東プレREALFORCE、待望のワイヤレスキーボードが11月1日発売
東プレは10月26日、REALFORCE(リアルフォース)ブランド・マスターシリーズのキーボードの新製品として「R3 キーボード」を発表した(発表時の記事はこちら)。
11月1日の販売を開始まで、あと2日に迫った同製品。その使用感を試したので、レポート形式でお届けしたい。
R3 キーボードの主な特徴は、以下の通りだ。
R3 キーボードの注目ポイント!
・シリーズとしてはじめて、デバイスとのワイヤレス接続に対応。接続方式はBluetooth 5.0で、ワイヤレス接続に対応するモデルは、USB接続にも対応するハイブリッドモデルとしての展開。USB接続専用モデルも用意される。
・ラインアップは20モデル。そのすべてが、高速入力を可能にするAPC機能を搭載。APCの深さは従来の3段階から4段階に増え、最も浅い0.8mmが追加された。さらに専用ソフトウェアを使うことで、キーマップの入れ替えにも対応する。
・キーボード上面のパネルはユーザー自身で脱着が可能。別売りの「パネルデザインキット」を使用することで、好みのデザインにカスタマイズすることもできる。カラーキーキャップセットは、新色を加えて全8色展開で用意。
・押下特性は30g、45g、変荷重から選択できる。カラーはブラックとホワイトの2色展開。ハイブリッド、USBモデルともに10キーあり/なしモデルをそれぞれ用意。ラインアップ20製品中、16製品がワイヤレスとUSBの両接続に対応するハイブリッドモデルで、4製品がUSB接続専用モデル。ハイブリッドモデルの内、押下特性45gのモデルにのみ非静音仕様を用意。USB接続専用モデルは、押下特性45g、非静音仕様のみ。
・直販サイトの「REALFORCE Store」のほか、 楽天市場、Amazon.co.jpで販売。価格は仕様により異なり、2万3980円から3万4980円まで。
押下特性も、カラーも、10キーの有無も好きに選べる
バリエーション豊富な20種類をラインアップ
つまり、押下特性、カラー、10キーの有無、Bluetooth接続の対応/非対応について、好みに応じて選択できるようになっていて、かつユーザーの好みに合わせた外観のカスタマイズもできるというのが、R3 キーボードの最大のメリットである。見た目は同じでも、どのモデルを選んだかによって、使用感が異なるというわけだ。
USB接続専用モデルについては、押下特性が45gしか用意されていないので、Bluetooth接続をするつもりが一切なく、かつ30gや変荷重のモデルを使いたいというユーザーは、ハイブリッドモデルをUSB接続して使うしかない。その場合、ハード的にはBluetooth接続に対応している分、価格はアップする。
またレアケースかもしれないが、「30gや変荷重で、敢えて非静音仕様を選びたい」という場合は、その仕様そのものが存在しないので、押下特性を優先するか、非静音仕様を諦めるかという判断が必要になる。
しかし! それを加味したとしても、これだけ豊富な仕様がラインアップされていることは凄まじい。国内に自社工場を持っていて、長年のあいだキーボードを作り続けている企業だからこそ成せるワザではないだろうか。
3種類を使い比べてみた!
レビューにあたって試用したのは、以下の3種類だ。
・R3HA12(押下特性:変荷重、接続方式:ハイブリッド、10キー:有、静音仕様)
・R3HC21(押下特性:45g、接続方式:ハイブリッド、10キー:無、静音仕様)
・R3UC31 (押下特性:45g、接続方式:USB、10キー:無)
説明不要かもしれないが、押下特性は、どれくらいの重さをかければキーを押し下げられるのかということである。つまり30gより45gの方が、打鍵するのに15g多い荷重が必要になる。変荷重の場合は、ホームポジションに手を置いていることを想定して、人差し指で押すキーを45g、小指で押すキーを30gに設定している。指の筋力の強さに合わせて、キーの軽さを変えているのだ。
押下特性:変荷重の「R3HA12」と、押下特性:45gの「R3HC21」を使い比べてみた。30gと45g、数字だけ並べると「45gは重いのか?」という印象を持ちそうだが、そのようなことはなく、ほかの多くのキーボードと比べてみても、平均的か、むしろ軽いと感じる。
R3 キーボードに採用されているスイッチは機械式でなく、静電容量式だ。スイッチの中の接点と接点が物理的にカチッと当たってキーの入力を認識するのではなく、接点同士が近づいたことを静電容量の変化で認識し、キーが入力されたと判断する。
この機構が、5000万回の入力耐性という驚異的な耐久性と、特有のなめらかな打鍵感を実現している。キーを押した感触は本当に心地良い。このキーボードに慣れると、ほかのキーボードには戻れないだろうと感じる。キーの入力を受け付ける深さを調整できるAPC機能も、この機構があってこそ実現している。
その上で、R3 キーボードの45gという押下特性は「軽く押せるが、押そうと思わなければ押されない」という絶妙な重さだと思う。ちょうど良い。ちょうど良すぎる。静音仕様モデルの打鍵音は「カチャカチャ」というより「スコスコ」といった響きで、耳にも心地よい。
一方の変荷重モデルは、初めて触った印象としては、やや独特な打鍵感だ。というのも、指の筋力によってキーの荷重を変えるという細やかな配慮は、普通のキーボードでは一般的ではない。私たちは、全てのキーが同一の荷重で設計されたキーボードの打鍵感に、すでに慣れているのだ。
しかし、しばらく打鍵してみると、この設計は理にかなっていることがわかる。改めて手持ちのキーボードを触ってみると、小指で打鍵するときは、無意識に力を強めに入れていることに気づいた。
人差し指と小指の筋力が異なることを、身体が知っていて、無意識の内に指ごとの力加減をコントロールしているということだ。また長年キーボードを扱う中で、人差し指と同じ力の入れ具合で小指を使って打鍵すると、入力が認識されないことがあると、学習していたということにもなると思う。
30gのキーを人差し指で押すと、45gのキー以上に負荷が少なく、ほとんど力を入れなくてもキーが沈み込む。45gのキーボード以上に、変荷重モデルに慣れてしまうと、ほかのキーボードには戻れなくなるだろう。
R3 キーボードの購入にあたって、まず押下特性をどれにするかで悩むと思うが、個人的なおすすめを挙げるなら、スタンダードな45gが第一のおすすめだが、弱い力で、流れるようにタイピングするスタイルを持っているなら30g、このキーボードでしか味わえない、細やかな設計の妙を体験したいなら、変荷重モデルということになるだろうか。
押下特性の選び方のポイント!
・45g……スタンダードな使用感。程よい抵抗感があるが、重くはない。静電容量式スイッチならではの、なめらかな打鍵感が味わえる点では、ほかの押下特性と変わらない。
・30g……軽く、45gより弱い力でのタイピングが可能。特にAPC機能で、キーを認識する深度を0.8mmや1.5mmという浅めの設定にしている場合、なぞるようなタイピングしやすい。
・変荷重……人差し指で押すキーは45g、小指で押すキーは30g。はじめはやや独特な打鍵感にも感じられるが、慣れれば、一般的なキーボードよりも小指にかかるストレスが軽減されていることが実感できる。
静音仕様と非静音仕様に関しては、完全に好みで選んでしまって良いと思う。非静音仕様といっても、けたたましく音が鳴るというよりは、「静音仕様モデルよりは音が鳴る」といった程度で、どちらかというと静かな部類に入ると感じた。強めに打鍵すると、時折「カチャッ」という音が混ざるイメージだ。
打鍵感も微妙に異なり、静音仕様モデルよりも、非静音仕様モデルの方が、深めにキーを押し下げたときに、わずかに抵抗感が強まるポイントがあるが、双方をじっくり比べてみて気付ける範囲にとどまっている。