元寇を題材にしたオープンワールドアクションゲームの魅力とは

PS4「Ghost of Tsushima」は、侍の魂を目覚めさせる最高の時代劇アクションゲームだ!

2020年07月14日 23時00分更新

文● 市川 ●編集 ASCII

武士の道か、それとも邪の道か

本作の魅力はなんといっても剣戟。敵の動きを読んで一撃をお見舞いしよう

蒙古軍は集団で襲いかかってくる

 本作では武士道精神に則って、「刀」と「弓」を武器に蒙古軍と戦うことになる。蒙古軍は剣や槍、盾、弓などを装備する兵で構成されており、集団戦法を駆使して主人公に襲いかかってくる。敵は蒙古軍だけと思っていたが、島民の食糧や金品を盗む「賊」なども見受けられた。

敵の防御を崩し、よろめきダメージを与える

 刀の攻撃手段は通常の斬撃と、回避もしくは受け流してからのカウンター攻撃、敵の防御を崩す強攻撃だが、新しい技を増やせばその分戦略の幅も広がっていく。近接攻撃は刀、遠距離攻撃は弓と使い分けるのが望ましい。

 本作の難易度はそこそこ高いため、操作に慣れていない状態だと多少骨が折れるかもしれない。初見プレイ時、敵の攻撃を回避したり、受け流すアクションに慣れず、何度もやられてしまった。しかし、ある程度操作に慣れ、装備とステータスを強化すれば、集団相手でも対等に張り合えるようになるはずだ。もし難しいと感じたらその都度強化に励むといい。

 敵を倒したり、メインストーリー「物語」やサブクエスト「浮世草」などをクリアすることで、噂が少しずつ広まっていく。噂のゲージが一定値に達すると技量ポイントを獲得でき、それを消費して新たな技をアンロックするといった次第だ。これ以外にも、素材を消費して装備を強化する、対馬内にあるスポットで強化アイテム「護符」を見つけるといった、探索型RPGの要素も魅力の1つだ。戦闘と探索、収集で主人公を強化する面白さも秘められている。

敵勢力に遭遇したとき、「一騎打ち」と呼ばれる決闘を申し込める

 蒙古軍などの敵勢力に遭遇したとき、「一騎打ち」と呼ばれる決闘を申し込める。敵と向き合い、斬りかかろうとした瞬間に斬撃すれば成功、失敗すれば致命的なダメージを負うことになる。対戦相手の敵はかなり賢く、フェイントなど、主人公の油断を誘う挙動を仕掛けてくるのだ。黒澤 明監督作「椿三十郎」の決闘シーンを連想させる緊迫感を、本作でも存分に味わえるのがたまらなかった。黒澤明監督への敬意を指し示す要素であると感じた。

 本作の血しぶきが舞う熾烈な剣戟の描写に、凄みと醜さを見出し、何度も鳥肌が立ってしまった。とくに敵の死に様が生々しく、敵を倒したとはいえど虚しさを感じることもしばしばあった。カウンター攻撃が決まったときや、蒙古の集団をたった1人で一掃したときは達成感が味わえる反面、人を斬ることの精神的な痛みも同時に押し寄せてくる。

背後から敵を仕留める「闇討」。敵にバレずにけりをつけたいときに役立つ

 一方、武士道に反する戦術も、攻略するうえで欠かせない手段である。その一例として、背後から敵をこっそり倒す「闇討」が挙げられる。草むらだけでなく、家屋の屋根にのぼって真下にいる敵を闇討することも可能。そのほかにも、緊急時の攻撃に役立つ遠距離武器「くない」や、投擲武器「てつはう」、敵の視界を遮る「煙玉」など、プレイヤーの戦闘をサポートする装備も用意している。戦況に応じて、2つの相反する戦術を切り替えていく必要があるのだ。

 周りからは武士道としてあるまじき行為だと指摘されながらも、島民を守るため、やむを得ず武士ならざる者の道を歩む境井 仁。未知なる戦術を用いる蒙古軍を制するには、あらゆる戦法を取り入れなければならなかった。インファマスシリーズのように、選択肢の結果でストーリーの展開が変わるというわけではないが、「苦渋の選択」にフォーカスした作りは、プレイヤーの良心に複雑な重みをもたらす。そういった要素はインファマスシリーズを受け継いでいるように思われた。

 武士道の教えを貫くべきか、それとも武士道に背くべきか。対馬の動乱をどう生き抜くかは、プレイヤーの意思に委ねられている。

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