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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第145回

こんなことにも使える! 意外に便利な「ヒートガン」

2021年07月13日 16時00分更新

文● 前田知洋 編集●ASCII

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すぐに必要ではないけれど、ずっと興味があったヒートガン

 みんな大好き、アマゾンのプライムセール。筆者が選んだのは、液晶に設定温度が表示される「Anesty ヒートガン」と濃縮コーヒーメーカー「OXO BREW」。コーヒーメーカーは、夏に向けて2倍の量が飲めるように2台目です(「OXO BREW」については「コーヒー人生が変わる!? 「コールドブリュー」のおいしさを自宅で堪能する」をご覧いただければ嬉しいです)。

 ヒートガンは、いままでバーナーやヘアドライヤーで代用してきましたが、セールを機会に購入することにしました。

最高600度くらいの熱風を出すヒートガン

 ヒートガンをご存知ない方は、「ヘアドライヤーの強力なヤツ」を想像していただければ、ほとんど間違いはないでしょう。ただし一般的なドライヤーは温風が100度ほどに対して、ヒートガンは最高600度くらいの熱風を出すことができます。アクアリウムや水冷式PCの自作などが趣味の方には、アクリルパイプの曲げ加工用でなじみのある工具かもしれません。

今回購入したヒートガンは熱風の温度表示がされる製品

筆者のおすすめ、ヒートガンが役に立つシーン5選

1 シール、ステッカー、ラベル剥がし

 テレビ番組などでマジシャンが「選んだトランプにサインしてもらえますか?」とサインペンを差し出すシーンをご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。そのペンをよく見ると、メーカー名や商品名がないことにお気づきでしょうか。

 とくにプライムタイム(19時~22時ごろのCM放映料が高い時間帯)での番組では、露出する小道具のメーカー名に神経質になりがちです。以前は、収録時にスポンサーが決まっていることがほとんどでしたが、ここ数年は放映されるまで未定ということもあり「どんなスポンサーがつくかわからないから、とりあえずメーカー名は全部消しとく」がルールになっているようです。

 ご存知のように、サインペンはサイドに大きく商品名が書かれているモノがほとんど。多くの場合、リハーサルの間にスタッフが黒いビニールテープなどを巻いて隠します。しかし、電気系の仕事をしたことがある方はご存知かもしれませんが、ビニールテープは接着剤が特殊で、しばらくするとテープ全体がベタベタになるという欠点があります。

 解決策はメーカー名や商品名があるラベルを剥がしてしまうことですが、その辺りは各メーカーも対策をしているようで、各社が強力な糊でラベルを貼り付けています。無理に剥がそうとすると、白い裏紙が残って貧乏くさくなります。

 そんな強力のラベルの弱点は熱。いままで筆者はヘアドライヤーを使っていましたが、時間がかかる上に手が熱くなるのが難点でした。届いたヒートガンで試してみると、さすが専用工具。30秒ほどで剥がせる温度までラベルが加熱されます。

みんな大好き「ハイマッキー」(ゼブラ社)とテレビ用にラベルをはがしたモノ(設定温度100度)

 熱で中のインクが固まってしまわないか心配しましたが、加熱時間も短く済んだせいか問題なし。最近は、いろんな商品にいろんなラベルが付いているので重宝しています。

2 熱収縮チューブの加熱

 PCの自作やDIYで、リード線を接続したときに便利なのが熱収縮チューブ。もちろん、絶縁用のビニールテープでも代用できますが、上で説明したように後でテープの糊が溶けて、ベタベタになる欠点があります。熱収縮チューブを接続部分に使うことで、テープで巻いたりギボシ(結線用の端子)を使ったりするよりも、省スペースでスマートに見えるのも筆者好み。十分に熱をかければ、多少のひっぱりにも強くなります。

 以前はライターを応急的に使っていましたが、ヒートガンを使うと均一に熱が回るので、しっかりカバー(絶縁)できるのも気に入っています。

熱収縮チューブを使うと結線部分がスマートになる(設定温度は100度)

3 ネジや瓶のフタの固着をとる

 サビなどで回らなくなったネジや、瓶詰め食品のフタが回らない時にもヒートガンの出番です。とくにバーナーの炎が当てられない、樹脂類(基板など)が近くにある箇所や、潤滑剤を使った後など、ヒートガンなら発火のリスクを抑えて加熱できて便利。

 金属のフタのついた瓶がまわらないときは、フタの部分を加熱します。高温で加熱しすぎるとガラス瓶が割れてしまうことがありますが、バーナーや熱湯を使うのとは違い、ヒートガンなら低い温度から徐々に上げられます。

 これらは、ネジやフタの金属が熱で膨張することで固着が外れる原理を利用しています。

4 樹脂の白濁を取る

 車のバンパーなどに使われる樹脂は、経年と紫外線による劣化で表面が白っぽく変化することがあります。シリコン系オイル(ポリメイトなど)でも一時的に色を戻すことができますが、オイルが揮発するとまた白濁が戻るのが難点です。

 プロはバーナーを使いますが、やはり熟練のワザが必要なようで、僕らのようなシロウトはヒートガンがオススメです。均一に熱がかかり、表面を溶かしすぎないのがポイント。

空気入れの樹脂部の白濁を熱で戻す(設定温度は300度)

 ただし、ヘッドライトのレンズなどは、ヒートガンの熱で割れや変形することがあるのでヒートガンの使用は厳禁です。

5 塗装の除去

 塗料には、有機溶剤や水を揮発させることで固まる1液性のタイプと、エポキシ系塗料など、科学変化で硬化させる2液性のタイプがあります。1液性の塗料は、有機溶剤(シンナーやアセトンなど)で溶かして除去することもできますが、やっかいなのは2液性の塗料。サンドペーパーなので削るのが一般的です。

 専用の塗料剥がし剤もありますが、プラスチックには使用できないことや、木部には剥がし剤が浸透して汚れになることもあります。

 筆者は実践していませんが、ミュージシャンにはギターを塗り直すなんて強者もいるようで、動画配信サイトをみるとヒートガンによる古い塗膜除去の動画がいくつも投稿されています。

他にもいろいろあるヒートガンの用途

 ほかにも、シュリンクラップと呼ばれるラッピングフィルムを密着させたり、塩ビを溶接したり、塗装の乾燥を早めたりと、いろいろと使い道のあるヒートガン。

 有名工具メーカーのものは8000円ほどしますが、2000円前後の安価品を使ってみて、もし本格的に常用するようになってから、メーカー品に買い換えるのも良いかもしれません。筆者は安価品をセールで1600円ほどで入手しました。工具の置き場所に余裕のある方は、1台持っておくと便利な製品です。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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