このページの本文へ

佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第51回

イヤピースの位置で音色変化、カスタマイズが楽しいAcoustune「HS1300SS」

2021年01月25日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

医療技術採用の振動板や厳選パーツを採用

 ミリンクスドライバーの振動板に用いられるミリンクスとは、医療分野で人工皮膚や手術縫合糸などに使われる合成素材のこと。HS1300SSでは、それを薄膜化した改良型第3世代の10mm径ドライバーを採用している。ミリンクスの振動板としての特徴は、軽量で高い強度と柔軟性を両立していることだ(ムチのように強靭でしなるということ)。これにより、広いダイナミックレンジと良好な残響音再現の特性を持つという。

 Acoustuneイヤホンのもうひとつの特徴は、音響チャンバー部と機構ハウジング部を分離したモジュラー構造のメタルボディーだ。金属製の筐体はCNCでまるで精密機器のように削り出され、見た目の恰好よさを演出しているが、2つの部品に分けることで、オーディオ製品で大切な「共振の低減効果」もあるという。HS1300SSでは音響チャンバー部にステンレス、機構ハウジング部にアルミ合金を採用している。

 また、HS1300SS独自の特徴として、イヤーピース位置を2段階に調整できる機構を備えている。イヤーピースをはめ込む深さを変えることにより、自分の耳に合った装着感に変えられる。さらに、ノズル部分に低域調整用の小さなベント穴が空いていて、深くイヤーピースをはめ込んでこの穴をふさぐことで低音の量感を調整ができる。興味深い機構だ。これによって装着感と音質を標準(浅め)と深めの二通りにカスタマイズができるというわけだ。

 細いOFCケーブルを束ねた8芯構造の新しい「ARC61」ケーブルが標準で付属している。ケーブルとイヤホンを接続する端子には、日本ディックスが設計・生産する高品質の「Pentaconn Ear」(ペンタコンイヤー)端子が採用されている。このため従来のMMCXなどに比べてよりスムーズで確実なケーブルの抜き挿しが可能となっている。

 Acoustuneは交換用イヤーピースのブランドとしても知られているが、HS1300SSには全部で4種類9組ものイヤーピースが付属している。「AET07」は標準的なイヤーピース、「AET08」は中域から低域の厚みを伸ばすイヤーピース、「AET06」は遮音性重視のダブルフランジタイプ、そしてフォームタイプの4種類だ。これは小袋ではなくイヤーピース用のプラケースにまとめて格納されている。買ったままでもイヤーピースを変えて音をカスタマイズする楽しみがある。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン