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miniも登場! iPhone 12、ASCII徹底大特集 第66回

えっ失敗作? 小さくても頼もしい「iPhone 12 mini」自腹レビュー

2021年02月20日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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1週間無充電はさすがに無理だったが本体サイズからの想像以上に長期間使え、最新のiPad Airにも迫る基本性能、暗い環境での撮影能力に今後しばらくの間、不満を抱くことなく使い続けられるものと確信

 iPhone 12 miniを使い始めてから、早1ヵ月以上が経過し、もうかなり慣れてきた。というよりも、すでに日常生活に不可欠な道具の1つとして溶け込んでいる。やはり、このminiの小ささや軽さは重要なファクターで、これに慣れると、もう他の機種やモデルには目が移ることはなくなるというのが正直なところ。何年かして、この個体になんらかの不具合が生じるまで、平穏な気持ちで安心して使い続けることができるだろう。

 今回は、本機を持ち運んで使う際に欲しくなる保護用のケースのこと、だいぶ落ち着いてきた実際の利用状況におけるバッテリーの持ち、通常の利用状況では意識することもないものの、いざという時を考えると頼もしい高性能について述べる。

 なお、iPhone 12 miniを選んだ経緯と第一印象については、「iPhone 12 mini 自腹レビュー どうしてminiを選んだか?」を読んで欲しい。

ケースは必要? 不要?
滑らせて落として壊したくないのでやっぱり使った

 電子機器に限らず、手に持って使うものは、本来最初からそれを意識して設計されているべきで、ケースなどに入れなくても、裸の状態で最も使いやすくなければならないーーというのが筆者の持論だ。ところがスマホの場合には、多くの人は何らかのケースに入れて持ち運び、そのまま使っているのが普通だろう。中には裸で使っている人もいるだろうが、少数派だと思われる。理由は、持ち運ぶ際に液晶面が他のものとぶつかったりして傷ついたり、衝撃を受けて割れたりすることを防いだり、誤って落とした場合に本体や液晶パネルに対する衝撃を緩和するためだろう。

 しかし、最近のスマホは、昔に比べればかなり丈夫になっているので、ケースの必要性は低くなってきていると考えられる。にもかかわらず、ケースを使う人が相対的に減っているようにも思えない。一種の習慣の力だろうか。

 筆者の場合もできる限りケースは使いたくはないのだが、機種によってはケースを使う。ただし、保護というよりも、主に滑り止めのためだ。年齢を重ねるに伴って手の脂の分泌量が減るのか、あるいは指紋が浅くなるせいなのかはわからないが、若い頃に比べて、物を持った際に滑りやすくなっているのは確かなようだ。これまでに使ったスマホでは、iPhone 6sが特に滑りやすかった。ちょっとツルツルした本体の素材に加えて、側面と背面の間にエッジがなく、かなり大きなアールが付いているためだと思われる。そこで、本体にピッタリ被さるような、かなり摩擦係数の高い素材、たぶんポリウレタン製のケースを使っていた。

 その後に使った大画面のAndroid機では、本体の表面に滑りにくい加工が施してあった。専用のケースが付属していたにもかかわらず、それを使う必要性はまったく感じなかったので、裸のまま使っていた。それで何の問題も感じなかったし、もちろん落としてしまうようなこともなかった。

 さて、このiPhone 12 miniはどうだろう。側面の素材自体は、iPhone 6sとあまり変わらないような気がするが、このデザインは側面が平で、裏面との間にもエッジが付いている。それだけで滑りやすさはだいぶ違う。それにこのminiのサイズなら、確実に掌に収まるので、しっかりと保持でき、ケースの必然性はさほど高くないと感じた。

 しかし、ちょっと引っかかることがあった。それは、カメラ部分のレンズの出っ張りだ。レンズの周囲はアルミの枠で保護されているため、レンズ自体にに無理な力が加わることは、そうそうないかもしれない。しかしそのレンズの枠が丸い円環状の突起となっているため、木のテーブルに直接置くと、テーブル側に傷が付きそうな不安がある。そうでなくても、座りが悪い。それを避けてディスプレイ側を下にして置くと、こんどは液晶面が直接テーブルなどに触れることになり、ちょっと気がかりだ。そこで、素直にケースに入れてみることにした。

 アップル純正のケースは、なんでもないシリコン製のケースでも税別5500円と、かなり高価だ。もちろんサードパーティ製のケースなら、その半額以下で色々と売られているのも知っているが、試しに使ってみるには、それでも高い気がする。そこで価格的に対極にある100円ショップで探してみることにした。

 実際に足を運んで、それらしい棚を見ても「iPhone 12 mini用」と書かれたものは見当たらない。商品名を書くと、何かと面倒なことになるからだと想像できる。しかしよくよく見ると、「for iPhone 2020 NEW モデル 5.4 inch」と書かれたものがあることに気付いた。2020年の新モデルで5.4インチは、iPhone 12 mini以外にはないから、それだとわかる。かなり透明度の高いポリウレタン製のクリアケースだ。ついでに、近くにあった、やはり5.4インチの新モデル用の「全面保護ガラスフィルム」というのも買ってみた。いずれも価格は税込み110円。しかも国産で山田化学という同じメーカーの製品だ。

 ガラスフィルムの方は、なんとなく面倒で、まだ試していないのだが、クリアケースの方の使いごこちは抜群だ。もちろんサイズもぴったりだし、コネクター部分など、細部の切り欠きの位置などにも狂いはない。ケースの内側には、細かい突起があるので、ケースとiPhone本体がペタッと密着することもない。そして何より大事なのは、狙い通りカメラ部分の突起がケースの表面よりも「低く」なり、直接テーブルに触れることがなくなった。ディスプレイの周囲にも、わずかな高さの「額縁」ができて、伏せておいた際の液晶面とテーブルの接触を防ぐ。

 どんなケースでも同様だと思われるが、このような額縁がディスプレイの周囲に付くことには、若干の不安もある。それが、画面のエッジの外からスワイプするようなジェスチャーの妨げになることだ。確かに、この土手のような盛り上がりがじゃまして、厳密に画面の端からジェスチャーを始めることができなくなる。しかし実際には、きっちりエッジ部分から接触が始まらなくても、スワイプジェスチャーは認識してくれる。操作する際に、縁が気にならないこともないが、それも慣れの問題だ。現実的には、操作上の支障はないことが分かって安心した。

 滑り止めとしてのケースの機能も良好だ。使い始めは、なんとなく油分が薄く塗ってあるような感じで、多少滑りやすかった。2〜3時間も経つころには、それもなくなり、ソフトな素材のおかげで、かなり確実に安心してホールドして操作できるようになった。これで110円とは、2020年に筆者が購入したすべての製品の中でも最高のコスパだったと断言できる。

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