STIが目指すは「人に優しいクルマ」
STIではSUBARU車向けのサスペンションやマフラー、そしてボディー補剛パーツを数多く販売しています。それらの目指すところは何でしょうか。それは今年4月にSTIが発信したメッセージ「激しいレースほど人のやさしさが問われてくる。」に集約されています。
STIが参戦するニュルブルクリンク24時間耐久レースは、“緑の地獄”(Green Hell)と呼ばれる、世界中の名だたる自動車メーカーがその開発に利用するほど、非常に過酷なコースを24時間4人のドライバーで乗り継ぎながら周回数を競います。そのレースで必要なのは「誰が運転しても快適な走りであること」「誰が運転しても自在に操れるクルマであること」だそうです。単に車の反応の速さを追い求めると、ピーキーになって扱いづらいクルマになるそうで、それでは24時間戦えないというのがSTIの根底の考え。
そうした激しいレースシーンで得られた知見は、一般道を走る市販車にも役立つものです。そこでSTIは、SUBARUを選んだオーナーにアイテムとして技術や知見を還元。思わずクルマに乗りたくなる走りと、ステアリングを握るたびに自信と高揚感が沸く走りにするアイテムを開発、供給することを使命と考えているようです。よってアイテムはエンジンチューンよりも、シャーシや足回りに関するアイテムを中心としています。
こうしたアイテムはドライバーのみならず、同乗者にも「乗り心地のよさ」という点で還元されます。つまりお財布を握る奥様から「STIのパーツなら付けてもいいよ」というお許しが得られるかもしれないのです。この面でも「人の優しさ」を感じます。
このような「レースの現場で得たノウハウを市販車に」という話はよく耳にします。ですが、他社とは大きく異なるのは、開発者の一人に「SUBARUのカリスマ」「車両開発の鬼」との二つ名を持つ辰己英治STI総監督が、今でも携わっているということ。SUPER GTやニュル24時間レースの総監督自ら設計しているという話は聞いたことがありません。まさに「レースで得た云々」が直結しているアフターパーツメーカーと言えるでしょう。その一方で「そんなにイイのなら、最初から市販車に取り付けてくれればいいのに」と思ってしまうかもしれませんが、量産の際にこれらのパーツを組み付けるのは、製造工程上難しいとのこと。またオーナーが通販で購入してポン付けしても、その性能は発揮しづらいそうで、ディーラーで取り付けるのがベストのようです。
武闘派スバル女子である今泉さんのクルマも、STIパーツがテンコ盛り仕様。そこで「STIパーツを取り付けるとどうなるの?」と尋ねたところ「実は購入時に一緒につけちゃったんですよねー。だってコンプリートパックでないと取り付けられないアイテムがあったんで」とのこと。「いつかノーマル車とSTIパーツ取り付け車両の差をレポートしてみたいです」とのことなので、こちらもお楽しみに。