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Windows Info 第286回

Windows 10が起動しない場合の最終手段「Windows RE」の基本

2021年08月01日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII

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Windows REコマンドプロンプトを利用する

 Windows REのトラブルシューティングで「コマンド プロンプト」を選択すると、Windows REのコンソールが起動して、コマンドを使って修復作業ができる。なお、起動するのはコマンドプロンプトだが、メモ帳やレジストリエディタのような簡単なGUIプログラムも起動できる。ただし、エクスプローラーは動作不可能だ。

 表示されるコンソールウィンドウは1つだが、「Start cmd.exe /k」で複数のコンソールウィンドウを開くことは可能。ただし、多くのコマンドは2つのコンソールから同時に起動できないことに注意したい。

 基本的には、Windowsのコマンドプロンプトウィンドウと同じだが、起動したときにドライブ文字が「X」になっており、これがWindows REの起動ドライブとなる(なお、XドライブはWindows RE内のコマンドからは見えないようになっている)。従来の起動ドライブは、基本的にそのまま残っているはずである。

 基本的には、回復作業などは、コマンドラインから行う。以下の表は、利用可能な主な回復用コマンドだ。Windowsが起動できなくなるのは、多くの場合、ストレージのトラブルだ。もし、メモリやCPU、あるいはメインボードなどに問題があれば、そもそもWindows RE環境自体が動作できていない可能性が高い。そういうわけで、ここでは主に起動ドライブに関連するコマンドを挙げた。

プログラム 実行ファイル名 解説ページ
システムファイルチェッカー sfc.exe リンク
ドライブのチェック chkdsk.exe リンク
ディスク、パーティションの編集 diskpart.exe リンク
ブート構成ストアエディタ bcdedit.exe リンク
ディスク構成の修復 bootrec.exe リンク
BCDブート修復ツール bcdboot.exe リンク
レジストリ編集(GUI) regedit.exe リンク
レジストリ編集(コマンドライン) reg.exe リンク
Windows RE構成変更 regentc.exe リンク

 まずは、diskpart.exe。PCの起動ドライブ(たぶんCになっている)や、ファイル待避用に接続した外付けドライブ、USBメモリなどのドライブ文字はここで確認できる。diskpart.exeを起動するとサブコマンドを受け付ける状態になる。ここでは、「disk」、「partition」(part)、「volume」(vol)を扱う。「list disk|part|vol」で一覧を表示、「select disk|part|vol 番号」で対象選択、選択した対象の情報は「detail disk|part|vol」とする。抜けるときには「exit」だ。

diskpart.exeの実行例。ただし写真は、Windows REではなく起動中のWindows 10でキャプチャー

 状態を確認し、Cドライブが読み出せるようなら、どうしても必要なファイルをCドライブから救出することを最優先にする。Windowsを修復するのはその後だ。というのは、修復の過程でドライブをまっさらにする場合もあるからだ。ファイルのコピーなどは、Windowsのコマンドプロンプトと同じである。USBメモリや外付けドライブを接続したら、diskpart.exeでドライブ文字を確認し、copyやxcopy.exeを利用してファイルを転送する。その上で、以下に説明するようなコマンドを使ってWindowsの修復を開始する。

 もし、Cドライブを読むことができて、修復が可能そうな場合には、Windowsなどのシステムファイルを修復する「sfc.exe」が利用できる。これは、Windows RE内では、

sfc.exe /SCANNOW /OFFBOOTDIR=c:\ /OFFWINDIR=c:\windows

となる(インターネットにある多くのsfc.exeの実行例は、起動中のWindowsからする例であることに注意が必要)。

 ドライブ自体のチェックには、「chkdsk.exe」を使う。これは、ファイルシステムが壊れているような場合に修復が可能だ。このコマンドでは、修復時にドライブを一時的にマウント解除するため、カレントドライブをX:に戻して実行する。もし、チェック対象がCドライブなら

chkdsk /x C:

とする。これでファイルシステムの修復が実行されるはずだ。ただし、chkdskがするのはファイルシステムのレベルで、クラスターの読み取りエラーなどを回避する程度しかできない。場合によっては、逆に被害を拡大させる可能性もないわけではない。だからこそ、実行前に読み出せる重要なユーザーファイルは待避させておくべきだ。

 Windowsの修復機能は、Vista、7、8、10とバージョンを追うごとに進歩してきており、ユーザーの誤操作でWindowsがどうしようもない状態になることはほとんどなくなり、「Windows 10の設定」→「更新とセキュリティ」→「回復」でほとんどの場合に対応が可能だ。

 昔から言われるように「動いているものを変更しない」は、いまでも有効。デバイスドライバーの更新などは、それぞれのメーカーのアップデート機能などにまかせたほうがよく、バージョンが低いからと手動でドライバーを更新するなどの力業はできれば避けたい。無理さえしなければ、ハードウェア故障以外では、Windows REを使うことはほとんどないはずだ。筆者も原稿書きに利用しているマシンでは、ここ数年、Windows REのお世話になるようなことはなかった。

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