イヤーピースの位置によって低音の量をカスタマイズ
HS1300SSは、音の均整がとれていて高音質なので、トーンバランスなどを変えて、自分なりにカスタマイズする楽しみがある。そのための要素が様々に用意されている。
先に書いたようにイヤーピース位置でも音の印象は変化する。イヤーピースを押し込むとより中高域が抑えられてやや暗めで低域の迫力が相対的に上がるように感じられ、また標準位置に戻すと音楽がより華やかな明るい印象となるように思える。例えば女性ボーカルとダブルベースのシンプルな曲でイヤーピースを押し込むと、ボーカルがやや落ちついた感じとなり、相対的にバックのベースがやや前面に出てくる。ただし、低音自体の量感は変わらないように思える。
イヤーピース位置による調整に加えて、イヤーピースによるチューニングも楽しめる。AET07は標準的な音で、AET08は中高域がやや抑えられて低音がより深く重く感じられる。
AET08の標準位置では、ボーカルはやや落ち着くが華やかな曲想はそのまま、低音がやや強調されるのでベースの音がより豊かになる感じだ。AET07の押し込んだ位置に比べると、AET08の標準位置では低音自体が増える感じがする。AET08でイヤーピースを押し込むと曲想自体がやや暗めになりさらに落ち着いた感じになる。
これはなかなか面白いと思う。AcoustuneのイヤホンはAET07が似合うことが多くよく使われていると思うが、こういった変化を楽しむためにAET08の出番が多くなるように思った。
また、これは別ブランドの製品だが、人気のあるAZLAの交換用イヤーピース「SednaEarfit Short」を使うとAET07装着に比べて音が全体に重めで誇張感が高くなり、より音が広がるように思える。AET07に戻す音は軽快でより明るく思える。
体温で装着感が変化する「SednaEarfit XELASTEC」では、音もより軽快になり、AET07のバランスの良さを保持したまま、個性が変わるというか、中高域がより晴れ上がったような聞こえ方になるように思う。特にボーカルでXELASTECを装着した効果が大きいようで、より明瞭に聞こえた。例えば手嶌葵のような透明感ある歌をさらに透明感高く美しく聞かせてくれる。
さらに次のステップとしては、リケーブルしてみるのもよいだろう。HS1300SSは、音の解像力は高いが透明感は上級機に譲る点もあるので、OFCをベースにシルバーコートされたケーブルが良いのではないかと思う。
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