走りの気持ちよさは受け継がれている
それではステアリングを握ってみることに。現行のメガーヌは、GTのほかR.S.、R.S.トロフィー、R.S.カップ仕様と色々と試乗しており、激辛のR.S.トロフィーなどと比べ、メガーヌGTは「走っていて丁度よい楽しいクルマ」だと記憶しています。
4種類ある運転モードのうち、標準状態の「My SENCE」であることを確認。「グレードダウンでしょ?」という気持ちがないわけではなかったのですが、いざ乗り出すと「これ、楽しいじゃないか!」と笑顔に。走行モードはディスプレーを使って行います。トップのメニュー画面もしくはシフトレバー近くの「ルノー・マルチセンス」ボタンを押して、走行モード画面を呼び出すのですが、他車がボタン一つで切り替わるのに、いちいち画面をタップするのは面倒といえば面倒。さらに言えば、Apple CarPlayではすぐにメニュー画面に切り替わるのに、カーナビが動いている時は、いったんホーム画面に切り替えなければならず。走行モードは、ステアリングの操舵フィールなどが細かく設定でき、自分好みのクルマにカスタマイズできます。
R.S.は言うまでもなく、GTほど引き締まった足ではありませんが、一般的な日本車よりは遥かにスポーティー。ちょっとした段差でも突き上げてきますが、では嫌な衝撃かというとそうではなく。この適度な足が街乗りを楽しいものにさせてくれます。
鈍なハンドリングではないのも高ポイント。切れ込みの良さはさすがルノーといったところです。一方、GTやR.S.ほど「切れ込む」わけではありませんから、扱いやすいかなとも。いわゆる「シャーシが勝っているクルマ」で、GTやR.S.ほどではないにせよ、コーナーも想像を超えるほど速く旋回できますし、楽しめるのは◎。
さらにイイのが「適度なパワー感」。街乗りでパワー不足を感じないのは、トルクフルだから。街乗りで車線をリードできるどころか、きっと乗った人は誰もが「ホントにこれで標準グレードなのか?」と疑うこと間違いナシ。でありながら「街中で踏める」のが、R.S.とは大きく異なるところ。逆に言えばR.S.グレードはパワーがありすぎて街中では踏めないのです。
踏んで楽しさを覚えるのは、CVTではなくDCTだから。ある程度回転数が上がってからシフトチェンジする、CVTでは味わえぬ楽しい感覚。さらに面白いのが、1800回転あたりから、わずかですがタービン音と思われる甲高い音が聞こえてくるところ。この1.3リットルエンジンはメカニカルな音も排気音も静かで、標準仕様車としては正しい選択であるものの、走りが好きな人としては音的に物足りなさを感じる部分でもあるので、タービン音を聴かせるという演出は新しく、それでいて楽しさを覚えました。
SPORTに変更すると、シフトタイミングやアクセルのツキ、そしてステアリングの操舵フィールが変わる様子。ちょっと演出が変わる程度なのですが、誰でもどこでも「SPORTモードで走ってみようかな」と思わせる塩梅がとても上手。R.S.になるとステージを選ぶので、ルノーはターゲットユーザーの気持ちをよく理解しているなぁと感心した次第。
高速道路では、さすがに追い越しなどの中間加速で「もう少しパワーがあれば」と思わなくもないですが、必要にして十分。運転支援系に目をやると、ストップ&ゴー機能付きのアダプティブクルーズコントロールを新採用。車間距離は4段階で調整でき、最も狭い設定での車間は約2秒と標準的。残念ながら車線監視機能付きステアリングコントロールは搭載されていないのですが、車線逸脱警報は搭載されているので、疲労軽減には大きな効果を発揮することは間違いなさそう。
【まとめ】普段使いにピッタリだけど
走りもいけちゃうカジュアルモデル
確かにメガーヌR.S.はワインディングやC1では確実に楽しく、クルマ好きのドーパミンがドバドバ噴出すること間違いナシなのですが、一般道では苦行に感じるところも。今回のメガーヌは、どこでもどこまでも楽しめる「普段使いにピッタリ」のクルマに仕上げられています。カーライフをシリアスに楽しみたい方はメガーヌR.S.を、カジュアルに楽しみたい方は標準仕様のメガーヌを、というルノー・ジャポンの戦略は実に明快であるとともに、「基本的に同じ車種」で叶えてしまったルノーの懐の深さに驚いた次第。R.S.を持っていたら普段使いは標準仕様が欲しくなるでしょうし、標準仕様に乗っていたらR.S.が欲しくなっちゃうこと間違いナシという、実に罪作りなラインアップです。
さすが、人生を積極的に楽しむ国民の手による自分たちのためのクルマ。人生を楽しみたい人にメガーヌはピッタリの選択といえるでしょう。

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