5基のファンを実動チェック
ここからは検証用PCに取り付けて、各ファンを実際に動作させていこう。まずは各ファンの回転数ごとの騒音値を計測していこう。ファン回転数の制御には、NoctuaのPWMファンコントローラー「NA-FC1」を使用。各ファンの最低回転時や、回転率50%前後となる1000rpm、さらに200rpm刻みで最大回転までの騒音値を、ファン中心部から20cm離れた位置で計測している。
騒音計で拾えない音や、ノイズが大きくなるハズレ回転数など、個人の印象とともに各ファンの騒音値と特徴を紹介していこう。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | AMD「Ryzen 9 5900X」 (12コア/24スレッド、3.7~4.8GHz) |
CPUクーラー | ARCTIC「Liquid Freezer II 280 Rev.4」 (簡易水冷、280mmラジエーター) |
マザーボード | MSI「MEG X570 UNIFY」 (AMD X570、ATX) |
メモリー | G.SKILL「Trident Z Neo F4-3600C16D-32GTZNC」 (DDR4-3600 16GB×2) |
ビデオカード | Palit「GeForce RTX 3080 Ti GamingPro」 (GeForce RTX 3080 Ti、GDDR6 12GB) |
SSD | Western Digital「WD_Black SN850 NVMe WDS200T1X0E-00AFY0」 (PCIe4.0 NVMe、2TB) |
電源ユニット | Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W」 (80PLUS PLATINUM、1000W) |
OS | Microsoft「Windows 10 HOME」64bit版 (Windows 10 October 2020 Update適用) |
Noctua「NF-A12x25 PWM」
まずは、そのカラーリングが気にならなければ、イチオシな「NF-A12x25 PWM」だが、最高回転となる2000rpmでも、耳につく高周波音や低周波音はなく、騒音値は40dBAを超えているが、静かで生活音に紛れる感じだ。1600rpm以下も非常に静かで、耳ざわりな音はなく、常時回転させても大丈夫と感じる。さらに1000rpm時に、ファン間近に耳を持っていったが、風切り音や軸音が気になることはなかった。
Noctua「NF-A12x25 PWM」の騒音値 | |
---|---|
最低回転数 (450rpm) |
32.5dBA |
1000rpm | 33.3dBA |
1200rpm | 33.7dBA |
1400rpm | 34.2dBA |
1600rpm | 35.8dBA |
1800rpm | 38.5dBA |
2000rpm | 40.5dBA |
ADATA「XPG VENTO PRO 120」
続いての「XPG VENTO PRO 120」も十分静かかつ、1400rpm前後でも十分な風を生み出すが若干癖があり、「ブーン」という耳につく、うなり音を発する傾向にある。この音は回転数1200pmから徐々に大きくなるが、回転数が1500rpmを超えると減少、1650rpm前後で再び増えると、一定の回転数で発生する。PCケースや設置する場所次第では気にならないが、回転数固定での運用が必要になることもありそうだ。
ADATA「XPG VENTO PRO 120」の騒音値 | |
---|---|
最低回転数 (900rpm) |
33.1dBA |
1000rpm | 33.5dBA |
1200rpm | 33.9dBA |
1400rpm | 34.1dBA |
1600rpm | 35.5dBA |
1800rpm | 38.2dBA |
2000rpm | 41.1dBA |
2150rpm | 44.2dBA |
Cooler Master「MasterFan SF120M」
3基目はデザインや回転制御スイッチに惹かれる「MasterFan SF120M」だ。静音性抜群のファンが並ぶと、微々たる差だが騒音値は全体的に高くなっている。1000rpmの低速回転時から、ボールベアリングならではのシャー(シュルシュル)という音が耳につく。1400~1500rpm時が最も緩和されたように感じた。「XPG VENTO PRO 120」と同じく、固定での運用が必要になるかも。
Cooler Master「MasterFan SF120M」の騒音値 | |
---|---|
最低回転数 (650rpm) |
32.9dBA |
1000rpm | 33.4dBA |
1200rpm | 34.2dBA |
1400rpm | 35.3dBA |
1600rpm | 36.3dBA |
1800rpm | 38.2dBA |
2000rpm | 40.8dBA |
Thermaltake「TOUGHFAN」シリーズ
最後は「TOUGHFAN」シリーズだ。Noctua「NF-A12x25 PWM」と、そっくりな120mm径の「TOUGHFAN 12」だが、騒音値の傾向も同じで非常に静か。今回のテストでは、各回転数でわずかだが「NF-A12x25 PWM」を下回った。これは冷却性能にも期待できそうだ。
Thermaltake「TOUGHFAN 12」の騒音値 | |
---|---|
最低回転数 (500rpm) |
31.2dBA |
1000rpm | 32.1dBA |
1200rpm | 32.5dBA |
1400rpm | 33.2dBA |
1600rpm | 34.1dBA |
1800rpm | 38.1dBA |
2000rpm | 39.8dBA |
変わって140mm径の「TOUGHFAN 14」だ。軸受構造は同じだが、120mm径と比べると、さすがにうるさく、1400rpmで40dBAに達している。このあとの冷却性のチェックで使用するオールインワン水冷ユニットのARCTIC「Liquid Freezer II 280 Rev.4」が標準搭載している140mmファンの騒音値を参考として並べておくが、ARCTICファンの静音性はかなり優秀という点は忘れないでほしい。
なお、40dBAを超えてくると、シャーなどの耳につく音の有無は些細な違いになるが、「TOUGHFAN 12」と同じ軸受なので、1300rpm程度までの回転時に耳につく音はなかった。この回転数で運用した際の冷却性能がポイントだろう。
Thermaltake「TOUGHFAN 14」とARCTIC「Liquid Freezer II 280 Rev.4」標準搭載ファンの騒音値 | ||
---|---|---|
最低回転数 | 500rpm/31.8dBA | 350rpm/32.1dBA |
1000rpm | 32.8dBA | 32.9dBA |
1200rpm | 35.8dBA | 34.1dBA |
1400rpm | 40.7dBA | 36.2dBA |
1600rpm | 44.3dBA | 39.1dBA |
1700rpm | - | 41.1dBA |
1800rpm | 48.3dBA | - |
2000rpm | 51.1dBA | - |
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