“時計の役目ってなんだろう?” おそらく10年前なら、いちいちそんなことを考える人はほとんどいなかった。だが、スマートフォンが日常に溶け込み、時刻確認の主要な術となるにつれ、あらためて腕時計の存在価値が問われ、見直されようとしている。そこで脚光を浴びている要素のひとつが、“ファッション性”だ。
腕時計は、サイズ的には装いのほんの一部、いわゆる“小物”に過ぎないが、全体の印象の決める重要なアイテム。機能やデザイン、選ぶブランドなどでライフスタイル(=価値観)をさりげなく周囲に伝えることができ、アイデンティティにもなり得る。
ただ、第一義はもちろん時刻を知ること。時計本来の機能性や品質が重要である。10万円アンダーの価格帯は、実力に富み個性的な艶もある“才色兼備”のモデルの宝庫。秋冬シーズンに腕元から気分をアゲる、旬な新作を紹介!
懐かしくも新しい。老舗による「着せ替え」可能な新機軸!
ボーム&メルシエ/ボーム ムーンフェイズ
「ボーム&メルシエ」はスイス時計産業の中心地、ジュラ地方で1830年から続く老舗。伝統的なドレスウオッチに加えアクティブなスポーツ系など幅広いコレクションを手がけているが、「ボーム」は従来の製品とは一線を画すモダンな軽やかさ、あるいは品位のあるミニマリズムといったファッション性の高さで注目される。
「ボーム」は当初、工具不要でストラップを換装できる“インターチェンジャブルシステム”の採用でカスタマイズの可能性を広げる新ブランドとしてオンライン限定で発足し、のちに「ボーム&メルシエ」に統合。現在はオンラインをメインに、直営ブティック 日本橋三越本店でも取り扱い、ラインアップの拡充も進んでいる。
気になる最新作は、艶やかなブルーサンレイの文字盤に、月の満ち欠けをグラフィックで表示する“ムーンフェイズ”を大胆に投入! 月と星を描いた回転ディスクの6時位置に当日の月齢が表示される仕組みで、神秘的な天体のスペクタクルを、スタイリッシュなデザインに見事に昇華している。
さらに、往年の懐中時計を思わせる12時位置のリューズや、シリンダー型のケース、マイクロブラスト加工が施されたブラックPVDのワイヤーラグなど、古参ブランドならではの手腕が生きる懐古調に、環境に配慮したアップサイクル素材のストラップといった今日的コンセプトが抜群に映える。ストラップは各種のバリエーションを単体で購入することができ、その日の服装や用途で使い分けることが可能だ。
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