吉野家に初めてひとりで入ったのはいつだったでしょうか。スーツを着た男性らがカウンターに肩を並べていて、いかにも“硬派”な食事処というイメージが当初からありました。同じく牛丼チェーン(正しく言うと牛めし)の松屋だと定食メニューや牛以外の丼ものも頼みがちだけど、吉野家に来たならばやっぱり「牛丼」。明治時代に創業して牛丼の歴史を作ってきただけに、そこにかけるプライドは並々ならぬものと受け取っています。
そんな吉野家から、ちょっと意外なアレンジメニュー「裏牛丼」が登場しています。
従業員を対象に実施したという「まかない調査」をヒントに開発した、ありそうでなかった牛丼アレンジ4種。「肉だく胡麻ドレ牛丼」「おしんこ月見つゆぬき牛丼」「ネバとろ牛丼」「アボチー牛丼」を9月8日11時からスタート。10月4日までの期間限定です。
ドレッシングをかけた「胡麻ドレ」、社長がお気に入りという「おしんこ月見」、納豆やネバネバ食材をのせた「ネバとろ」の3つは、吉野家ツウの方が実践していそうと想像できましたが、とりわけ「アボチー牛丼」は異色。チーズトッピングに、さらにカットしたアボカドをプラス。彩りきれいで、サラダ牛丼のようではないですか。いかにも女性向きのよう。
硬派なイメージがある吉野家で、アボカドのせってアリなのかな? 禁じ手みたいだとドキドキしながらも、吉野家らしからぬ意外性に惹かれてテイクアウトで購入。
アボカドはクリーミーでフレッシュ、チーズはまろやかで、結果、吉野家の牛丼がずいぶんカドのとれた味わいになりました。
吉野家の牛丼って食べた瞬間にツユの濃い味で「あー、もう、ご飯にしみて激ウマ。口の中でえんえんと味わっていたい」と魂がギュッと掴まれるのですが、アボチーの場合、アボカドとチーズの風味が牛丼の個性より先に立ちます。
穏やかに、穏やかに入っていって、牛肉の旨みと重なり、最後にツユのあとを引く味わい。
チーズが入っているのでコッテリになるかと思いきや、上品に、エレガンスにおさまります。
あらまあ! 吉野家の牛丼がガラッと印象をかえました!
最初の一口の勢いこそ失速するのですが、アボカドのみずみずしさや野菜感がプラスされ、さらにチーズのコクもあって、牛丼ならではのそそる味を残しつつも、最後まで飽きが来ません。そう、キレイめにまとまるんです。考えてみると、吉野家の牛丼は隠し味にワインを使用しているので、洋風の食材とも相性がいいアボカドや、それとチーズとも合うのは当然。
牛肉、アボカド、チーズ、ワイン。そう考えると、口の中でバルが展開されているようで、お酒好きとしては心躍ります。オシャレ牛丼ってこういうことでしょうか?
ただ、ガツンと濃い牛丼を食べたい気持ちでいると、やっぱりちょっと物足りなさも。個人的には「アボチー牛丼」に、上から「醤油」をかけて「七味」を振りかけたところ、味の濃さが戻ってきて大満足でした。
アボチー牛丼。吉野家の牛丼とアボカドの意外な相性の良さの発見がありつつも、やはり賛否が分かれそうな一手。メニューとして出ているのは今だけなので、興味ある人はこの機会に試してみてください。
ナベコ

酒好きライター、編集者。カンパイからすべてが始まるはず。「TVチャンピオン極~KIWAMI~ せんべろ女王決定戦」に出演するなど酒活動しつつ食トレンドを追っています。♪アスキーグルメでおいしい情報配信中♪
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