前に理解して、Dropbox Businessの場合はフォルダを“小分け”する、「小さい/浅い」フォルダ構造を心がけるとよいとアドバイスする。これにより、必要なフォルダだけをPCと同期させる「選択型同期」がしやすくなり、フォルダの「ユーザー/アクセス権」もより細かく設定できるようになるからだ。
「もちろん、既存のファイルサーバーとまったく違うフォルダ構造にすると、ユーザーもとまどってしまいます。従来のものをベースにしつつ、Dropboxの特性にも合ったフォルダ構造を考える。それをパイロットチームで試してみたうえで、問題がなければ全社員に展開していく――こういった流れがおすすめです」
酒井氏はもうひとつ、情報共有ツールとしてDropbox Businessを活用するために、お互いに「情報を見つけやすくする工夫」をしてほしいと述べた。たとえば、フォルダ名の頭に連番を振って並べ替えをしたり、古いデータはアーカイブして同期対象から外すなど定期的に“整理整頓”したりすることがおすすめだという。
顧客企業の課題:ランサムウェア対策/脱・PPAP
■C社(コンサルティング業/従業員 約600名)における悩み
・ランサムウェア対策手段を迅速に導入せよというプレッシャー
・メール添付によるファイル共有をやめる“脱・PPAP”
次に紹介するC社では「ランサムウェア対策」が課題となっていた。同業他社でランサムウェア被害が発生し、会社上層部では至急対策が必要だと判断、Dropbox Businessの導入に至った。現在は、既存のファイルサーバーからのコンテンツ移行を順次進めている段階だという。
Dropbox Businessは「バージョン履歴」機能を備えており、ランサムウェア被害で書き換えられてしまったコンテンツを“巻き戻す”ことができる。ランサムウェアだけでなく、誤操作による上書きや削除からも回復できる、日常的にも便利に使える機能だ。
もうひとつ、同社は「脱・PPAP」という課題も抱えていた。上述のとおりDropbox Businessへの移行途中ではあるが、こちらの対策にはDropbox Transferを採用し、先行して社内に展開、利用しているという。
「これまではファイルをメールに添付する(PPAP)だけでなく、無料のファイル転送サービスを使ってしまうユーザーもいたようです。情報セキュリティやガバナンスの観点からこれらを撲滅したいと考え、Dropbox Transferを採用いただきました」
Transferを選択した理由は、「相手側にDropboxライセンスが不要」「有効期限やパスワードが簡単に設定できる」「誤送信してしまってもリンクを無効化できる」「大容量ファイルでも送信できる」といったものだという。誰でも簡単に使えるのでユーザー教育が必要なく、すぐに利用がスタートできる点もメリットだろう。
●ポイント:「Dropbox Transfer」と「共有リンク」の使い分け
Dropboxライセンスを持っていない相手にコンテンツを送信(共有)したい場合、Dropbox Businessでは上述したTransferと、共有リンクという2つの方法がある。これらはどう使い分けるのがおすすめなのか、酒井氏に聞いてみた。
まず両機能の違いを見てみよう。Transferの場合は、クラウド上にコンテンツのコピーを作るかたちになり、ドキュメントフォルダなど「Dropboxフォルダの外」にあるコンテンツでも送信できる。一方で、共有リンクはDropbox内に保存されたコンテンツの送信(共有)に限られるが、送信後でも送信元ユーザーがコンテンツに変更を加えれば反映される特徴がある。
「Transferの場合は送信時点のコピーになるので、たとえば最終的な完成物の納品などに向いています。また、ダウンロード/閲覧回数が簡単に確認できるので、たとえばセミナー参加者への資料配付などにも便利に使えます。最大100GBまで転送できるメリットを生かし、メディア関係のお客様では大容量動画ファイルの納品に、建設や製造のお客様では3D CADファイルの転送に使われている事例があります」
一方で共有リンクは、たとえば制作中のコンテンツをクライアントに確認してもらう、建設図面を協力会社に共有するといったケースで便利だという。同じリンクURLを開けば、常に最新バージョンのコンテンツが確認できるからだ。また、社内向けの教育コンテンツを配布する場面でもよく使われているという。
「なお、共有リンクを使って社外(チーム外)にコンテンツを共有する場合に、有効期限やパスワードの設定を必須にするという管理者設定もできます。こうしたセキュリティ向上のための機能もぜひ使いこなしてください」
* * *
酒井氏が紹介してくれた“企業の悩み”と対処法の事例はまだあるのだが、少し長くなってきたので続きは後編記事に譲りたい。皆さんの会社における課題解決のヒントになれば幸いだ。
■使いこなしを動画で学べる「Dropbox University Online」開設!
Dropbox Japanでは、Dropbox Businessユーザーを対象としたウェビナーを公開するポータルサイト「Dropbox University Online」を開設している。
ユーザーがDropbox Businessの使いこなしを深く学ぶためのコンテンツはもちろん、管理者が社内展開していく方法もわかりやすく解説している。また、ユーザー/管理者の成熟度に合わせた、操作方法のデモ動画もパッケージ化して紹介している。
下記のポータルサイトから誰でも無料で視聴できるので、ぜひ活用いただきたい。
●Dropbox University Online:https://navi.dropbox.jp/university-online
(提供:Dropbox)
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