サイボウズ社が提供しているウェブサービス「kintone」は、一言で言うなら「簡単に自社の業務に適したシステムを作成できるクラウドサービス」だ。業務アプリを直感的に作成できるほか、社内SNSとしての機能も備えスピーディーに情報共有ができるなど魅力が盛り沢山だ。本連載では、そんなkintoneの導入から基本機能の紹介、そしてアプリの活用法など、ビジネスの現場で役立つ情報を取り上げていく。第91回は、2020年8月のアップデートを振り返っていきたい。
8月のアップデートをチェック
kintoneはほぼ毎月、機能改善や新機能の追加を行っている。2020年8月もいくつかのアップデートが行われたので、今回はその中身をチェックしてみよう。
一番の目玉は、参照関係が設定されているアプリやアプリパックなどをまとめて削除する機能が追加されたこと。従来はルックアップフィールドなどが設定されていると、参照を解除しなければアプリを削除することができなかった。そのため、サンプルのアプリパックを試した後に削除するのがとても手間だった。
特に筆者は、記事化のためにいろいろなアプリを入れるので、削除時に毎回エラーを見ながら参照を解除していくのに時間を取られていた。今回のアップデートで、アプリを削除しようとすると確認ダイアログが表示され、まとめて削除起動で関連するアプリをすべて一括削除できるようになった。これは大幅な時短になるので嬉しいところだ。
ただし、関連アプリの中から、アプリを一つだけ削除する場合は、従来と同じように手動で参照を解除する必要がある。
また、レコードを日付で絞り込む際に「来年/来月/来週/明日/昨年/昨日」を設定できるようになった。たとえば、来月に車検が来る社用車を手軽に一覧表示できるようになった。
プロセス管理の実行条件やレコードの条件通知の設定でも、「翌年/翌月/翌週/翌日/前年/前日」を指定できるようになり、たとえば、前月に期限が切れた会員のみ延長申請が行える、といったことが可能になった。
さらにフィールドコードを変更すると、すでに計算式に使っていたものも自動的に変更されるようになった。従来はフィールドコードを変更すると関連するところを全部手動で変更しなければならなかったので、とても手間がかかっていた。
特に、筆者はあまり完璧な設計図を作らずに、アプリを作り始めてしまい、ドラフト段階だとあまり真面目にフィールドコードを付けないことがある。しかし、作り込んでいって本稼働させるときに、フィールドコードを整理するのがとても面倒だった。これは地味ながらも非常に助かる機能だ。
アプリの一覧をCSVファイルでダウンロードできるのだが、そのアプリに含まれる情報が拡充された。従来含まれていたのは、ID/アプリ名/アプリグループ名/ステータス/レコード数/フィールド数/カスタマイズ/作成者/1日のAPIリクエスト数だったが、8月版からはアプリURL/アプリ設定URL/作成者(ログイン名)/設定の最終更新者/設定の最終更新者(ログイン名)/設定の最終更新日時が追加された。
ログイン名とはユーザー固有のIDで、ユーザー情報のCSVファイルなどと連携した分析が可能になる。追加項目では、なんと言ってもアプリの作成者とアプリURLがうれしいところ。これがないと整理や管理が面倒なのでありがたい。
最後は開発者向けのツール。kintone REST APIをJavaのプログラムから利用する際に便利なクライアントライブラリを公開している。
kintone Java Client(2020/7/10 v1.0 公開 最新バージョンは1.0.2)
https://developer.cybozu.io/hc/ja/articles/360039756431
kintone JavaScript Client(2020/2/18 公開 最新バージョンはv1.5.0)
https://developer.cybozu.io/hc/ja/articles/900000767263
アップデート情報はkintoneのウェブサイト(https://kintone.cybozu.co.jp/update/main/)で日々更新されている。あれ、挙動変わった? と感じたら、アップデート情報を確認してみよう。
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