自動化の対象業務はどう選ぶ? 開発側の担当は? RPAユーザー5社がパネル

文●大谷イビサ 編集●ASCII

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 ユーザックシステムが主催した「RPA研究会」 は、前半のユーザー事例に続き、後半はパネルディスカッションが開催された。ユーザー事例に登壇したテラオ、日伝に加え、シナジーマーケティング、富士通コワーコ、昭和電機の全5社が視聴者のリクエストに応える形で、自身の体験を披露した。

Autoジョブ名人のユーザー同士がパネルディスカッション

自動化する対象業務の選定は「定型化」が大きな鍵

 ユーザックシステムのRPA研究会はAutoジョブ名人ユーザー向けに開催しているオンラインイベントで、ユーザーの事例発表を中心に情報交換をするイベントになる。第2部のパネルディスカッションのモデレーターは、デスクトップ型RPA製品「Autoジョブ名人」の販売を手がけるユーザックシステムの渡辺大輔氏。知りたいこととしてアンケートの上位に挙がった「自動化した業務」を各社にヒアリングする。

 シナジーマーケティングでは、RPAで自動化する対象の業務を決める条件として、まずは「投資対効果」を挙げた。その作業にかかる時間を現場にヒアリングし、開発工数を見積もった上で、効果の得られるものをピックアップし、テストケースを作っているという。もう1つは定型化されているか。シナジーマーケティングの一松氏は、「ボタン押すレベルでちゃんと可視化できているか、人の判断が一切入っていないかをヒアリングしました。どんな人でも、その手順をなぞれば、同じように作業が再現できるというところにまで分解されていれば、すぐにロボット化できるはずなので」と語る。

 富士通コワーコは、外部から来た受注データを基幹システムへ取り込み、他社サイトへの納期回答、日次業務のメールでの報告などをRPAで自動化している。これらが選択されたのは、「作業頻度が高い」「負荷が高い」という業務のうち、「処理工程が単純」「イレギュラーが少ない」「締め切り時間が少ない」「作業環境が不変」といった条件だという。RPA化のしやすさを考えると、やはり作業が定型化されているかは大きなポイントのようだ。

RPA開発する側の担当は開発者とヒアリングを分けるべき

 続いて興味の高いRPA導入で工夫したことを聞いたところ、前半のユーザー事例(関連記事:RPA導入でEDI連携を加速した日伝が語る「構築と運用」のコツとは?)に登壇した日伝は、EDIのファイルをやりとりにメールではなく、セキュリティを考えてオンラインストレージを活用しているという。とはいえ、オンラインストレージも製品によっては、設定が難しかったり、コストがかかる。その点、日伝が選んだのは大塚商会の「どこでもキャビネット」だった。「ファイルパスでデータを置けるので構築が簡単。最近、バージョンアップして、ますます便利になってオススメ」と日伝の田中氏は語る。

参加者の知りたいこと、1位は自動化した業務、2位は工夫したこと

 昭和電機は一日約600件に上る納期回答をRPA化している。基幹システムからリストを出力し、顧客ごとの資料をPDFで作成し、メールでまとめて送信している。その他、勤怠管理システムではアルバイトの勤務表と勤務実態の照合、インターバル勤務のアラート出し、経理関係では請求書の確認や催促などもRPA化されている。このように社内の多くの部門でRPA化を行なっている同社としては、「スクリプトを作る担当」と「業務ヒアリングする担当」を分けて、負荷を減らすとともに、現場の要望を取り入れやすくしている。

 昭和電機の取り組みを聞いた富士通コワーコの宮嵜氏は、「RPAって、現場から離れれば離れるほど、作ったモノとやりたかったことのミスマッチが起こりえる。ミスマッチをどのように解消するかがカギ。一番楽なのは、現場の人が自分の業務を自動化するために自らスクリプトを作ること。でも、実際はなかなか難しい」と指摘。その上で、ミスマッチを解消するため、業務の作業風景を動画でとってもらい、なにをやっているかを把握しているという。

 また、テラオの寺尾氏は、一人でRPAを作っている経営者の立場として「ほかの人もおっしゃっている通り、本当は使う人が作るのが一番良いと思っている」とコメント。とはいえ、前半の事例講演(関連記事:難しいやん!から社長一人で始めたRPAがECサイトの受発注事務を軽減)の通り、現場から参加してもらった人の多くが脱落してしまったので、寺尾氏自体がまずは手作業で業務を実践した上で、スクリプト開発に取り組んだという。

 シナジーマーケティングは、プロジェクト管理と開発で役割を分担している。開発を担当した斉藤氏は、「業務の棚卸し、ヒアリング、実装、運用といった一連の作業のうち、業務のヒアリングに一番苦労を感じました。そこで、現場と粒度や目線を合わせるため、テンプレート化したヒアリングシートを作り、業務の目的を明確化しつつ、ヒアリングで使う言葉の定義を現場と認識あわせをしました」と語る。また、業務は「料理」、工程は「レシピ」、作業は「野菜を切ったり、煮たり、味付けすること」といった感じに分解して現場にイメージを説明したという。

 パネルの終了後に行なわれた第三部ではユーザックシステムが定期的に開催している「RPA交流会」の開催状況の説明、手書き帳票デジタル移行DXクラウドを謳う「Lapyrus(ラピルス)」の紹介、Autoジョブ名人の次期バージョンアップ情報、ユーザーコミュニティ「名人+(Plus)」を活用法などが紹介された。ユーザー自身が積極的にノウハウや体験を持ち寄り、RPAユーザーの不安や課題を解消できたイベントだったと感じられた。

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