モバイル・ワークステーションは、デザインも使い勝手もひとつ上でした
HP ZBook Firefly 14 実機レビュー = 超キモチいいワンランクUPのモバイルノートなのだ
2020年08月25日 13時00分更新
HPは6月29日にZBookの新モデルを4機種発表し、8月から出荷を開始した。モバイルワークステーションのシリーズだが、在宅ワーカーも気になるマシンなので、実機をレビューしてみよう。
HPのお仕事向け最強ノートシリーズ
hpでも川でもない「Z」のロゴが光る
ZBookは2013年に誕生したモバイル・ワークステーションのシリーズで、当初から、14/15/17型の3モデル構成だった。
今回発表となったのは、15型のボディにNVIDIAのQuadro RTX4000を搭載した「ZBook Studio G7」、同じデザインの15型でGeForce RTX2070搭載の「ZBook Create G7」、薄型軽量の「ZBook Firefly14/15 G7」の4機種である。
試用する実機は、いちばん小型軽量の「Firefly14」である。最上位でなく、これを選んだのは、「テンキーなしで、ポチ付き」だからである。上位のStudioとCreateはテンキーレスだが、ポチがない。Firefly15はポチつきだがテンキーがあるのだ。おじさんの嗜好に一致するのはコレなのである。
ポチは、某L社のThinkPadではトラックポイントと呼ばれるポインティングデバイスで、キーボードの中央に「赤ポチ」として存在感がある。
ZBookではFireflyシリーズにのみ搭載していて、赤ではなく黒いポチで、「ポイントスティック」というのが正式名称である。
第10世代コアシリーズに Quadroも搭載です
「Firefly」は「飛ぶ炎」であるからして「ホタル」のことらしい。なぜモバイルGWS(グラフィックワークステーション)にホタルなのかは不明だが、ZBookの軽量シリーズはこの名前なのだ。
今回のFirefly14 G7が搭載するCPUは「i7-10510U」と「i7-10610U」、「i7-10810U」の3種類で、下位2つは4コア、上位は6コアで、かつ、上位の2つは天下の「vProテクノロジー」を内蔵している。
メインメモリは下位が16GBで上位2機種は32GB、SSDは512GB、1TB、2TBとさすがワークステーションは奢っていて、余裕感がうれしいのである。
グラフィックチップはNVIDIA Quadro P520で4GBのVRAMと実装されている。こちら、どういうクラスかというと、最新のQuadroラインアップの最下位で、上にはP620、T1000/2000、RTX3000~6000が存在する。
CUDAコアは384個ですから、GTX1650が1024なので、それより下ということになる。MX150がちょうどCUDAコア384で同じだ。そのかわりといってはなんだが、TGPは18Wと省エネになっております。
ディスプレイは14インチで、下位2モデルは解像度がフルHDだが、上位モデルは4K-UHDで3840×2160ドットに最大輝度550nitでHDR-400対応と、とてもイカしている。15型で4Kはどのメーカーも作っているが、14型はまだ少ないのだ。
US配列とは大きく違う日本語キーボードの
大型リターンキーに凸型カーソルキーが超イカス!!
マシンを開いてまず「おおっ」となるのがキーボードの右側の配列である。USモデルではリターンキーの右側に機能キーが縦に1列あるのだが、なんとFirefly14の日本語キーボードはそれをなくしてしまっているのだ。これは、海外メーカーのPCとしては非常に珍しいもので、そのおかげで、日本語で増えるキーが、まったく「幅寄せ」されていない、とてもきもちのいい配列になっている。
そのぶんというか、BSとリターンと右シフトキーの横幅がちょっと長いので、リターンキーをバチーンと叩く派のみなさんにも超オススメである。
さらに、右下のカーソルキーが、US配列では1-2-1の横並びなのだが、日本語キーボードでは凸配列となっている。おじさんたち的には、でかした日本語配列なのである。
今回はFirefly14の最上位モデルを試用しているのだが、4K液晶は、発色も明るさも最高で、とても使いやすい。明るい屋外でも操作できる液晶なのだ。
インターフェイスは、本体右側にAC電源コネクタ、HDMI1.4b×1、USBタイプC×2(Thunderbolt3)が装備されている。向かって左側には、タイプAのUSB3.1 Gen1×1、同チャージ機能付き×1、マイク・ヘッドフォンコンボ×1、スマートカードリーダー×1が並ぶ。ちなみにタッチパッド右上にはNFCリーダー・ライターも内蔵している。
ちなみに、本体右側には「マイクロSDカードスロット」の痕跡が残っている。海外モデルでは装備しているのかもしれないが、写真好きのためにも、フルサイズSDカードスロットを装備してほしいところだ。
オーディオはB&OのHDオーディオでステレオスピーカー搭載、マイクは3本で全方位機能があり、ビデオ会議でも安心で、ノイズキャンセリングも実装している。
サイズは323×214.5×17.9ミリと一昔前の13型クラスで、重量は1.4キロと、ちとズッシリだが、持ち歩けるレベルである。バッテリー容量は53Whで、MobileMark14テストで17時間駆動というスペックだ。
CPUは6コアの威力全開!!
SSDが高速で快適度UP
ベンチマークテストの結果は、CPUではCinebenchでR15が989、R20が2045となった。IceLakeでは最上位のi7-1065G7でも4コアなので、R15の結果でも800代が最高となる。、6コアが全開で動作しているのはやはり頼もしいのである。
3DMarkではFireStrikeが2992、TimeSpyが1123と、GeForce MX150搭載ノートとほぼ同じ速度である。前述のようにQuadro P520とMX150はともにCUDAコアが384個搭載なので予想どおりの結果である。
GWSとしては、もう少し上のGPUも選べるといいですね。同じ第10世代のコアi-UでもIceLakeのG7ではほぼ同じ3D速度が出ますので、まあ、次のTigerLakeを積んでいただければOKでしょうか(vProがあればでしょうが)。
SSDは2TBだがシングルドライブで、CrystalDiskMark7ではマルチシーケンシャルリードが3299、ライトが3066と、ノートPCではトップクラスの速度が出た。ストレージに待たされないのは大量データ処理にはとても快適なのである。
バッテリーのベンチマークテストでは、液晶輝度最大で最も高いパフォーマンスで2時間50分動作した。500nitの液晶でこれだけ動作すればOK。室内なら輝度を半分にすれば倍近く持つ。
充電のほうは、同条件で50%まで33分、70%まで56分、90%まで83分と、モバイルノートとしては合格ラインだ。ACアダプターは65W出力で小型軽量で、持ち歩くのも苦にならない。
ウルトラブックとは段違いの
「高級感」が魅力のマシンなのだ
ボディの色やデザインはシックで落ち着きがあり、剛性もかなり高い。使っていて、高級なPCを操作している嬉しさがある。おじさん的にも、GキーとHキーの間にある「ポチ」が魅力的だし、大きなリターンキーを叩く快感もすばらしい。
個人で使うにはスマートカードリーダーが余計だが、セキュリティーを高めるために利用するのもカッコいいかもしれない。
これで、GeForceのGTX(またはQuadro T2000)が選べれば、外側も内側も最強の14型モバイルノートになる。とにかく、ちょっと格上のモバイルノートを持ち歩きたい君や僕にはピタリの14型モバイルGWSなのだ。