「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」発表! グーグル独自CPUに、ソフトウェアが超強力なカメラ 第17回
「Pixel 6 Pro」ならではの光学4倍ズームやゲームでの高品質環境、5Gで2Gbps通信をチェック
2021年10月26日 01時00分更新
Tensorはゲーム用途にも最適!
原神60fps動作などを試した
Pixel 6 Proはリフレッシュレート120Hzのディスプレーに加え、グーグルが開発した高性能SoC・Tensorを搭載。ゲーミング性能についてもこだわったモデルとなっている。
まずはTensorの性能について見ていこう。Tensor はCPUにCortex-X1(2.8GHz)×2コア、Cortex-A76(2.25GHz)×2コア、Cortex-A55(1.8GHz)×4コアのオクタコアを搭載。GPUには20コアのMali-G78を搭載。さらに、機械学習処理のTPUと画像処理のISPなどを内包。セキュリティーチップのTitan M2MTも搭載する。
Tensorチップ搭載自体はPixel 6 ProとPixel 6の両モデルとも搭載しているが、メインメモリーはPixel 6 Proが12GB、Pixel 6が8GBと差が付いている。
実際にベンチマークを取ってみたが、Pixel 6と同様にAndroidスマートフォンとしてはトップクラスの性能を確認できた。Snapdragon 888と比較した場合、CPU性能は譲るがGPU性能は約20%増といったところだ。ゲーマー向け仕様と言えるだろう。
さらに、Pixel 6/6ProとAndroid 12では新たに「設定→アプリ→ゲームの設定」という項目が追加された。いわゆるゲーム支援機能で、Pixelユーザーにとっては待望の機能だ。
機能は現時点で、重要な物以外の通知をオフにするサイレントモードや、画面上に実際のフレームレート表示、画面録画やスクリーンショットのショートカットボタンの追加などだ。また、YouTubeライブのモバイル配信が有効なアカウント(チャンネル登録者数が1000 人以上)ならライブ配信も利用できるようだ。アプリごとの最適化はまだ対応タイトルは少ないが、アプリによってパフォーマンスや標準などの動作設定も変更できる。
ゲームダッシュボタンやショートカットボタンは画面端へスワイプ、または画面端から中央にスワイプで小型化と表示を切り替えられる。
実際のゲームの動作についても見ていこう。
現時点で最重量級となるゲームタイトル「原神」は、最高品質かつ60fps設定で、通常時は実際に60fpsでのプレイが可能だった。ただ、長時間プレイすると発熱もありfpsが落ちる。実際のプレイではもう少し軽い設定にするか、冷却しながら遊ぶといいだろう。Pixel 6 Proのほうが、Pixel 6より熱を持ちやすい印象だ。なお、Pixel 6/6 Pro発売前の現時点では、このタイトルに限り音に若干ノイズが載る現象を確認できた。新チップかつ新OSなので、リリース当初は仕方ないだろう。
「World of Tanks Blitz」は、Pixel 6 Proの120Hzディスプレーとゲーム最適化の両方に対応した数少ないタイトルだ。設定で120fps表示を設定でき、実際に120fpsの滑らかな描写でプレイできる。だが、ゲーム最適化の設定がゲーム内の設定とどちらが優先して適用されているのかは不明だった。
このほかのタイトルだが、Pixel 6 Proがリフレッシュレート120Hz対応でもPixel 6 Proで120fpsの高フレームレート表示が可能なアプリはまだ少ない。というのも、人気タイトルの多くは対応機種を指定しており、提携したメーカーのモデルのみ優先的に高フレームレート設定が提供されることもある。いくつか試したが、いくつかの機種が対応する「PUBG Mobile」の90fpsや「アスファルト9:Legends」の120fps表示はできなかった。
なお、「アリス・ギア・アイギス」のように実験的機能としてスマートフォンの最大解像度や最大フレームレートで動作させられるタイトルもある。
このほか、「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」のようなリズムゲームや、「ウマ娘 プリティーダービー」などは特に問題なくプレイできた。
5Gミリ波対応で2Gbpsも!
発売当初はドコモと楽天の5Gに非対応
Pixel 6 Proだけの機能として、5Gのミリ波(mmWave)対応や、超広帯域無線(UWB)に対応している。前者は、各社が展開する5Gの周波数帯でも一番エリアは狭いが、その代わりにSub 6やNR化周波数より高速な通信が可能になる周波数帯だ。
利用できるSIMはnanoSIMに加えてeSIMに対応。デュアルSIMでも利用できる。最近はeSIMで契約できるキャリアも増えてきたので、いざというときのために安価な2つ目の回線を契約するのもありだろう。
超広帯域無線(UWB)は近距離での測位・測距を実現する無線技術で、有名なところだとアップルのAirTagがこれにあたる。だがこの機能はPixel 6 Proのみ搭載で、発売時は利用できない。将来的にアップルのAirTagのような機器の投入を期待したいところだ。
5Gとミリ波の対応に話を戻すと、Pixel 6 ProとPixel 6は発売当初5Gをauのネットワークと、ソフトバンクのネットワークでしか利用できない。ドコモと楽天モバイルの5G対応は近日提供予定となっている。
そこで気になるのが、スマホ自体を販売するauとソフトバンクはいいとして、UQモバイルやpovo2.0、ワイモバイルやLINEMOといったサブブランドでの動作だろう。
実際に試してみたところ、UQモバイル(5G対応プラン)とpovo2.0でも5G接続を利用できた。ミリ波やSub 6、NR化エリア共に利用できることを確認できている。povo2.0で天空橋駅周辺の5Gエリア(ミリ波・Sub 6)でテストしたところ下り2Gbps台/上り200Mbps台を確認できた。
ワイモバイルとLINEMOも5Gには接続できた。ただ、何度かソフトバンクの5Gエリアの接続を試した経験上、ソフトバンクの5Gエリアマップはかなりアバウトで、高速な5Gを利用できるSub 6やミリ波に繋ぐには点在するエリア表記のさらに中心地を探し出さないとなかなか繋がらない。今回も川崎駅前の4つのミリ波対応エリアとSub 6エリアを巡ったが、実際には5GでもNR化エリアであろう数十Mbpsの速度しか確認できなかった。
なお、ドコモのSIMで5Gエリアでの通信も試したが、グーグルの案内の通り現時点では5Gに接続できなかった。
【まとめ】Pixel 6 Pro最大の特徴は光学4倍ズーム!
撮影好きならPixel 6より魅力的だ
ここまでPixel 6 Proならではの機能を紹介してきたが、気になる機能はあっただろうか。正直、光学4倍ズーム以外の差は少なく、人によってはPixel 6で十分だろう。だがガジェット好きにとって、将来開始されるかもしれない「超広帯域無線」の展開なども気になるところ。カメラ好きの人のほか、最新ガジェット好きの人も、懐具合に余裕がある人ならとりあえずチェックしてみよう。
Pixel 6 | Pixel 6 Pro |
|
---|---|---|
価格 | 7万4800円(128) 8万5800円(256) |
11万6600円(128) 12万7600円(256) |
ディスプレー | 6.4型有機EL (20:9) 最大90Hz |
6.7型有機EL (19.5:9) 最大120Hz |
画面解像度 | 1080×2400ドット | 1440×3120ドット |
サイズ | 74.8×158.6 ×8.9mm |
75.9×163.9 ×8.9mm |
重量 | 207g | 210g |
CPU | Google Tensor(8コア) | |
内蔵メモリー | 8GB | 12GB |
内蔵ストレージ | 128/256GB | |
OS | Android 12 | |
5G対応バンド | Sub 6 (n1/2/3/5/7/8/12/14 /20/25/28/30/38/40/41/48 /66/71/77/78) |
Sub 6+ミリ波 (n1/2/3/5/7/8/12/14 /20/25/28/30/38/40 /41/48/66/71/77/78 /257/258/260/261) |
4G対応バンド | 1/2/3/4/5/7/8/12 /13/14/17/18/19/20 /25/26/28/29/30/32 /38/39/40/41/42/46/ 48/66/71 |
|
無線LAN | Wi-Fi 6E | |
FeliCa | ○ | |
カメラ画素数 | 50メガ (標準) +12メガ (超広角) /イン8メガ |
50メガ (標準) +12メガ (超広角) +48メガ (光学3倍) /イン11.1メガ |
バッテリー容量 | 4614mAh | 5003mAh |
生体認証 | ○(画面内指紋) | |
防水・防塵 | ○ | |
Qi | ○ | |
SIM | nanoSIM+eSIM | |
USB端子 | Type-C | |
イヤホン端子 | × | |
カラバリ | Stormy Black、Sorta Seafoam、Kinda Coral | Stormy Black、Cloudy White、Sorta Sunny |
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