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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第124回

音質、使いやすさ、そしてプライバシー:

アップル「HomePod mini」3つの良さがある

2020年12月02日 09時00分更新

文● 松村太郎 編集● ASCII

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●スマートじゃないスピーカー?

 ブラックフライデーのたび、アマゾンはAlexa対応製品にEcho Dotをオマケでつけたり、2個セット、あるいは3個セットで50%オフレベルの割引を設定するなど、とにかくいち早くスマートスピーカーをばらまこうという戦略で普及させました。これはGoogle Homeあらため、Google Nestも同様です。

 ばらまいてどうしたかったのかというと、1家1台ではなく「1部屋1台」にしたかったのです。そうすれば、場合によっては、家に住んでいる人数以上のスピーカーを売ることができます。たとえば一人暮らしでも、リビング、キッチン、洗面所、ベッドルームという具合。スマホは1人1台しか買いませんが、スピーカーは複数台で「面」を押さえたブランドの勝ち、という勝負でした。

 こうすることで、AlexaなりGoogleアシスタントなり、家の中のものを統べるAIの優位性が増し、人々に寄り添う(データを快く集めさせてもらえる)ことができる、というわけです。

 しかしこの目論見は、現状うまくいっていません。理由は2つあります。

 1つ目はスマートホーム市場が思いのほか盛り上がりに欠けている点です。スマートホームを実現するハードルを、現在までになかなか下げられなかったことが原因です。たとえば、スマートホームな朝の風景として、よくこんな描かれ方をしますよね。

 冬の朝、起きて「おはよう」と言うと、電気がついてカーテンが開き、淹れたてのコーヒーが香り、パンの焼ける香ばしい匂いが漂ってきて──

 これを実現するためには、家中の電球をスマート電球にして、窓には電動カーテンを取り付けなければならず、コーヒーメーカーは前日に洗っておき、パンはトースターにセットしておかなければなりません。

 ここで問題になるのは、家の中にかなり手を入れなければ、既存の住宅をスマート化できず、賃貸の場合、日本だけでなく米国でも手を入れられない部分が多いことです。なぜなら原状復帰をしなければなりませんから。加えて、自動的にコーヒーやトーストを準備するためには、「人が忘れず夜な夜な準備しておく」という、どう考えてもスマートではない光景を演出します。

 もう1つのハードルはプライバシーです。

 これまでAmazon EchoやGoogle Nestでは、人の声に勝手に反応して録音したり、勝手にCMで流れた製品を注文したり、いろいろなトラブルがありました。加えてFacebookが巻き起こした個人データの流用問題もありました。カリフォルニア州・バークレーに住んでいた頃、かなり多くの友人がスマートスピーカーの電源プラグを抜くという拒否反応も見られました。

 家の中にあるデバイスは、人々の暮らしのプライベートな部分に常時置かれるわけで、相応の配慮がなければ締め出されてしまう……。そんな良い例ではないかと思います。

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