アップルは毎年恒例行事となっている世界開発者会議「WWDC」を、2021年6月7日からオンラインで開催することを明らかにしました。
2020年のWWDCは、新型コロナウイルスの影響で初めてオンライン形式を選択しましたが、2021年6月も引き続き、オンラインで最新のプラットホームの技術やAPIを発表することとなりました。
米国ではワクチンの接種が急速に進展している一方、変異株などを含む「第4波」への懸念も報じられるようになりました。もともとアップルは2021年6月まで全社的なリモートワークを継続すると明らかにしていたため、2021年もオンライン開催を継続するだろうと筆者は見ていました。
●衝撃的だったWWDC20基調講演
これまでWWDCは、サンフランシスコもしくはサンノゼの大規模な会議場で開催され、初日の基調講演を皮切りに、アップル技術者によるハンズオンや、個別の技術に関するセッションが組まれていました。
リアルな会場のスペースに限りがあることから、参加費用は1500ドル(約17万円)と高額ながら、このチケットを奪い合う抽選が繰り広げられてきました。WWDCに参加する意志がある開発者が、必ずしも毎年参加できるイベントではなかったのです。
2020年に初めてオンライン開催となったWWDCは、基調講演もセッションもすべて事前に収録されたビデオで展開されました。特に基調講演はこれまで通り2時間ほどのプログラムでしたが、単にステージや演題での講演の様子を収録しただけではなく、Apple Parkをフル活用し、映像効果や場面転換などが緻密に作り込まれた「映像体験」でした。
この出来映えは「オンライン○○」の退屈な長時間映像が当たり前になっていた我々にとって、大きな衝撃を与えました。特に大学で講義をしている筆者にとっては、自分の90分間の代わり映えしないオンライン授業と比較し、猛省したことを今でもおぼえています。

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