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小島寛明の「規制とテクノロジー」 第119回

JPEG画像が75億円で落札 NFTとは

2021年03月22日 09時00分更新

文● 小島寛明

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 最近、あちこちのメディアで「NFT」(Non-fungible Tokens、ノン・ファンジブル・トークン)という言葉を目にするようになった。

 非代替性トークンと訳されているNFTは、数年前から仮想通貨関係者の間では知られていたが、この数週間で一気に注目が集まったようだ。

 NFTを一言で説明するなら、音楽やアート、トレーディングカードなどのデジタルデータに対して、「オリジナル」であるとの証明書を付けて、資産価値を持たせる仕組みだ。

 デジタルデータは本来、何度でも複製できるが、ブロックチェーン上に所有者の氏名や取得した日時、本人認証のためのデータなどを記録することで、「オリジナル」であることを証明する。

 3月11日には、「Beeple」の名義で知られるマイク・ウィンケルマン(Mike Winkelmann)のデジタルアート作品が、約6930万米ドル(約75億円)で取り引きされた。

 11日付のニューヨークタイムズの報道によれば、現在生きているアーティストの作品の中で、3番目の高値だったという。

 75億円の値がついたのは、複製可能なJPGファイルだ。

●版画の取引に似ている

 たとえば、版画はその気になれば何枚でも刷ることができる。

 しかし、作者が5枚しか刷らないと決め、刷り終えたら原版は壊してしまう。そうすると、その版画は世界に5枚しか出回らず、希少性が高いからこそ価格も高くなりやすい。

 この版画が高値で取り引きされているなら、コピー品で一儲けしてやろうと企てる悪人も現れ、贋作が市場に出回ることになる。

 そうなると、5枚のオリジナルには第三者による証明が必要になる。オークション会社はこうしたオリジナル作品に鑑定書をつけて競売に出す。

 デジタルアートに希少価値を持たせるNFTの仕組みも、よく似ている。

 デジタルアートもあらかじめ、何枚「刷る」のかを決めたうえで、オリジナルの作品にはNFTの仕組みを使って「本物です」との証明書をつける。

 ほぼ改ざんが不可能とされるブロックチェーン上に所有者の情報が記録されるため、コピーがネット上に無料で出回っていたとしても、市場で売買される作品がオリジナルかどうか、確認することができる。

 Beepleの作品の競売を手掛けたのは、大手オークションのクリスティーズだった。

●1ツイート、2億7000万円

 NFTの仕組みは、すでにさまざまな分野で応用が始まっている。

 とくに話題を呼んだのは、ツイッター社の共同創業者ジャック・ドーシー氏のツイートだ。

 著名人のツイートは、さんざんリツイートされて、どれがオリジナルかなんて、ほとんどの人が気にしないだろう。

 しかし、ドーシー氏はツイッターを立ち上げて最初に投稿したツイートのデータにNFTでオリジナルであるとの証明書を付け、チャリティーオークションにかけた。

 ドーシー氏の最初のツイートには応札が相次ぎ、250万米ドル(約2億7000万円)がついた。

 Sorare(ソラーレ)というサッカーゲームのプラットフォームは、実在する選手のカードを売買できる。

 選手ごとに希少性が設定されていて、もっとも希少性の高い選手は、1シーズンあたり1枚しか出ない。

 イタリア・セリエAに所属するクリスティアーノ・ロナウド選手のカードは、3000万円を超える値がついたという。

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