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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第144回

iMacやiPadのスタンドをDIYで作る 市販品にはない“ピッタリ”を求めて

2021年06月29日 16時00分更新

文● 前田知洋 編集●ASCII

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市販のデジタルグッズはサイズが合わないことも

 今回は、DIYとデジタルグッズの相性の話です。

 ショッピングサイトなどを眺めてみると、PC周りのデジタルグッズは、アクリルやアルミなど、メカニカルな素材が目立ちます。たしかに、それらの素材は外見がクールだし、大量生産にも向いているから価格も手頃です。

 しかし、そうした市販のデジタルグッズは、自分の好みや、目的や場所などにジャストフィットしないというのが悩みどころでもあります。

 「ああ、サイズがあと5mm小さければいいのになあ……」なんて悶えながら、ショッピングサイトを巡るのも楽しみのひとつでもあるのですが……。

「家との相性」が大切になるデジタルグッズ

 これまで、PCや周辺機器は、オフィスなどのどちらかといえば無機質な場所で活用することが前提でした。しかし、テレワークやリモートワークの普及にともない、家のインテリアにマッチしやすいデザインに変わりつつあります。

 そのあたりの先見性は、やはりアップルのデザインに感じられます。新しく発表されたカラフルなiMacもそうですが、アップルストアのインテリアに木製品を多く採用していることから見ても、「ホームユース」「パーソナルユース」に相性がいいデザインなのは言うまでもないかもしれません。

 余談ですが、「スタバに行くとMacBookばかり……」というのも、そんなインテリアとデジタルグッズのデザインの関係もあると、筆者は推測しています。

iPadにベストな機器をDIYする

 筆者の趣味はDIY。もともとは、仕事で使うマジックの道具を製作するために始めました。でも、最近は「仕事は少なめ、時間は多め」なこともあり、「市販品では少し不満だったPC周辺グッズ」を趣味がてら製作しています。

 金属加工も多少はするのですが、上で説明したように木製品にこだわっています。その理由は、木は静電気が発生しづらく、軽量で加工が簡単なこと。何よりも、家のインテリアの邪魔をしないところが気に入っているからです。

 冒頭の写真のiPadスタンドですが、これは航空機のシートのモニターをイメージして作りました。市販のスタンドを使ったこともあるのですが、関節部がすぐに弱くなってしまうのが難点でした。

 材料は家にあった12mm厚の合板、アーム部は鉄筋コンクリートに使われる「異形鉄筋」を黒く塗装して使いました。異形鉄筋は10mmの太さなら、5.5mで500円以下で手に入る材料なうえ、ホームセンターなどで切断したり曲げたりする道具も借りられるので便利です。

 ベース部分は捨てようと考えていたイケアのフロアランプのベースを流用。木部はオイル(アマニ油)仕上げがしてあります。充電コードは黒のスパイラルコードで留めました。

家にあった材料だけで作ったiPad用スタンド。買ったのはアーム部の異形鉄筋(498円)くらい

キーボードとマウスが収まるiMacのスタンド

 もうひとつ紹介すると、愛用のHHKB(ハッピーハッキングキーボード)とゲーミングマウスがピッタリと収まる、iMac 21.5インチ用のスタンド。12mm厚の合板をコの字型に組んだだけに見えますが、天板と足を継ぎ合わせ加工し、背面にも補助板を入れてあります。

 視覚の邪魔をしないよう、ドイツ製の自然塗料(ワックス)のホワイトで木目を生かして仕上げました(贅沢というか、家に塗料が余っていただけなのですが……)。

iMac 21.5インチ用のスタンド。ヨーダのカゴにはSDカードなどを入れています

 最初は高さ8.2cmで作りましたが、少々高すぎたので7.2cmに変更しました。自分用なので、ムダに手間をかけつつも、気に入らなくなったら作り直せたり、修理できたりするのもメリットです。写真で見ると、テーブルの天板と合わせてオレンジのワックスにしても良かったかも……と思ってます(実際は気になりませんが)。

キーボードとマウスがジャストインするサイズ。DIYだと、サイズ調整や変更もすぐにできるのがメリット

集じん機もサイクロン式に進化

 さらに、前回コラムで紹介した集じん機(第143回「リョービの集じん機vsダイソンの掃除機 DIYで気づいた意外なポイント」)ですが、海外からサイクロンユニットを取り寄せてサイクロン式にしました。

工場チックな外見で2倍サイズになりましたが、サイクロン式でゴミ捨てがラクチン

サイクロンユニット部分。ホコリの分離具合を見るためにフタを透明で製作

 集塵実験をしてみると、200gのおがくずを吸い込み、シルバーのペール缶部分に197gがたまったので集塵率は「98%」ほどの計算になります。しかし、集じん機本体のタンクは、ほぼ空なので、おそらく静電気でホースの内側に付着していると予想しています。

 いずれにしても、DIY後の集じん機の手入れはほとんどなくなりました。ホースを38mmから50mmに変更したせいか、予想していたエネルギー(吸込仕事率の)損失も感じず、快適に使っています。

サイクロン式にして、毎日のフィルター掃除がなくなった

 自分の目的にピッタリのモノができるDIY。さすがにサイクロン集塵機は気が進まないかもしれませんが(笑)、PC周りなら、材料もそれほど使わないので、オススメです。でも、指先のケガなどには十分に気をつけてくださいね。……って、マジシャンが言うセリフではありませんが(汗)。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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