このページの本文へ

ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第594回

数は力? RISC-VベースのAIチップを開発するEsperanto AIプロセッサーの昨今

2020年12月21日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

3種類のコアを展開

 2017年の時点で、同社は3種類のコアを開発する予定だった。まずはET-Maxion。こちらは絶対性能を追求したOut-of-Orderのコアであり、マルチレベルキャッシュやマルチコアのサポートを想定している。

ET-Maxionの概要。BOOM v2というのはUC Berkeleyがオープンソースの形で公開している64bit RISC-Vのコアである。とっかかりはまずここからという話だ。ちなみにBOOM v2の詳細はこちらで公開されている

 2つ目がET-Minionで、こちらはIn-Orderのコアであるが、その代わりベクトル拡張命令を搭載する予定になっている。また、おそらくはメモリーアクセスのレイテンシー遮蔽のために、複数スレッドもサポートされる。ちなみにこのET-Minionを利用して必要ならグラフィックス処理もできるとしている。

単に名前がMinionだから映画のMinionsのキャラクターを出しただけ、だと思う

言ってみればLarrabeeと一緒の発想である

上はUnityで作られたAdam、下はおなじみCrysisの画面。これはET-Minionを4096コア分集積した構成をシミュレーションでぶん回している結果なので、速度は遅いが確かにレンダリングはできている。右下が4096コアの負荷を示したグラフだ

 さて、このET-MaxionとET-Minionはそれぞれ単独のIPとして提供もされるが、これを組み合わせたAI向けチップをSoCとして開発するというのが2017年における最大の発表であり、なんと16コアのET-Maxionと4096コアのET-Minionを集積したものになるという。

いかにET-Minionがシンプルとは言え、それなりに面積を喰うベクトル演算ユニットを付けたものを4000個も並べたら、ダイサイズはすさまじいことになるだろうと思ったのだが、案の定であった(後述)

 最後の発表はDSE(Domain Specific Extentions)だ。RISC-Vはあくまで汎用命令であり、AIの処理には必ずしも適当というわけではない。そこで将来はAI向け処理命令やアクセラレーター駆動命令をDSEとして追加したRISC-V+DSEのスタイルを推進すべきだとしている。

このあたりの命令拡張が自由にできるのもRISC-Vを選ぶメリットの1つである

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン