「いつ金になるの?」と聞かれながらも社会課題に向き合った

企業がSDGsに取り組むのは大変だが、そのぶん成果は大きい

文●小島寛明

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笑顔で福島の子どもたちを支援しよう

――初期は、どんな研究に取り組んでいましたか。

 女性の研究員が多かったこともあり、まずは女性にフォーカスした企画として立ち上げたのが、働く女性向けのコーディネート支援アプリ「Happy Closet」です。

 GIGAスクール構想などで注目される教育分野では、2014年に立命館守山中学高等学校と連携して、学習進度や理解度に応じて学習コンテンツを提示するアダプティブ・ラーニングシステムの仕組みを実証しています。

――イノラボが設立された2011年は、東日本大震災の年として記憶に残っています。

 震災からの復興に向けて、テクノロジーで何かできないかと考え「笑顔で、福島の子どもたちを支援しよう」というプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトはイノラボが仕掛けた、SDGs的取り組みの走りだと思います。

 当時、歯ブラシメーカーのデンタルプロが「笑顔で歯磨きをしてもらうキャンペーン」をしていました。

 笑顔になると、口角が上がったり、目尻が下がったりするじゃないですか。それがどれくらいいい笑顔になっているのか、「スマイルミラー」というサイネージで100点満点の判定をする。ソニーがデジタルカメラに搭載している笑顔検出エンジンをサイネージに転用して作ったものです。

 これを点数に応じた仮想通貨を貯めていく仕組みにしたんです。サイネージに向かって笑顔になる人が増えると、より多くの仮想通貨が貯まる。貯まった仮想通貨をデンタルプロが買い取り、その資金で福島の子どもたちを大阪に招待しました。

 笑顔を判定する仕組みは、その後、さまざまなイベントや地域で展開されています。

――研究テーマを決めるときは、どんなプロセスを経るんでしょうか。

 ラボなので上司がこれをやりなさいと一方的にテーマを与えることはせず、メンバーの内発的動機を大事にし、企画を立案してもらいます。ただし、テーマは独りよがりなものにならないよう、みんなが共感できるものかどうかは重視しています。

 イノラボは、最初から社会課題に取り組もうということではなかったのですが、オープンイノベーションに資する、他者から共感できるテーマを考えていった結果、社会課題にフォーカスしたテーマが多く推進されていったのかなと思います。

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