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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第67回

ユニバーサルIEMの市場を作った記念碑的製品をブラッシュアップ

FitEar、約20年の成果が詰まった新モデル「TG334」をいち早く聴く

2021年04月19日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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同じ傾向の音だが、洗練度が高まった

 TG334の実機を使用できたので、インプレッションをお伝えする。

 青い半透明のシェルは、造形が美しく、FitEarらしさを感じさせる。サイズは初代よりも大きくなり、「TO GO! 335」(2019年)と同じシェルを使用しているようだ。標準ケーブルは細身でしなやかなので使いやすい。

 全体的にまとまっていて、バランス良く音が鳴っている感じは、MH334が元がであると十分に思わせてくれた。音の個性は、FitEar最新のTO GO! 335と似ていて、低音を減らしたような感じを受ける。ただし、低音は初代TO GO! 334でもそれなりにあったように、TG334でも少し多めに出る。これは、カスタム仕様からユニバーサル仕様になると遮音性や密閉度が減り、低域が抜けやすくなる点に配慮したためだ。低音は全体のバランスを崩さない程度にたっぷりとしていて、かなり迫力がある。

 高音域は解像感が高くマルチBAを感じさせるが、落ち着いていて刺激的なところは感じられない。性能的にはかなり高く、TO GO! 334当時はまだなかった「Astell&Kern SE200」や「Astell&Kern SP1000」のようなハイエンドDAPを使うと、本来の実力が発揮されるように感じる。

 TO GO! 334とTG334を比べてみると、音はBAドライバーなど基本構成が同じなので、印象はかなり似ている。ただし、細部に違いがあって、TG334の方がより洗練されたサウンドになっているように感じる。周波数特性がよりスムーズであったり、ジャズのソロパートでのドラムの歯切れの良さがTG334の方が鋭かったり……というような点に違いがある。

 TG334は初代のテイストを保ちながら、この10年の進化がたっぷりと詰まった新製品だ。

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