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Slackが東京オフィス開設2周年イベント開催、ベルシステム24、クレディセゾン、NECネッツエスアイが出席

Slack先進ユーザー企業3社が語る「コロナ禍とこれからの働き方」

2021年04月30日 08時00分更新

文● 指田昌夫 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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Slack先進企業がリモートワークで取り組んだこと

 続いて、国内のSlackユーザー企業3社のDXリーダーと、佐々木氏によるパネルディスカッションが行われた。参加したのは、クレディセゾン 常務執行役員 CTOの小野和俊氏、ベルシステム24 DX推進担当 社内外コミュニケーション改革プロジェクトリーダーの川崎佑治氏、NECネッツエスアイ 取締役執行役員 常務の野田 修氏の3名である。

 まず、コロナによる働き方の変化とSlackの使い方について意見が交わされた。Slackが実現するのは、オフィスや自宅といった場所に縛られない「デジタルワークプレイス」だ。デジタルワークプレイス上の仕事は、今までの働き方と何が変わったのか。クレディセゾンの小野氏は、次のように話す。

 「コミュニケーションのデジタル化により、仕事のうえで記録することが大きく変わった。特にSlackを使えば、手軽なやりとりでもすべて記録される。こうした、いわゆる『カジュアルな記録』が習慣化していくと、過去の議論がSlackのリンクを貼るだけで共有できる。オフィシャルな議事録がなくなるわけではないが、Slackであれば議論の流れがどう進んだのかをリアルに感じ取ることができる。リアルオフィスでの会議ならば話した後で消えてなくなるものがデジタルで残っているので、微妙なニュアンスも参照しやすい」(クレディセゾン 小野氏)

クレディセゾン 常務執行役員CTOの小野和俊氏

 その際に注意したいのが、Slackに「堅苦しい」書き込みをさせないことだという。「他のツールで下書きして、Slackにコピペするような使い方はよくない。かしこまるとニュアンスが伝わらなくなり、後から見ても雰囲気がわからない。私は、長文の書き込みを見かけると注意している」(小野氏)。

 北海道から沖縄まで、全国37拠点の社員がSlackを使っているベルシステム24では、各地の社員がコロナ対策のアイデアをSlackのチャンネルに投げ込むことで、役に立つアイデアが瞬時に共有できたという。「コロナ対策がアジャイルにどんどん高度化していくのを目の当たりにした。こういう新しいやり方で課題解決ができるんだと驚き、Slack全社導入の決め手になった」(ベルシステム24 川崎氏)。

ベルシステム24 DX推進担当 社内外コミュニケーション改革プロジェクトリーダーの川崎佑治氏

 NECネッツエスアイの野田氏は、コロナ禍をきっかけとして、部門の垣根を越えた組織横断型のコミュニケーションが始まったと語る。

 「コロナ前から全社でSlackを使っていたが、当時は部門内のコミュニケーションに限定していた。コロナ禍によってほとんどの業務がリモートになったため、組織横断チームのチャンネル、承認プロセスのチャンネルなどを作って対応した。また、Slackのボットで社員の健康管理、出社予定を毎日管理し、オフィスの“密”を回避している。業務上でも、SI事業の作業予定や結果を共有するチャンネルを設けた。社員自身がアイデアを出して活用するケースが増えている」(NECネッツエスアイ 野田氏)。

NECネッツエスアイ 取締役執行役員 常務の野田 修氏

気楽な投稿とリアクションが「心理的安全性」を生む

 3社とも、Slackを場所にとらわれない仕事の基盤として利用するとともに、リモートワークによる社員の孤立を防ぐコミュニケーションのツールとして活用している。

 「メールで『今日はいい天気ですね』と書くのはおかしいが、Slackならそれができる。そういう他愛もないコミュニケーションの中に、疎外感がなく、つながりを感じることができると思う。この春は、全国の拠点から“桜便り”をリレーするチャンネルを作った。ちょうど今は北海道に達している」(クレディセゾン 小野氏)

 分散型の働き方で重視しなければいけないことは、「公平性」と「心理的安全性」をどう担保していくかだと、Slackの佐々木氏は話す。「誰かが発言したことに対して、それを受け入れて絵文字で返していくことで、反応を示すことが重要。また、ダイバーシティを重視し、違いを許容してそれに沿った働き方をしていくことが求められている」(佐々木氏)。

 小野氏は、Slackによって部署や役職、国といった境界がなくなり「フラットに会話できる」ようになる一方で、多様な人の間でのコミュニケーションが活発になることで「衝突も起きかねない」と指摘する。そうした課題を解消するためには、スタッフ一人ひとりの意識を変えていく必要がある。

 「私が社内に伝えているのが『HRTの原則』だ。これはグーグルが取り入れているもので、『Humility(謙虚さ)』『Respect(尊敬)』『Trust(信頼)』の頭文字を並べたもの。謙虚さを持って相手を尊敬し、信頼しようということだ。この考え方を踏み外しそうなスレッドには、私がリアクションで『HRT』と入れることもある」(小野氏)

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