Tiger Lake-H世代のクリエイティブ/ゲーミングモデルはスゴイ
厚み16mm切りでデスクトップ級の性能を実現!Core i9-11980HK搭載ノートPCレビュー
2021年09月08日 11時00分更新
CPU性能はデスクトップPC向けのCore i7相当?
ここからは実際の性能を検証していきたい。まずはTiger Lake-HのフラッグシップであるCore i9-11980HKのパフォーマンスは、デスクトップPC向けCoreプロセッサーと比べてどの程度のものなのかを見てみよう。そのために準備した検証環境は以下の通りだ。
リファレンスノートPCの主なスペック | |
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ディスプレー | 16インチ液晶(2560×1600ドット) |
CPU | Core i7-11980HK(8コア/16スレッド、最大5GHz) |
グラフィックス | GeForce RTX 3060(VRAM 6GB) |
メモリー | DDR4-3200、16GB×2 |
ストレージ | 512GB SSD(PCI Express 4.0×4接続)×2 |
OS | Windows 10 Pro 64bit(October 2020 Update) |
比較用デスクトップPCの主なスペック | |
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CPU | インテル「Core i7-11700K」(8コア/16スレッド、最大5GHz)、インテル「Core i5-11600K」(6コア/12スレッド、最大4.9GHz) |
CPUクーラー | Corsair「iCUE H115i RGB PRO XT」 (簡易水冷、280mmラジエーター) |
マザーボード | ASRock「Z590 PG Velocita」(Intel Z590、BIOS 1.80) |
グラフィックス | ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」(GeForce RTX 3060) |
メモリー | G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」(DDR4-3200、16GB×2) |
ストレージ | Corsair「CSSD-F1000GBMP600」(NVMe M.2 SSD、1TB) |
電源ユニット | Super Flower「Leadex Platinum 2000W」 (80PLUS PLATINUM、2000W) |
OS | Windows 10 Pro 64bit(May 2021 Update) |
まずは定番のCGレンダリングベンチマークソフト「CINEBENCH R23」の結果から見てみよう。マルチ/シングルスレッドテストともに10分以上回してからスコアー計測に入るモードで検証している。
今回、比較用デスクトップPCのCPUにあえて最上位のCore i9-11900Kではなく、Core i7-11700KやCore i5-11600Kを選択した理由はここに示されている。コア数ではCore i7-11700KやCore i9-11900Kと同じ8コア/16スレッドだが、Core i9-11980HKはTDPが65W(cTDPによりPL1は定格45Wではなく65W設定になっている。PL2は109W)に抑えられている。
そのため、マルチスレッドもシングルスレッド性能もデスクトップPC向けのCore i5-11600K(TDP125W)よりやや劣る。これは約16mmというボディーの薄さも大いに関係しているだろう。そういった意味では、ノートPCでほぼデスクトップPC向けCPUに近い性能を発揮している点は素直に褒めるべきだろう。
また、CPUの性能が最も影響しやすいのは動画エンコードや写真編集といったクリエイティブ系アプリの処理時間だ。そこで、次は動画エンコードソフト「Media Encoder 2021」で4K MP4動画を書き出す時間を計測する。動画素材は動画編集ソフト「Premiere Pro 2021」で編集した再生時間約3分の4K動画だが、これをMedia Encoder 2021にキュー出ししてエンコードした。エンコード設定はVBR/1パス、ビットレートは平均50Mbps。H.264とH.265それぞれの処理時間を比較する。
結果はCINEBENCH R23よりもデスクトップPC向けCPUとの差が大きくなり、デスクトップPC向けCPUの半分程度のパフォーマンスであることが示された。CINEBENCH R23ではCore i5-11600Kに近いスコアーなのにエンコード時間がここまで長くなる理由としては、メモリーの動作がGear 2であることが考えられる。しかしながら、この性能が薄型ノートPCに搭載できると考えれば有用と考える人もいるだろう。
RAW現像/写真編集ソフト「Lightroom Classic」を使った検証では、ライブラリーに読み込んだ61メガピクセルの調整付きDNGファイル100枚を最高画質のJPEGファイルに書き出す時間を比較する。書き出し時にシャープネス(スクリーン用、適用量標準)を付与しているので、このテストのCPU負荷もかなり高い。
Media Encoder 2021ではH.264でほぼダブルスコアーで負けたCore i5-11600Kに勝ち、Core i7-11700Kにほど近い結果になった。CPU負荷が激しく上下するため、TDP65W制限が足枷になっていない(=デスクトップPC向けCPUはTDPの高さが活かせない処理である)ことが示されている。動画編集も苦手ではないが、どちらかといえばRAW現像や写真編集で輝くCPUと言えるかもしれない。