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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第140回

アップル「WWDC21」注目はU1チップ、そしてメガネ

2021年04月13日 09時00分更新

文● 松村太郎 編集● ASCII

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●2021年のWWDC、注目ポイント

 アップルは2020年のWWDCで、Macを自社設計のApple Siliconへ移行させることを宣言しました。その後登場したM1搭載Macまで見ても、近年で最もインパクトの大きなWWDCだったと振り返れます。

 では、2021年のWWDCの注目ポイントはどこになるのでしょうか?

 まずは、既に搭載デバイスが増えつつある中で、まだ積極的に活用されていないハードウェアをどうするのかというポイントがあります。たとえば超広帯域で正確な測距が可能なU1チップの存在です。

 iPhone 11に初めて搭載され、iPhone 12シリーズ、Apple Watch Series 6、そしてHomePod miniにも搭載されました。現在はAirDropで相手を探したり、iPhoneとHomePod miniのペアリングでの活用に留まっていますが、まだまだいろいろな可能性を秘めています。特に、HomePod miniに搭載されている点が気になっています。

 複数のHomePod miniを部屋に設置すれば、相互に位置関係を認識し、部屋の中の位置や動きをより正確にとらえられるようになります。

 前回の記事でご紹介した「HomePod miniを複数台設置することでサラウンド環境を作り上げる」アイデアのほかに、そもそも部屋に探しているデバイスがあるのかどうかを調べることができます。

 アップルは各デバイスのアプリとして「探す」(FindMy)を提供していますが、現在はGPSベースの位置情報であるため、家にありそうだとわかっても、部屋のどこにあるかまでは分かりません。U1チップを搭載するデバイスが増え、部屋にHomePod miniとしてU1チップが置かれていれば、Siriが、探し物の場所を、HomeKitで設定した部屋の名前を通じて教えてくれる、といったことはできそうです。

 HomePod miniを2台設置した部屋の中で、Apple Watch Series 6を装着している人の動きをとらえることもできます。固定された2点と、Apple Watchの動く人の位置や動きをとらえることで、部屋の中のストレッチなどのエクササイズの計測に、正確性が増すかもしれません。

 とくにAppleは、サブスクリプションサービス「Fitness+」を提供しており、Apple Watchの心拍数と連動する仕組みを実現していますが、連携する情報を、体の動きにまで拡げていくことができることになります。

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