今回の国内では発売されなかったXperiaのグローバルモデルは、2019年第1四半期に登場した「Xperia 10」を紹介します。モデル番号はシングルSIM/デュアルSIMモデルとともに「I41xx」。スペイン・バルセロナで開催される携帯通信関連の国際展示会「MWC19 Barcelona」で登場したモデルです。この年からラインナップを一新し、フラッグシップモデル「Xperia 1」に続くミッドレンジモデルとして発表されました。
「Xperia 10」は、「Xperia 1」と同じアスペクト比21:9というディスプレーを搭載しています。本体はこの頃から今でも続く縦長スタイルになりました。ボディーを手にすると横幅が抑えられていることもあり、非常に持ちやすくなっています。
ディスプレーサイズは約6型で解像度はフル HD+(1080x2520ドット)。ソニー独自のUIを実装して、21:9のアスペクト比を活かした2画面同時表示が可能です。たとえば動画を視聴しながらSNSのチェックや、チャットといったマルチウィンドウの使い方ができます。また、ディスプレーに連携したユーザーインターフェースとして、ディスプレーの左右の端をダブルタップすると、アプリのランチャーを表示する「サイドセンス」を搭載。時間や場所、使用頻度などユーザーのライフスタイルに合わせて次に使うアプリをAIが予測して、アプリアイコンやクイック設定項目を表示してくれる機能です。
デザイン的には以前の「Xperia XZ2」シリーズから一転、背面に移行して物議を醸し出した指紋認証センサーの位置は、元のサイドのポジションへと戻りました。以前の指紋認証センサーと違う点として、電源ボタンと指紋認証センサーはそれぞれ独立しています。インターフェースとしては、本体下部にUSB PD(Power Delievery)に対応したUSB Type-C端子、上部はイヤホン端子が復活しています。また、本体サイズは約68×156×8.4mm、重さは約162g。カラーバリエーションはブラック、ネイビー、ピンク、シルバーの4色展開でした。
スペックはミドルレンジで、CPUがSnapdragon 630に、メモリーは3GB、ストレージは64GB。外部ストレージは最大512GBのmicroSDXCに対応し、バッテリー容量は2870mAh。ただし、防水防塵機能がないこととワイヤレス充電などは未搭載です。
メインカメラはデュアルカメラを搭載。約1300万画素の1/3インチセンサーとF2.0レンズと、約500万画素の1/4インチセンサーとF2.4レンズの組合わせ。他社に遅れることながらミッドレンジにも複眼カメラをようやく採用しました。本体がフラットなぶん、カメラのセンサーのある部分のみ一段飛び出しているのが目立っています。
Xperia 10は、アスペクト比21:9という振り切ったディスプレーを採用したことで特徴ある使い道を見出し、デュアルカメラの使い勝手もよく、有線イヤホンをつかってのオーディオプレーヤー代わりとしても使えるなど、ミッドレンジとしての存在感を示したモデルです。
ミッドレンジ向けのCPUという事もあり、すべての欲求を満たすフラッグシップの「Xperia 1」の存在が一際光っていましたが、それでも価格的には非常にリーズナブルで、新たなXperiaの体験をもたらす役割を担っていく元祖となるのです。
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