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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第105回

【解説・アップルiOS 14】iPhoneから消える「割り込み」

2020年07月21日 09時00分更新

文● 松村太郎 編集● ASCII

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●iOS 14のコンパクトデザイン、象徴的なのは?

 iPhoneは元を正せば、電話由来のデバイスです。

 しかしながら話している時間、特に携帯電話回線を通じた通話をしている時間は、iPhone利用の中で非常にわずかな割合になってきているのではないでしょうか。

 LINEやMessenger、そしてFaceTimeといったアプリ経由の手段も増えていますし、文字ベースのコミュニケーションはもっと多くなっています。そうした中で、だからこその実装と言えるのが、「通話の割り込み画面」の変更です。

 iPhoneで電話が着信すると、画面全体が通話画面で覆われます。これはロックされているときも、iPhoneを手に取って使っている時も同様です。後者の場合、メッセージをしていたり、ウェブページを見ているとしても、通話画面が割り込んでくる仕組みになっていました。

 ある意味、これが当たり前でした。

 しかしiOS 14では、iPhoneを操作しているときに着信した場合、全画面が覆われず、画面上部に通知のようなデザインで、着信を知らせてくれるようになりました。ここで、通話、着信拒否などの操作をすることができます。

 この変化は、AirPodsを使っているiPhoneユーザーにとって、より自然に感じられるかもしれません。

 iPhoneしか手に持っていない人は、iPhoneを耳に当てるため、画面全体が通話に割り込まれいても関係なく、画面を使うことはありません。しかしAirPodsを装着しているなら、iPhoneで見ていたアプリをそのまま継続しながら、AirPodsを通じて耳だけ通話に貸せば良いだけとなるからです。

 もちろん、いままでの着信画面であっても、通話の割り込み画面をホームボタンや画面下端から上へのスワイプで閉じて他のアプリを見ながら、バックグラウンドで通話に参加することは可能でした。

 しかし通話が主、アプリがサブではなく、通話をバックグラウンドで、という前提に置き換わった点は、個人的には非常に大きな変化だったとみているのです。これって、大きなパラダイムシフトと言えるのではないでしょうか。

 もちろん、実態はすでに通話主体ではなくなっていたことは周知の事実ではありますが。

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