開発者インタビュー、ゲーマーのツボをおさえたマシンはゲーマーが生み出した
GALLERIA新PCがゲーマーの“相棒”たりえるのは、開発者もゲーマーの習性を知り尽くした“ゴリゴリのゲーマー”だったから
2020年08月21日 11時00分更新
新しいゲーマーの人にもGALLERIAが目指しているものを伝え、使ってもらいたい
ーー今回、GALLERIAのPCケースを刷新した経緯を教えて下さい。
武藤 亮太氏(以下、武藤):PCケースを刷新した理由は、大きく2つあります。前ケースは、2013年に発表したモデルで、登場から7年経過しています。今はまだ現役ですが、今後新しいPCパーツなどが登場するかもしれないと考えたときに、様々な箇所に無理がでてくるかもしれないと感じたからです。
もう1つは、GALLERIAというブランドの目指しているものが、果たしてちゃんとお客様に伝わっているのかという疑問があったからです。我々は早い段階から、ゲーミングパソコンのケースは黒をメインにしており、またそれが好評でしたので、そのままのデザインで販売を続けてきました。
ここ数年、様々なゲームやeスポーツのイベントに参加するようになり、お客様から、直接GALLERIAのイメージをお聞きする機会が増えました。すると、「GALLERIAは武骨で“漢”みたいなイメージ」をおもちの方が多いとわかり、好意的なご意見をいただく反面、受け入れづらい方も少なくないのでは? と思い始めたんです。そこで、今までGALLERIAに高評価をくださっているゲーマーの方々に加え、新しいゲーマーの方々にも我々の製品を使っていただくにはどうすればいいかを考えて、今回のケース開発に至ったわけです。
“ない”デザインを生み出し製品として“成立させる”がコンセプト
ーー新しいゲーマーの人たちにも受け入れやすいデザインということで、ガラリと変わったのには驚きました。今回、コンセプトカーなどを手掛けるデザイン事務所にデザインを依頼したということですが、PCケースのデザインではなく車をデザインしている事務所に依頼したのはなぜでしょうか?
瀧吉 佑介氏(以下、瀧吉):コンセプトカーを手掛けているデザイン事務所に注目したのは、近未来のような“今はまだない”デザイン“を創ってくれると思ったからです。しかしカッコいいデザインだけが必要なら、コンセプトカーのデザイン会社に依頼しませんでした。我々が欲しいデザインは、“PCケースとして必要な機能を取り入れた新たなデザイン”でした。コンセプトカーのデザインを手掛ける会社であれば、それが得意であると思い、今回新ケースのデザインを依頼しました。
ーーなるほど。結構最初から今のデザインに近いものが案として出てきたんですか?
瀧吉:我々からコンセプトを伝えて、一番ベストな形になるよう、何度も検討を重ねていった中で、ボツになったデザインも多々ありました。その後、紆余曲折ありまして、デザインも機能も新しく、かつ、ゲーマーからの要望が、しっかりと収まる今の形状になったんです(笑)。
ーー確かに、デザインも機能も新しくなりつつ、ユーザビリティーも向上していますからね。よく今の形状になりましたよね。
瀧吉:ケース製造のパートナー企業とも協力して一緒に開発したため、あとから「これは無理」ということもなく、また、多方面の意見を取り入れながら、段階を踏んで作ったのが功を奏したと思っています。
物を置ける天板の3層構造は、開発を手掛けたサードウェーブ×デザイン事務所×ケース製造のパートナー企業の3層構造でもあった
ーーデザインだけでなく、ケース製造企業にも協力してもらっていたんですね。例えば、それは、どんなところに反映されているんですか?
瀧吉:まずは天板ですね。今回、三層構造の天板になったのは、我々とデザイン事務所、それにケース製造企業、それぞれの担当者たちが最後まで協力、そして妥協しなかったからこそできた構造だと思います。
ーーというと?
瀧吉:ゲーマーのことを考えると、絶対に上に物を置けたほうがいいと考えたのですが、天板を完全に塞いでしまうと排熱ができなくなります。そこで、「フィルターを付けよう」という意見が、ケース製造企業からありました。しかし、フィルターをそのままつけると、やはりデザイン的には良くない。
デザイン会社からは、「両サイドの吸気口のデザインに合わせた化粧板を、天板に置こう」という意見が出ました。これだとデザインはよくなるんですが、上にゲームデバイスなど物を置いたときに、ケース内部にホコリが入ってしまいます。
それならば……と考え、「天板とケース内部の間にフィルターをいれれば解決できる」という意見が出てきたんです。機能性や排熱にこだわりを持つケース製造企業と、見た目(デザイン)にこだわりを持つデザイン会社、そしてユーザビリティーを向上させたい我々の意見が組み合わさったことで、このデザインになったんです。なお、このフィルターは汚れたら洗えるというスグレモノなんです。
ーーなるほど。ていうか、確かに私もPCゲーマーなので今もコントローラーが自宅のデスクトップの天板の上にありますが、どうしてそこまで天板の上に物を置けることにこだわったんですか?
武藤:GALLERIAがスポンサーをした、あるイベントに参加したときに、会場にいるゲーマーのほとんどが、天板の上にコントローラーやヘッドセット、アケコンなどを置いているんです。それを見たときに、絶対に天板の上には物を置けたほうがいいなって思ったんです。
ゲーマーの習性から生まれた、斜めに配置されたインターフェース
--イベントに参加するようになって、ゲーマーの生態がわかるようになったと(笑)。では、前面のインターフェース部分を斜めにしたのもイベントなどでの気付きだったんですか?
瀧吉:イベントに参加してゲーマーの生態がわかるようになったのではなく、私自身がゲーマーで、イベントで見て確信した……という感じでしょうか(笑)。 スイッチや、コネクターを挿すインターフェース、この部分を最上部に斜め45度で設置したパネルにまとめるのに、かなりこだわりました。垂直にインターフェースを搭載すると、机の下にパソコンを置いた場合、蹴ってコネクターを折ってしまう事故が起こる可能性があります。挿す部分を斜めにしておくと、デバイスのテンションが上下どちらかにかかっても平気なんです。私もそうなんですが、よく使うデバイスって挿しっぱなしにしておくじゃないですか(笑)。
ーーそのとおりですね。
瀧吉:スイッチ含め、USB端子が4基、すべてを斜めにしているケースとなると、BTOパソコンのケースでも多くありません。また、この斜めというのがポイントで、PCの設置がデスクの上でも下でもスイッチや差込み口が視認しやすいのです。「GALLERIAわかってるな」「気が利いているな」と思っていただけると思います(笑)。
ーー今使っているPCケースが垂直のインターフェースなんですけど、気づいたら結構ホコリがたまっているんで、そういう意味でも斜めはいいですよね。
武藤:パソコンで唯一といっていいほど毎日触る、そして見る部分ですから細部のデザインにもこだわりました。USBコネクター内側の周囲にある金属を見えないようにするとか。
光る、色が変わる、消すが成立するRGBライト
ーーあと、外観で驚いたのはやはり前面のRGBライトですかね。これが標準になるとは。
瀧吉:光る部品の選択肢を増やしてほしいというご意⾒は多くいただいていました。ケースデザインの中に光る部分がほしいなと思い、今回のデザインに取り込みました。
ーーeスポーツの大会なんかでケース前面が光っているのはかなりいいですもんね。出場チームのカラーとかにしておけばわかりやすいですし。
瀧吉:そうですね。光る、色が変わる、消すという3パターンのいずれでもデザインとして成立するというのを条件にして考えたときに、この形状になりました。
武藤:今だから言いますが、LEDテープを貼っただけのプロトタイプを見たときは、こんな素敵な仕上がりが想像できず、本当に大丈夫なの? って思ってました(笑)。
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