“果て”の定義は捉え方によって変わる
小さい頃、太平洋(日向灘)を見てはこう思っていたものです。「この海の果てには何があるのだろう……」と。大雑把な正解だとアメリカなんでしょうが、それを知った子供時代の私は、デパートの屋上から「あっ!アメリカが見える!」と、妹を騙していたものです。
海の果てはありますが、そう言えば地球の果てはあるのでしょうか? 地球は球体ですから、平面的な意味では無いと言えますね。同じ方向にずーっと進んで行けば、きっと最初の場所に戻ってこられるはずです。ですが、地球を立体的に捉えた場合、宇宙空間と定義されている上空100kmの位置を地球の果てと言ってもいいかもしれません。逆に地下に潜った場合、地球の反対側に出るだけです。これを果てと言うにはちょっと難しいですね。
こういう話をしていると、あるひとつの問題が出てきます。そう、“宇宙の果てはあるのか問題”です。138億年前、ある1点からの大爆発で始まったとされる宇宙。そこからどんどん広がっている、と考えれば、どこかに果てがありそうです。変な話、大爆発直後の写真が撮れたならば、「宇宙になる部分」と「そうでない部分」が分かれていたかもしれません。もっとも、宇宙という時空間に生きている私たちですから、そもそも写真が撮れるのかという問題はありますが……。
宇宙の果てがあるのか問題については、いろいろな捉え方があります。結果的に、どうなっているかについての解答は1つなのでしょうが、その解答を得るのはかなり難しそうなので、捉え方によるそれぞれの想定される解答を考えていきたいと思います。
とにもかくにも、私たちが知る宇宙はだだっ広すぎる空間で、なおかつそこには時間が流れています。この宇宙を観測するために、専門家たちはいろいろな望遠鏡を使って、毎日のように観測、そして研究を進めています。しかし、実はこの観測に宇宙の果ての捉え方の1つがあります。それは“観測できる宇宙には限りがある”ということ。
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