新東名の新たな入口「伊勢原区間」は東京側からの実質的な起点

文●鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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 3月7日15時に新東名高速道路(以下、新東名)の伊勢原JCT~伊勢原大山ICの間の区間、約2㎞が開通した。この道は、いったいどのような道なのか? また、その存在する意義を考えてみたい。

※取材は緊急事態宣言解除後に行なっています。

東名高速道路を下り、厚木ICを過ぎて、2~3分ほどで伊勢原JCTへの分岐となる

わずか2㎞だが新東名の入口となる重要区間

 今回、開通となった区間は、伊勢原JCTから伊勢原大山ICの間、わずか2㎞だ。しかし、この区間は距離こそ短いものの、今後、非常に重要な場所になる。なぜなら、伊勢原JCTは東京から新東名を使うときの実質的な入口となる場所だからだ。実のところ、新東名の東京側の起点は海老名南JCTとなる。そして海老名南JCTは新東名と圏央道との交差点であり、東京の首都高速から向かうときは、東名高速を経て海老名JCTを南下する必要があった。そして海老名南JCTから新東名を下ってゆくと、伊勢原JCTにて東名高速と交わる。つまり、東京から新東名に向かうとき海老名南JCTを経由するのは、遠回りとなるのだ。そのため伊勢原JCTは、東京から新東名への実質的な入口となる。

2020年3月に開通したのは、伊勢原JCTから伊勢原大山ICまでの約2㎞区間。残りの約50㎞の全線開通は2023年度を予定する。※NEXCO中日本のリリースより

 現在はまだ工事中の新東名の残り区間が完成した暁には、東京から新東名を利用する人のすべてが、今回開通した伊勢原JCT~伊勢原大山ICを利用することになる。今回の区間の開通は、新東名完成への幕開けと言えるだろう。

伊勢原JCTは、4方向すべてに行けるわけでなく、東名からの下りの分岐は新東名の下りのみ。東名の上りから伊勢原大山IC方面へも行けない。いわゆるUターンができないのだ。※NEXCO中日本のリリースより

勾配もカーブもゆるく走りやすい新開通区間

 では、実際に新区間を走った様子をレポートしたい。伊勢原JCTまでは、海老名SAから下って6分ほど。厚木ICからは2~3分でたどり着く。左側への分岐を経て、ゆっくりとジャンクションを上って新東名の下り本線へと合流。本線は、まだ片側1車線だ。本線に合流すると、進行方向の真正面に緑豊かな丹沢の山々が目に飛び込んでくる。この山々の中に、伊勢原大山ICの名称のもととなった大山も含まれている。

伊勢原JCTのカーブを曲がって上っていった先で新東名の本線へと合流。丹沢の山々を正面に望む

伊勢原大山ICより先は、まだ工事中。秦野ICまでが2021年度、御殿場JCTまでの開通は2023年度を予定する

 新東名は完成時の設計速度が120㎞/hになっていることもあって、新区間のカーブはゆったりとしている。まだ、完成直後ということもあり、路面もキレイで平滑。非常に走り心地のよい道であった。新東名の残り区間(伊勢原大山IC~御殿場JCT)の全線開通は2023年度が予定されている。3年後は、この区間が東京から西に向かうときのメインの路線となるはず。非常に楽しみだ。

伊勢原大山の大山とは、江戸時代の観光のメッカだった

 伊勢原JCTから本線へと合流したときに、目の前にそびえたる丹沢の山々の中にあるのが大山だ。大山とはいったい何なのか? 現代に生きる人で、大山の名称の重みを理解する人は少数派だろう。大山は江戸時代の観光地として非常に人気の高い場所であった。江戸の人口が100万人だったころ、1年に大山をおとずれる人がなんと20万人にもなっていたというのだ。そのため、関東各地から大山に続く「大山道」が8つもあった。そのひとつが現在の国道246号線(青山通り)だ。また、当時の人気は東海道(国道1号)の藤沢市辻堂付近から北上する田村通り大山道であったという。

伊勢原大山ICの大山を擁する丹沢。大山への観光は大山ケーブルカーなどを利用するのがオススメだ

 なぜ、大山がそれほど人気だったのか。まず、大山は相模湾からの水蒸気により非常に雨の多いところで、別名「雨降山(あめふりやま)」転じて「阿夫利山(あふりやま)」などと呼ばれ、雨ごいの祈りを捧げる山として敬われた。また、漁師たちからは海洋の守り神・大漁の神として信仰の対象にもなっていた。現実的には、箱根の手前であり、江戸から2~3日というアクセスの良さも観光地として人気となった理由のひとつだろう。

 3月に開通となった伊勢原JCT~伊勢原大山ICは、新東名の入口としてだけでなく、大山観光のスタート地点ともなる場所でもあったのだ。

筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 

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