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働き方改革待ったなしのトラック業界でのビジネスチャット活用

建材のトラック輸送を効率化した中村産業のLINE WORKS活用は、まるで団体競技だった

2021年09月24日 09時30分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 住宅建材の輸送を手がける千葉県千葉市の中村産業はドライバーや本部との連絡を円滑にするためにLINE WORKSを導入した。トラック業界では、どのようにLINE WORKSを活用しているのか? 導入を担当した中村産業の吉田義孝氏、実際のユーザーである吉永雅美氏に話を聞いた。

千葉県千葉市にある中村産業の社屋

トラックでの運搬はドライバーと本部との緊密にやりとりが必要

 千葉市にある中村産業は輸送・物流のトータルサービスを提供するロジスティック企業。形状や材質がさまざまで取り扱いの難しい住宅資材・建材のトラック輸送が事業の中心で、入出庫管理から在庫管理・加工、輸送までを手がける倉庫保管、展示品の保管・搬入出、設営撤去まで一括で提供するイベントサポートなどの事業も手がける。

 住宅建材を工事現場に運ぶ中村産業の場合、円滑な作業のために、ドライバーや本部との緊密な連携が欠かせない。住宅建材はサイズが大型なものも多く、1台ですべてを運べるわけではないため、協力会社も含めた複数の車両が連携して運搬を行なう。車両と荷量、運搬員のキャパシティ、停車スペースなどを総合的に考慮した上で、本部が適切に配車を指示する必要がある。その緻密な配車を担当する吉永氏は、「まさに団体競技みたいな業務」と語る。

中村産業 主任 吉永雅美氏

 現場では受け取る担当がいなかったり、建材の紛失や破損といったトラブルもあり得る。「現場に人が居なかったときに指示を仰いだり、キーボックスの番号を教えてもらったり、さまざまなやりとりが発生します」と吉永氏は語る。単純に現地までトラックで乗り付けて、荷物を降ろしたら終わりというわけではなく、複数の車両とドライバーがきめ細かに連携しなければ、作業がスムーズに終わらないわけだ。

電話を使うより確実で安全 点呼や体調管理にも利用

 こうした社員同士のコミュニケーション手段として、中村産業をはじめとした多くのトラック会社では携帯電話や利用している。しかし、道路交通法上、運転中の通話はもちろん禁止されているため、要件をSMSで送ることも多いが、SMSだと一度に送れる文字数も少なく、画像が送れないという弱点がある。また、ドライバー全員にリアルタイムに通達するような用途は電話では難しい。こうした課題から、社員どうしのコミュニケーション手段として、同社がLINE WORKSを導入したのは約3年前にさかのぼる。

 LINE WORKSを選定した理由として、中村産業でシステムと総務関係を担当する吉田氏は、「弊社は40代が多く、運輸業の中では世代的にまだ若い方だと思うのですが、幅広い世代でLINEが使われているので、LINE WORKSであれば使えると思いました」と導入までの敷居の低さを挙げた。現在は60~70人の本部社員とドライバーが社用端末でLINE WORKSを使っているという。

中村産業 課長 吉田義孝氏

 中村産業では、今まで電話とSMSでやっていたこれらのやりとりを、現在では多くの社員がLINE WORKSでやるようになった。ドライバーや本部のメンバーで必要に応じてグループを構築し、トークや音声・ビデオでやりとりしている。

 今まで電話を使っていた伝達事項も、ドライバーがナビ代わりに利用しているスマホにLINE WORKSの通知が表示されるため、運転中でも内容を確認できる。電話を使うより確実で、安全に通達できるのが大きなメリットだ。また、ドライバーの点呼や体調管理も、LINE WORKSのビデオ通話機能を使っており、労務管理という観点でも、もはや欠かせないツールとなっている。

ドライバーとのやりとり。写真を送れるのがメリット

業務担当と配車係とのやりとり。LINEと同じ使い勝手で業務の連絡や報告が可能

2024年問題への対応も。安全・健全なトラック業界を実現するためにはスマホの活用が不可避

 スマホならではの活用としては、画像の送受信が挙げられる。たとえば、工事現場に運んだ住宅建材を紛失してしまったり、傷をつけてしまったという場合は、荷主に報告する必要がある。その点、LINE WORKSがあれば、現場で撮影した写真を本部に送り、さらに荷主に共有するといったことが容易に行なえる。その他、荷主からのFAX、現場情報を書き込んだ地図なども、LINE WORKSを使ってやりとりしているという。

 吉永氏は、「今まではデジカメで撮影して、いったん事務所に戻ってから荷主に送っていたので、どうしても対応が遅くなっていました。LINE WORKSを使うようになってからは、やりとりがスムーズになりました。現場から写真をすぐに送ることができ、荷主も指示を迅速に判断できます」と働き方改革への寄与をアピールしている。口頭で説明する時間が大幅に短縮され、通話時間は5割ほど削減されたという。

 また、車両管理を担当する吉永氏が、特にメリットを感じているのはカレンダーだという。吉永氏は、「今までは、本社・千葉物流センター・倉庫など、異なる部署間の情報共有ができていませんでした。でも、LINE WORKSのカレンダーを使うことで、たとえば全車両の車検の満期を共有できるようになったので、あわてて車検の予定をとることもなくなりました」と語る。

掲示板での業務通達

カレンダーでは車検のスケジュールも管理

 中小企業が9割を占め、典型的な労働集約型産業であるトラック業界では、ドライバーの高齢化や労働力不足は深刻な課題となりつつある。また、時間外労働の上限規制が本格適用される2024年をめどに、長時間労働の是正や生産性の向上が必須となる。吉田氏は、「この業界では、労働時間をどんどん減らしていかないと、健全な経営ができない状況。法規制も多く、人材が流動的な業界でもあるので、ITをうまく活用し、働きやすい職場を作る必要があります」と語る。

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