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薬局と介護事業者が活用例を披露!LINE WORKSは地域包括ケアにどう貢献できるのか?

2020年09月15日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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地域包括ケアのための外部連携をLINE WORKSで実現

 さて、次は今回のメインディッシュとも言える社外連携がテーマだ。超高齢化社会の中でお年寄りが住み慣れた場所で人生をまっとうできるよう、さまざまな事業者や行政が連携する「地域包括ケア」をLINE WORKSでどのように実現しているか、参加者の関心が高いテーマだ。

 LINE WORKSでは社外のLINE WORKSユーザーともトークグループを組むことができ、外部業者と容易に連携が行なえる。相手が初めてLINE WORKSを使う場合でも、使用感がLINEと変わらないため、いちいち使い方を教えたりする必要が無いのが大きなメリットだ。

 石巻市のひまわり在宅サポートグループの居宅介護支援事業所は同じグループの石巻健育会病院と隣り合っており、密接に連携している。「いまの病院は入院期間がどんどん短くなっているので、早く退院してもらうためには、病院側もわれわれのような介護事業者をスピーディに決めなければなりません」と若林氏は課題を語る。こうした病院の連携室とケアマネージャーとの連携は、今まで電話や来社で行なわれていたが、ケアマネージャーは外にいることが多いので、決まるまでには時間がかかっていた。しかし、LINE WORKSを使うことで、病院とひまわり在宅サポートグループのケアマネージャーがリアルタイムにやりとりすることで、入退室の調整がスピーディになったという。

 ひまわり在宅サポートグループは病院のみならず、他の介護事業者や看護学校、行政、利用者や家族など、社外とのやりとりを積極的に進めている。「うちはLINE WORKS、患者さまはLINEを使って、訪問の休みなどをお伝えしています」(若林氏)とのことでLINEとの連携機能がここで活きている。

ひまわり在宅サポートグループの外部連携

 アクア薬局は往診のクリニックと外部連携し、処方箋の内容を医師に問い合わせるいわゆる「疑義照会」をオンライン化している。通常、薬剤師は処方箋と薬剤服用歴を見て、患者の病状の変化を読み取ったりするが、LINE WORKSで気になった点を気軽に問い合わせることができる。「医師も往診で忙しいので、電話に出られないこともことも多い。でも、LINE WORKSであれば、問い合わせを投げておいて、あとから回答をいただけます」(加藤氏)。

薬局と医師がリアルタイムにやりとりできる(アクア薬局)

 また、アクア薬局の薬剤師と看護師の方々との連携もLINE WORKSで行なっているという。「薬剤師は月に1~2回しか訪問しないけど、看護師の方々はもっと頻回に訪問していることも多いので、患者さんの体調変化などを共有してもらい、次回の訪問に活かすことができています」と加藤氏は語る。

 さらにアクア薬局では訪問業務の緊急時対応にもLINE WORKSが活用されている。加藤氏は、「がん末期の患者さんで余命幾ばくもないといった場合は、緊急時の対応が必要になるケースがあります。緊急時に対応するため薬剤師が電話機を持っているのですが、緊張感からしっかり休めないことも多かった」と課題を語る。しかし、医師と薬剤師がLINE WORKSでつながることで、急ぎか急がないのか、どのような準備が必要かなどが正確に伝えられるようになった。

 しかも、薬剤師全員が同じグループでトークを見ているため、一人の薬剤師にプレッシャーが集まることなく、チームで対応できるようになったことも大きい。加藤氏は、「急に痛みが悪化したので薬が必要という患者さまもいますので、スピードは重要。ほかの薬剤師が対応することで、2~3時間かかるところが、30分で済んだということはよくあります」と導入効果を語る。

自分たちで使いこなし、成功体験を連携先に共有していく

 個人の仕事がチームワークになり、さらに外部を巻き込んで、連携する価値は大きい。若林氏は、「一人の患者さんを病院、介護事業者、薬局、行政などがさまざまな形で支えるのが地域包括ケアのコンセプト。LINE WORKSを使っていろいろな事業者がつながって、チームとしてこれを実現できるのであれば、こんなに素晴らしいことはないです」と語る。

「LINE WORKSを使っていろいろな事業者がつながって、チームとしてこれを実現できるのであれば、こんなに素晴らしいことはないです」(画面左下・若林氏)

 加藤氏も「1つの情報を発信すれば、社内にも、社外にもつながるという楽さは感じている。薬剤師は女性が多いので、午前中しか勤務できない方でも、在宅できちんと情報共有できています」と語る。

 もちろん、せっかくいいツールがあるとは言え、組織も考え方も違う外部の業者を巻き込むのは難しそうに思える。これに関して若林氏は、「連携している石巻健育会病院で同じくマネジメントを担当している方が、ジャニーさんみたいな感じで『いいじゃん、ユー、やっちゃいなよ』みたいなノリでやらせてくれました(笑)。うちで使って成功した経験を説明して、オススメしたところフリープランから始めたという他の施設もあります」と体験談を語る。まずは自分たちで使いこなし、得た成功体験を他の事業者に伝搬させながら巻き込んでいくことが、連携の輪を広げる鍵と言えそうだ。

 一方、加藤氏はLINE WORKSの導入自体が、他の往診医に招待を受けたことがきっかけなので、そもそも巻き込まれた側。加藤氏は、「医師のグループに招待してもらったことで、今まで知らなかった情報を知ることができるようになった。薬局に来なくなった患者さんが実は入院していたといった情報を知ることができ、自分の不安を解消できた」と感想を述べる。もちろん、薬局側からも情報を共有し、相互にお願いしあう関係を作ったことで、外部でありながら、1つのチームとして信頼感を醸成できたと言える。

 そして情報連携で、もう1つのポイントだと思ったのが、LINE WORKSの「グループ」機能だ。LINE WORKSでは、部署やプロジェクトはもちろん、顧客や取引先を入れたチームや特定トピックでグループも可能なので、目的や役割にあわせて自由にトークグループを構成できる。

 アクア薬局では全従業員、訪問チーム、店舗チーム、スケジュール管理用などのグループを作ってやりとりしている。「グループごとに通知方法を変えられるので、従業員が重要度に応じて、通知の設定を変えている」(加藤氏)という。ひまわり在宅サポートグループでは、事務所ごと、役職ごと、委員会ごとで目的にあったグループを構成しているという。「私は扁桃腺が弱いので、『チーム扁桃腺』というグループを作って、扁桃腺の情報も共有しています(笑)」(若林氏)とのこと。

 加藤氏は、外部機関とやりとりする際の注意点として、言葉の定義の違いなどを意識したわかりやすい表現が必要だと指摘した。いくら同じトークでつながっても、組織外の人とのやりとりの場合は、コミュニケーションの仕方に一定の配慮が必要ということは学ぶべきことだろう。

写真を使うことで、わかりやすく相手に伝わるのもメリット(アクア薬局)

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