しなやかできめ細かい聴き心地のよさ、DYNAUDIO「Emit M10」で聴く、堀江由衣・東京事変~表情豊かな声を味わう
2020年11月03日 13時00分更新
ソフトドーム・ツィーターの採用など、同社の特徴的ユニットを採用
ツィーターは、口径28mmのソフトドーム・ツィーターを採用。これはDYNAUDIOのスピーカーの共通の特徴だ。最近はハイレゾ音源の再生など超高域の再生能力が注目されることもあり、メタル素材を使ったツィーターを採用するモデルが多いので、今となってはユニークな特徴とも言える。メタル振動板の方が超高域の特性では優れるのも事実だが、ソフトドームのツィーターでも設計次第で超高域まで再生することはできるし、Emit M10で採用されるツィーターも布製の振動板の形状を工夫して特性を向上するほか、独自の冷却系や磁気回路によって優れた特性を実現している。なによりもそのしなやかで聴き心地の良い音色は大きな魅力となっている。
ウーファーは上級機でも採用される口径14cmのMSP(ケイ酸マグネシウム・ポリマー)振動板を採用。そして、DYNAUDIOのスピーカーは多くがインピーダンスが4Ωのものが多く、アンプへの負担が大きい傾向があるが、Emit M10はエントリークラスということもあり、ドライバーユニットやネットワーク回路を専用設計することでインピーダンスを6Ωとしている。このため、安価なアンプでも鳴らしやすく使いやすいモデルになっていることも大きな特徴だ。
そして、丁寧に仕上げられたエンクロージャーの作りも魅力だ。オーソドックスな箱形のエンクロージャーながら、前面のバッフル板は音の回折を防ぐため、四辺を斜めにカットしている。こうした加工をわざわざ施すこともこの価格帯では珍しいし、美しく仕上げられたエンクロージャーは板の継ぎ目が見えないようになっている。このあたりの仕上げの丁寧さを見ても、安価な価格のスピーカーとは思えないものだ。質感の高い塗装仕上げになっている点も高級感がある。
クラシックなスタイルと言っていいくらいの外観ではあるが、作りはしっかりとしていて仕上げも美しい。家具などと同様デンマークらしい職人的な物作りを感じさせる。良い意味で存在を主張せず、インテリアとも自然に調和するたたずまいは、古くささを感じるどころか、見ているだけでもホッとするような安心感があり、良い音楽を聴く気持ちを自然に盛り上げてくれるようだ。
この連載の記事
-
第12回
Audio & Visual
待望かつ優れた実力の新進ディスクプレーヤー、MAGNATAR「UDP900」「UDP800」を検証 -
第11回
AV
正確な音の再現のための卵型、イクリプス「TD307MK3」で聴く「YOASOBI/THE BOOK」 -
第10回
AV
懐かしい顔付きと現代的な音──JBL 「4312MⅡ」で聴く「Shiro SAGISU Music from_SHIN EVANGELION」 -
第9回
AV
熟成された音、DALI 「MENUET SE」で聴く「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト2202」 -
第8回
AV
Sonus faber「LUMINA I」で聴く、ベートーベン/交響曲第9番「合唱」 -
第7回
AV
Monitor Audio「Bronze50-6G」で「鬼滅の刃」主題歌/劇伴を聴く -
第5回
AV
ELACのCARINA BS243.4で「Song for LISTNERS」を聴く -
第4回
AV
カナダ発のブックシェルフ、パラダイム「Premier 200B」の美しさ、忠実性 -
第3回
AV
オーディオを本当の意味で自分のモノにする体験、自腹購入した「B&W 607」と「ELAC DS-A101G」を使う -
第2回
AV
ネットワークオーディオやドルビーデジタル音声にも対応する多機能アンプ エラック「DS-A101-G」 - この連載の一覧へ